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床に尻餅をつきながら、半開きの口元を震わせ、大岩はソファに座る女性を見つめている。
「い・・いつからそこにいるんだ?」
「さあ・・・役員会が始まった頃かしら。ずっとここで貴方を待っていたのよ。」
「う・・嘘だ・・・私がこの部屋に入って来た時・・・君はいなかった!」
「いなかった・・じゃなくて、見えなかっただけ。だって貴方の意識の中では、私はとっくに死んでいることになっているでしょ?セカンド・ユニバースの世界は、使用者の記憶と意識で構成されているのよ。知ってるわよね?プログラムはそれを増幅したり補正したりしているだけよ。」
「で・・では・・ここはやはり・・セカンド・ユニバースなのか・・・?」
「ええ。現実世界で景色が消えたりはしないでしょう。あなたはずっと、"ここ"にいるのよ。」
「う・・嘘だ・・ではさっきの会議は何だ!あれも擬似空間の出来事だと言うのか!」
「馬鹿ねえ・・・社長。あれはジョイントでしょ?役員の皆さんが同時に"ここ"に来て、同時に"ここ"で会議を開いただけよ。」
「い・・いつからだ・・・私はいったい、いつ転送されたというのだ!」
「さあ・・いつでしょうね。社長。身に覚えがありませんか?」
(身に覚えが・・)と言われれば、確かに転送用の「パッチ・ユニット」を装着した覚えが大岩にはあった。
「あ・・あの時か・・・?しかし、あの時、私は確かにユニットを破壊したぞ・・・!」
美咲はうろたえる大岩を見つめるが、その顔にもう笑みはなかった。
「私を殺した瞬間のお話ですか・・・社長さん?」
美咲はそう言いながら、右手を応接セットのテーブルの上にかざす。するとその空間に1m四方ほどの透明のボードが現れた。
「何をする気だ・・・。」
「そんなに怖がらないで。社長。」
美咲の指先がボードに触れると、そこに複雑な記号が表示される。
「これはね、貴方が私を撃った時のプログラムの動作記録なの。今、日本語に翻訳してあげますから、よく聞いてくださいね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (システムを起動します)
(30・・29・・28・・27・・) (使用者のサイバー・ウェーブを確認しました) (未確認の使用者がいます・・・確認する・・YES・NO) (未確認ウェーブを承認しますか?・・・YES・NO) (使用者を2名に限定しますか?・・・YES・NO) (ジョイント転送の準備をします・・・4・・4・・3・・2・・) (ジョイント転送の準備が出来ました) (転送先を指定しますか?・・・・YES・NO) (転送先が指定されます・・・データROMを挿入してください)
(データROM確認・・・転送先が決定されました) (使用者ID確認後、転送スタンバイ・モードに入ります) (IDを入力してください) (ID・・確認・・・転送時間が決定されました) (転送スタンバイ・・・・ENTER・KEYで転送開始します) 「覚えてますよね。つい数時間前のことですもの。ここまでは通常のセットアップです。そしてこの後、私は貴方に引きずられてPCから離れてしまったの。転送システムはスタンバイのまま・・ね。」
(セットアップ・エラー確認・・・外部ハード・ウェアにトラブルの発生を確認)
(ビジター・ユニットにシグナル・エラー・・・ビジター・ユニット・シグナルを増幅) (転送スタンバイ・モードを解除・・・シンクロナイズ・ポイントを修正) (ビジターのシンクロナイズ・ポイントを修正・・・修正終了・・・シグナル安定) 「このビジター・ユニットというのが、貴方のことよ。貴方が装着したパッチからの信号に異常が発生したので、システムは転送待機状態を解除して、貴方からの信号を安定させることに集中しているわね。貴方がユニットを壊しちゃうから、彼らも慌てて、その事態に対応したのよ。パッチ・ユニットのセンサーはね、それだけでも多少の信号を外部に漏出しているの。彼らは信号を拾って、それを増幅することで状態を安定させたのね。」
(ビジター・シグナルに異常を確認・・・周波数変調・・・電位の上昇を確認)
「この(ビジター・シグナルの異常)というのが、貴方が私に銃を向けた瞬間の脳波変調のことね。アドレナリンの異常分泌によって、システムに想定範囲を超えた電流が流れたってことよ。」
(マザー・シグナルに異常発生・電位30%上昇)
(プロセッサー・ステイタスを確認)
