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神様の話を要約するとこうだ。何でも、この宇宙を創造した「大天空界」というのがあり、この大天空界では2000年に一度、「神様選別会議」が開かれるという。この「アホの坂田」は2000年前の会議で「地球担当神」に選ばれたのだ。しかし、元々、怠け癖のある坂田は、神様に選ばれたことに慢心し、天国で巫女や天使と「やりたい放題」の暮らしを満喫していたのだが、そんな状況に業を煮やした大天空界の幹部神達は、こいつに最後通告を出したらしい。 「地球は荒れ果て、人間は殺し合いばかりをしているではないか!それもこれも全部貴様の怠慢の所為である。貴様にはこの3年間で信者を500万人増やすことを命じる。これが最後のチャンスと思うがよいぞ!」 「そりゃ、大天空界のお偉いさんが怒るのも無理はねーぞ。」 俺はアホの・・いや神様に言って聞かせた。 「2000年もホッタラカシにすりゃ、どんな「シマ」でも荒れるって話だ。」 「へえ・・私も最初の頃はけっこうやる気でしたが、信者の願い事を聞いているうちに、やる気が失せてしまいました」 「何でだよ。願い事を聞いてやることこそ神様の仕事じゃねーのかい?」 「そんなこと言ってもねえ、旦那、聞いてくださいよ。たかが数千円の寄付金で、やれ、顔を美人にしろ・胸をでかくしろ・宝くじを当てろ・挙句の果てには家のローンを消滅させろ、部長に出世させろ、クラブのママと一発やらせろ・・こんなくだらない願い事を毎日のように聞かされる身にもなってくださいよ・・・」 俺は腹を抱えて笑った。ちげーねー!そりゃ、人間どもの身勝手ってやつだ。 「しかもですぜ、旦那、多少でも寄付金払ってる信者さんならいざ知らず、まったく無関係な奴等までが「願い事」なんて 言いやがるから、そりゃー人間ってやつは性質が悪いのなんのって」 「ほう、信者以外の奴も神様にお願いしたりするのかい?」 「そりゃ、しますよ。むしろこっちのお願いの方がひどい。戦争を失くせ・飢餓を失くせ・差別を失くせ・・・・こりゃ、ぜーんぶ、あんたらが勝手にやってることだろ。なんで、私が解決しなけりゃならんのですか?そうは思いませんか?」 言われてみればそうだった。戦争も飢餓も差別も、このアホの坂田とは無関係だな・・・。 「しかしよ、信者さんの願い事よりは、なんとなく正しい願いのような気もするがな・・・」 俺がそう言うと、神様は顔を真っ赤にして反論してきた。 「どこが正しいです?信者さんは、仮にも、自分の財布を痛めながら「ササヤカな希望」を願うですよ。それに比べて「無心論者」の願いの体たらくぶりは何ですか?叶っても叶わなくてもいいような態度が見え見えなんですよ。要するにこんなことを願うほど、自分は正しい人間なんだって言いたいだけでしょ?」 「ふむふむ・・それもそーだな」俺は呟いた。 「で、3年後に500万人を達成できなかったら、あんたはどうなるんだい?」 「大天空界の査問委員会において、神様の立場は抹消され、つまり・・ただの人になっちまいますぅ・・・」 アホの坂田はウルウルと泣き出した。こいつがただのアホなら相手にしないが、「アホの神様」ならば事情が違う。 俺は持ち前の「やくざ魂」に火が灯るのを感じていた。
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アホの坂田が笑ってる
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