|
東京では、ほんの一瞬、雲の隙間ができ・・・、 「今なら、一瞬、見られる」と、早昼に出ていた伝様から連絡がはいった。 連絡をもらった瞬間に、ボク屋上に走った。 ゲームのボタンを押すように、エレベータのボタンを押す。 連打連打連打連打〜、そうしたのが良かったのか、エレベーターはすぐ来た。 エレベータで行ける最上階まで行き、はやる気持ちを抑えて、屋上までの階段を一気に駆け上る。 このドアを開くと、数十年に1度という日食が、東京では75%というが、それでも見ることはできる。 朝は豪雨となり、どうにか雨は上がったが雲は厚い。今日は全く見ることさえできないと思っていたのに、 なんと素晴しい情報だろう、と思った。やはり、持つべきものは友、いや先輩、いや上司・・・。 だが・・・・・・・・、屋上のドアは硬くロックされていた。 「なんじゃ、こりゃ〜〜〜っ」 途方に暮れ、ドアの前でうろうろしていると、胡散臭そうに管理人がやってきて、 「どうしたのですか?」 「いや、いま一瞬の雲の隙間に、にっにっ日食が見られるって〜〜〜」 「じゃー、ちょっとまって・・・っ!」 素早く鍵を取り出し、開けてくれた。 この人にそんな俊敏な動きができるのかと思うほどの素早さだった。 ありがたい、なんと優しい人だろう。 しかし、屋上に出るまでにわずかながらロスがあったことは事実だった。 ほんの3分ほど経過に、雲はまた厚くベールを広げ、太陽の道を閉ざした。 「何だ見えないじゃない」。後から数人が連られて入ってきていた。 「だってー、伝様から携帯で連絡あったんだもーん」 「伝様、伝様か〜〜〜」 みんなことごとく、伝様と叫び、おそらく、その顔を鈍色の雲に映し出していたに違いない。 ボクは目を閉じ、心の目でしっかりと、今日の皆既日食を見た。ことにしよう。 |

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用