(マザー・プロセッサー・ステイタス・・危険レベル・・ランク5・・ランク5) 「そして・・・その直後に今度は私の脳波が異常変調するわけ。ピストルで撃たれた瞬間よ。このマザー・シグナルというのが、私のこと。そしてマザー・プロセッサーは、私の脳細胞のことよ。覚えておいてね。」
(マザー・プロセッサーの破壊を確認・・・破壊レベル・・1×1億単位)
(危険レベルMAX・・危険レベルMAX)
(セキュリティー・ソフトの起動を要請・・・起動承認・・・) (セキュリティーレベル7に設定・・スタンバイ)
(ビジター・シグナルに異常を確認・・・周波数変調・・・電位の上昇を確認)
(マザー・シグナルの異常発生を予測・プログラムは緊急モードの起動を要請) (要請は承認されました)
(緊急回避モード起動) 「ここが、貴方が2度目の銃撃を決行する直前ね。最初に引き金を引いた時の貴方の脳波異常値の発生と、それに続く私の脳波異常。この二つの連続現象を関連付けて、次も同じことが起きると予測し、それに対応していることが読み取れるでしょ?」
(システムは回避不可能な外敵侵入を予測・・・記憶領域を拡大・・拡大完了)
(緊急回避決定・・転送モード起動・・・転送先の決定・・・スタンバイ完了) 「この時点で彼らは、この破壊がプログラムの内部で起きているのではなく、「自分たちの外側」で起きている出来事だと理解するのよ。彼らは貴方の、私に対する・・つまりマザープロセッサーに対する2度目の攻撃まで、時間にすると0・5秒くらいしかないと予測したのね。だから、自分たちに出来る対応を模索し、検討し、検索し、話し合い、そして決定したのよ。その最終的な結論が転送だった。」
(ジョイント解除は却下・ジョイント転送先・・座標変異ゼロ・ポイントに変更)
(セキュリティーレベルMAX・・・転送開始・・・) (転送終了・・・シグナルレベル確認・・・) (セキュリティー・プログラムは外敵の侵入を確認)
(データ消去・残存データ30%)
(データ補正を要請・・・補正プログラム発動・・・) 「わかります?わかりませんよね?・・・この時点で貴方と私の意識はセカンド・ユニバースに転送されています。貴方が2度目の引き金を引く直前ですよ。彼らはこの出来事が「外側」で起きているなら、外敵である貴方だけを外側に残してしまうことは危険だと判断したわけ。そうでしょう?もし貴方だけが、あの部屋に残っていれば、
私は本物の弾丸で撃たれ放題になっちゃうものね?」 「座標変異ゼロ・ポイント・・これは、今二人のいる場所と同じ座標という意味よ。つまり転送場所をあれこれ選択している時間がないから、最短時間で転送できる位置を選んだ。(A)から(A’)・・・わかりますか?」
「だから彼らは、二人を同時に転送させ、貴方の意思もデータ化したの。データ化された貴方の意思によって、データ化されたピストルからデータ化された弾丸が放たれ、データ化された私に侵入する。どう?これなら、彼らは十分に対応できるでしょ?侵入してきた弾丸のデータをウィルスとして消去すればいいのだから。でも、見て。ほら・・セキュリティーさんたちが頑張って消去したけど、弾丸データは30%ほど、私の中に残っているのよね。どういうことか・・わかりますか?」
「つまり、本物の弾丸ほど威力はないけど、本物の30%くらいの破壊力はあるってことよ。だから私は、データ化された弾丸でも十分に痛みを感じたわ。何度も・何度も・・ね。」
(補正プログラムは修復不可能な破壊を確認しました)
(このデータは保存されます)
(マザー・シグナルを強制減衰・・・マザー・プロセッサーの作動停止を確認) (全プログラムは被害状況を確認・・・マザー・プロセッサー再起動を準備) (マザー・プロセッサー再起動・・・作動開始を確認) (電圧変調レベル・・3%・・2%)
(マザー・プロセッサー・作動電圧安定・・・) 「ねえ、祐介さん。貴方に撃たれた衝撃でね、私の脳細胞が3億くらい死滅したらしいわ。彼らは、それ異常の被害の拡大を防ぐために信号の流入を遮断して、私を強制的に眠らせたってことね。私の意識が停止している間に、壊れた記憶領域を修復したのよ。」
「・・・・・・」
「何か言うことはないの?社長?」
「脳細胞が3億も死んだら、貴方と同じになっちゃうじゃない?困るのよね・・それって。」
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初心者です><
iphone4のauとsoftbankは、どっちがいいんですか!?
ttp://ip.au-vs-softbank.com/e521hxp/
2011/10/22(土) 午後 0:40 [ すいません>< ]