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朝。競り上がりながら白く輝く積乱雲の向こうに、パステル絵の具を流したような青く抜ける空。
空気が透明度を増して来ているのか、やけに光が、そして空気がボクの視界にまぶしい。
こんな日は、高山にかかるガスや霧もきっと、山々を覆い隠すことを忘れているに違いない。
そんな思いが、駅までの蒸せる熱気の中で頭の中のスクリーンに映し出されていた。
こころの中の映像と、目の前の現実とのギャップがとても楽しく、ボクは暑さも忘れ、
ジャケットを羽織った。ジャケット下で滴り落ちる汗を感じながら、森の水場にも似ていると、
小さく流れる泉のしずくのように胸元から、腹部へと伝わっていく快感をかみ締めた。
夜。地下鉄の階段を下りようとしたとき、一瞬、さわやかな風を感じた。
今夜は、比較的にさわやかな夜になりそうだ。そう思ったとき、風の来た実道を歩いて見たくなった。
ちょっと東京タワーを見ていこう。高速道路の車の音も群れる人の大声も耳には入らなかった。
ただ、頬に優しく押し付けてくるような熱気と、その熱気を冷ましてくれる一風が楽しかった。
もっているだけのジャケットも、邪魔に感じないほどよい散歩道だった。
公園では、消防団が大きな覇気のある声で、涼を得ての夜中の訓練をしていた。
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