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サダム・フセインが帝王として君臨し始めた1960年初頭から、イラクは密かに原子力技術の開発(原子炉の建設)に着手している。この計画が現実味を帯びてきたのは1970年代に入ってからのことだが、計画の実現には他国からの技術協力が必要不可欠だった。
言うまでもなくイラクは産油国であり、十分な火力発電設備があればエネルギー問題とは無縁の国である。そのイラクにおいて「原子力発電所」が建設され、それが稼動されるということは、その目的が最終的には「ウラン濃縮=原爆の開発」にあったことは間違いないのだろう。
このイラクの原子力開発を強力に後押ししたのが、原子力先進国であり、世界各国にその技術を売り込んでいたフランスである。フランスは技術者の派遣や建設ノウハウの提供だけではなく、核燃料そのものもイラクに売り込んでいるという記録がある。
この情報をイスラエル諜報機関「モサド」が見逃すはずもなく、彼らはあらゆる手段で原子炉建設計画を妨害する。1979年にはフランスの倉庫に保管されていた、イラクに輸出されるはずだった原子炉格納容器が爆破される。それに続いて1980年6月、フランスに滞在していたイラクの核開発関係者が暗殺され、更に同年8月には
関連企業の役員の自宅が爆破された。(まるで映画だ!) それらの妨害工作も空しく、イラクの原子力発電所建設は着々と進み、1981年6月現在では、燃料の充填を待つばかりという段階に至っていた。(オシラク原子炉と命名されている)
1981年6月・・・・
その年、イスラエルは劇的な奇襲作戦を実行する。MKー84高性能爆弾(約900Kg)を搭載したイスラエル空軍のF−16戦闘機が8機、護衛のF−15イーグル2機と共にイラクへと飛び立ち、「何か文句があるか!」と言わんばかりにサウジアラビア及び、ヨルダンの上空を横切り(もちろん領空侵犯である)イラク領内に侵入。超低空で目標に接近し、目標の2000m手前で急上昇。そして目標・・つまりイラクの原子炉へ向けて急降下しながら爆弾を叩き込むという、これまた映画のような作戦だ。
1機のF−16には2発の爆弾が搭載されていたので、爆弾の合計数は(2×8=16発)であるが、イスラエル空軍の精鋭たちは、何とこの内の14発を原子炉に命中させている。この爆弾が誘導装置などを使用しない「自由落下型」だったことを考慮すると、まさに奇跡のような攻撃技術である。(詳細はバビロン作戦で検索!)
(参考文献・・・あの原子炉を叩け! ダン・マッキノン著)
この奇襲攻撃のために徴収された8名のパイロットは、いずれもイスラエル空軍の誇る精鋭であり、彼らは作戦の3ヶ月前から、猛訓練を始めている。作戦内容はもちろん家族にさえ秘密とされ、友人たちのとの交流も制限された。そして作戦へのアドバイスと、パイロット達の訓練を指導したのは「米国空軍」から派遣された「協力チーム」である。 今更強調することでもないが、イスラエルの軍事力とは、小火器類から戦闘機に至るまですべて「アメリカ製」であり、元を正せばイスラエル建国を強力に後押ししたのはアメリカであり、諸説は様々だが、結果的にアメリカは中東において、イスラエルという「兄弟」を通して常に一定の影響力を維持することに成功しているのである。
イスラエル建国は、その大儀として「約束の地」という旧約の記述が引用され、アラブ人(パレスチナ人)に支配された自分たちの土地を取り返すという名目の下、米軍の強大な武力を背景に成功したものである。イスラム文化圏のど真ん中で「ユダヤ国家」を樹立させたのだから、そもそも「安全な国」であるはずがない。従ってイスラエルが敵国情報収集のために膨大な予算を割いて、大国のスパイ業界を震撼させるほどの諜報組織「モサド」を創りあげたのも、また必要以上の予算で軍隊を維持しているのも、すべては必然であり、この国の宿命とも言える。
旧約・出エジプト記では、神の使者となったモーゼが、エジプトで奴隷とされていたユダヤ人を救出するというドラマが描かれている。モーゼによって自由を得たユダヤ人たちは、その後「モーゼ軍」を組織し、各地に進撃しながら「異教徒」をことごとく殺しまくり、最終的には「約束の地」を(そこで暮らしていた老若男女の全員を殺して)手中に収めることになる。
「パレスチナを国家に・・・!」
それが「儚い希望」であることは、この地の歴史が指し示している。
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地政学であり、映画 『栄光への脱出』 の世界ですね。
ハリウッドは、昔も今もユダヤ帝国です。
2011/9/24(土) 午後 10:55
おじさん♪
「栄光への脱出」は、あのテーマ曲がカッコイイですね!(笑)
「パレスチナ問題」という呼び方がありなら、それは同時に
「イスラエル問題」と呼んでもいい。そんなことを考えるこの頃
です。
2011/9/30(金) 午後 5:47