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4月1日のことである。 4月1日だからといって、エイプリルフールなことを言うつもりはない。 この日は、ただただ疲れていたのだ。 朝、玄関のドアを開けるとすがすがしい晴天だった。 前日の雨のせいか空気が澄み切っていた。目に飛び込んでくるすべてのものが輝いていた。 空は隅々まで青く、世界が明々とまぶしい。 空の青さにあいまってサクラが浮き立って見えた。 なんというすがすがしい朝。 なのになぜかボクは疲れきっていっていた。こんな朝だけは座って行きたいものだと思った。 電車に乗って、途中で降りそうな人の顔を捜す。 降りそうな人の顔は長年の電車通勤で、分かるようになっている。 降りる人の顔を知っていれば、もちろん「バッチシ!」と思うところだが・・・。 そんなところはすでにマークされていて、立ち位置を確保できるわけがない。 周りをぐるりと見渡してみれば・・・。「コイツ、コイツ降りそうだ」 ここぞと決め正面にたった。 目の前に座る人は、一つ目の停車駅で、駅看板が確認しつつごそごそしている。 「コイツ、そろそろ降りるな」 疲れているのに、頭によぎるのはそんなことばかりだ。 開いている本に集中できるわけもなく、ページがいつになっても進んでいかない。 「そろそろ降りるな」 「そろそろ降りるな」 「そろそろ降りるな」 「そろそろ降りるな」 この言葉を何回繰り返しただろうか。気がつけば、コイツ以外の全員が降りて行き、 また別の人が座っては降りていった。 滅多に降りる人なんかいない中で、この日に限って、降りる人ばかり・・・。 「いったい今日はどうなっているんだ」 「いったいいったいー、どーなっているんだ」 ボクは、天を仰いでそう叫びたかった。疲れも絶頂に達していた。 いくつもの駅が過ぎ、近くの座席がようやく開いたので、どうにか座ることができた。 これで、何とか疲れのほんの少しでも癒される。 ボクは深く腰掛け、頭を落としつつおおきくため息をついた。やれやれ・・・。 電車が動き出すとき、どこの駅か確認した。 丸い太い柱に大きなゴシックの文字で「有楽町」と書いてあった。 「おーい、おーい。この電車とまれーっ!!!!!!!!!!」 ボクは降りるべき駅で座ってしまったのだ。そうして、朝から乗り越すこととなった。 4月1日なら、冗談だといってくれー。 車内アナウンスは無常にも、「つぎはー、銀座1丁目です」と無意味に大きく響いていた。。。 ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。ボクを乗せて電車は軽やかに走っていく。。。 ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。 ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。 ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。 ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。 ウウウッセーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! ガタンゴトン、ガタンゴトン〜〜〜〜。
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