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午前11時00分。マスコミ各社の飛ばす取材用ヘリコプターからの映像に、日本中の視線が釘付けとなっていた。昨日まで「瓦礫の山」だった倒壊現場一帯が、今では「真っ白なドーム」に、その姿を変えていたのだ。上空から見る景観は、まるで「中華まん」のような半球体であり、その白い表面は濡れているように太陽の光を反射させ、キラキラと輝いている。 新宿。靖国通り沿いの「アルタ」のモニターの前では、通行人の誰もが立ち止まって、その異様な光景に見入っていた。 「なんだ・・あれ?」 「何でも、ウレタンらしいぜ・・。」 「倒壊現場をウレタンで固める作戦だって、さっきテレビで言ってたよお。」 ヘリに設置されている防振カメラが、「ドーム」に表面にズームインする。遠くから見ると滑らかな表面には小さな気泡が見える。 「洗剤で泡立てたみたいだなあ・・・。」 「あの中に人がいるんだろー!信じられない!」 「固まっちゃったら出てこれないじゃないよ・・・。」 「黒木発砲スチロール」のエンジニア達は、ドームの四方に散らばって各所の温度を測定していた。 社長、黒木隆造ははしご車のゴンドラに乗りドームの真上から、その白い表面を睨んでいる。 「凝結が始まってます。現在、70%・・。」 「了解!そのまま計測を続けてくれ。」 全員がトランシーバーを使いながら、慎重にドームの状態をモニターしていた。 幸い、風がわずかに吹き、気温も高いという、凝結反応にはもってこいの好条件である。 「現在80%・・・」 「泡」は次第に固まり、最終的には時速100Kmで投げつけられた野球のボールも跳ね返さずに受け止めるほどの弾力性を持つ「衝撃吸収ウレタン」となるはずである。倒壊現場の内部でバラバラに存在する「瓦礫」は、このウレタンによって「一つの塊」となるのだ。 「表面温度・・62度・・内部推定温度・・83度・・」 固体化する際に発する熱。これだけは避けようがない。冷却シートの効果に期待するほかはなかった。 「凝結率・・92%・・・95%・・・・98%・・・」 「レスキュー隊!出動準備!」 「装備を確認しろー!」 隊長の声が辺りに響いた。数十名の「ハイパーレスキュー」たちが、各自の装備品を身につけて整列する。 「知っての通り、我々の目的は、あの中に閉じ込められている親子を救出することにある。二人は現在、発砲ウレタンの塊の中で、完全に身動きができない状態だ。」 隊長は、現状を端的に確認する。 「よって、我々はまず、二人の正確な位置を把握。最短距離に救出ルートを確保し、作戦を完遂する。以上!質問は!」 誰もが黙ったままだ。もう、自分たちのやるべきことは全員が把握していた。 「凝結率・・・100%!完全固体化!」 エンジニアの、やや興奮した声が鳴り響いた。 「よし・・全員、出動!!」
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アホの坂田が転んでる
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