羊の隠れ家

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アホの坂田が転んでる

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「本部長!報告します。映像は確保しました。モニター準備完了です!」
「よし、ご苦労!」

対策本部のテントの中に、次々に装備が持ち込まれていた。

「失礼します。」

テントを潜ってきたのは、地元県警の刑事、岡野芳郎である。

「沢木さん、お久しぶりです。岡野です。」

沢木は岡野に軽く敬礼してみせた。6年ほど前に、市内で発生したガス爆発事故の処理に当たったのがこの二人だった。その時以来の再会だった。

「現場の様子はどうですか?」
「ええ・・ひどいものですよ・・まるで玩具のように壊れてます。」
「生存者の確認は・・?」
「現在、チューブカメラで内部を探してますが・・問題はその後ですね。」
「その・・後?」
「ええ・・たとえ発見されても救出できないという可能性もあります。」

沢木は、倒壊現場の状態を岡野に説明した。

「ということは、どこかを触れば、別のどこかが崩れる可能性がある・・そういう事ですか?」
「はい。今、建築関係の専門家を呼んでいますがね、この状態では、再び崩れ落ちるでしょう。」
「積み将棋・・ですね。」
「はい・・まさに・・」

ぜめて・ぜめて二人のいる位置が特定できれば、最短距離で接近できるルートが割り出せるのだ。

思案に暮れている沢木の耳に、テントの外から女性の泣く声が聞こえてきた。

「ああ・・黒木さ〜ん・・私・・私だけ逃げちゃって・・ごめんなさ〜い・・・」
「祐樹君・・ちゃんと・・大人しく待ってたのよお・・貴女のことをぉぉ・・・」
「いつもの場所で・・ああ・・本当にいい子なのに〜!」

沢木は立ちあがった。

「すみません・・貴女は黒木さんの同僚の方ですか?」
「は・・はい・・」

泣いていたのはパートの「高橋おばさん」だった。

「今、祐樹君がお母さんを待っていた・・そう言いましたね?」
「はい・・いつもね・・虫のところでね・・」
「虫?」
「はい・・昆虫の展覧コーナーがあるんですよ、祐樹君・・虫が大好きで・・」
「いつも、祐樹君はそこでお母さんを待っていた、という事ですね?」
「はい・・。」

沢木は身を翻すとテントの中に駆け込んだ。

「おい、図面を用意しろ!それから、もう一度、店長をここへ呼んで来い。そこのおばさんも連れて来い!」

たのむぜ・・祐樹君。
「いつもの場所にいてくれよ!」

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