本格ミステリ練習帳

長い放課後になりそうだ……ってなことを考えているヒマがあるならブログ書きやがれってことですね、ハイ。

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今月の講談社文庫の新刊である、有栖川有栖の『マレー
鉄道の謎』を読み終えました。エラリィ・クイーンにならい、
タイトルに国名を冠した《国名シリーズ》の第六作で、
その中での長編としては第二作目にあたります。メイン
キャラクターは、《国名シリーズ》に限らず、著者の
作品に多く登場している、「臨床犯罪学者」火村英夫と
語り手でもある推理作家の有栖川有栖のコンビです。

事件の舞台はマレーシアの高原リゾート地、キャメロン・
ハイランド。そう、列車の中ではないんですね。友人が
経営するホテルに滞在していた火村とアリスが、テープで
完全に目張りされた密室殺人の謎を追究するという、王道の
本格ミステリです。有栖川有栖の作品は、おそらく著者自身の
創作姿勢からしてそうだと思いますが、本格ミステリの正統を
強く意識したものなので、本格ミステリファンには見逃せない
ものばかりです。

物語は「謎の解明と犯人捜し」に、かなりの重点が置かれて
います。ミステリなんだから、それが当たり前だという感じも
しますが、これほど真正面に「ミステリらしさ」が濃縮
されたミステリを、最近はなかなか見かけないなぁとも
思うのです。

火村とアリスには帰国の日程が迫っており、それが全行動を
事件の調査に費やす原因になっています。また、リゾート地と
いうきわめて狭い範囲の物語でありながら、孤島や館で
起こるような事件ほどには、容疑者や調査すべき事項が限定されて
いません。あれこれと推論は広がる一方で、簡単にはしぼりこまれて
いかず、推理に予断を許さない展開になっています。

そんな中で、事件のポイントとなった目張りされた密室が、
すべてを解決しうるひとつの焦点として、この物語の
核をなしています。『マレー鉄道の謎』は、この密室を
メインにしたミステリでありながら、そのトリックを
披露することだけに終始せず、その真相を見抜く過程までをも
楽しませてくれるという、ミステリのお手本らしさを
きちんと備えたミステリだと思います。

ですから、読了後、何気ないところに伏線が張られていた
ことに感嘆してしまいますし、また、舞台がマレーシアで
あることまでもが、ある種の必然性の上に設定されたもの
だったということにも、思いが及びます。国内を舞台に
設定して、同じ物語を・・・というわけにはいかなかった
のです。

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閉じる コメント(2)

「マレー鉄道の謎」は私が2番目に好きな、有栖川先生の作品です。ちなみに1番は、「双頭の悪魔」です☆

2005/5/27(金) 午後 11:53 [ あゆ ]

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『マレー』が二番目に好きだというのもうなずける完成度の高さがありますね。僕も『双頭の悪魔』はベストだと思っています。江神部長の新作が待たれます。

2005/5/28(土) 午後 4:02 [ キット ]

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