とぼとぼ Tamagoro

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太陽寺に向かう手前、展望駐車場近くの木立の中でさえずりが聞こえていました。

はじめはヒガラの声と思ったのですが、やや節回しが違っていました。


見上げてみれば、ムシクイです。




かなり大きな声で、チュピチュピと聞こえていました。


そのさえずりから、センダイムシクイ、メボソムシクイではないはず・・・。


さりとて、エゾムシクイそれほどの金属音を発してもいないようですが・・・。

妄想と遠征と凡庸

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いつだって、夏には冬のいいところばかりを思い出し、
冬には、夏の楽しい思い出だけを作ろうとしている。

仕事が忙しくて、寝られない日が続いても、
休みを取れずに何週間も朝から朝まで、夜から夜まで日暮PCに向かって、
不健康極まりない日々を過ごしても、
ボクの頭の中は、何かそこにはない別世界に浮遊物として存在していることがある。
それは、ボクの身体と精神が完全に分離した状態なのかも知れない・・・。



いまさら、言うまでもない。
ボクが妄想だということを隠すつもりはない。
妄想癖があるという状態なのではなく、もう妄想そのものになりきっていることがある。
妄想が一人歩きして、ボクの身体とは全く時空を超えた、精神世界に彷徨っているのだ。


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ただ、今回は様子が違っていた。
ボクの身体と精神が、一体化し、それは「身体」、「精神」、「妄想」の三位一体と化したのだ。


遠征がしたい。遠征がしたい。遠征がしたい。
その衝動が、徹夜仕事の朦朧とした脳内にはびこりだしたのは先週水曜日の夜中だ。

それまで、モニターとのにらみ合いの挙句、ピクセルの一つ一つが形になって、
鳥という形に見え出し、瞼の裏に見え隠れするようになりだした野鳥の姿・・・・・・・・・。

それはRGBのくし型のあまりにも単調な世界が、赤や緑や青の世界に広がっていく・・・。

青は空の色であり、緑は夏の大地か森の色であり、そして・・・、
赤は、アカショウビン・・・、なのかももしれない・・・・・・!?!?!?

その漠然とした取り留めのない、光の渦が昇華し、その中にボクは週末のボクの姿を描き出していたようだ。


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輪郭の定まらない夏鳥の姿が少しづつ、形成化してきた。
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それは、悲しくもボクから去っていく姿か・・・?


遠征するぞー、遠征するぞー   

まるで、何かに取り付かれた霊媒師のようだったと、人はいう。
うわごとのようにいっていたようだ。

「ああああ〜〜〜、おおおおお〜〜〜、きききき〜〜〜、くくくくく〜〜〜、こここここ〜〜〜、ささささ〜〜〜」。
恐かったと人はいう。

全く意味不明の叫びを解読機を使ったという。
そうしなければ、ボクが永久に現実社会に一生戻れないのだと心配してくれたらしい。

しかし、解読機にかけてすぐに解読できて、みな安心したという。
つまり翻訳機は、こう解読していた。

「アアアアカショービン〜〜〜、オオオオオルリ〜〜〜〜、キキキキビタキ〜〜〜、クククククロツグミ〜〜〜、コココココルリ〜〜〜、ササササンショウクイ〜〜〜」。

それさえも、はじめは何かのおまじないか念仏と解した輩がいたようだが、
ボクの撮鳥の執念を知る人間によって、恐怖から解放されたのだった。



そんなことが、ほんとうにあったか否かは、そのことがすでに過去となった今、真実は定かでない。
定かではないが、その後、ボクが遠征に出たのは事実だった。




遠征という定義が、どういうものかは知らない。
しかし、MFを出たら、それは遠征という言葉がふさわしい。
そう遠くなければ、プチ遠征となるのだが、遠征といえばプチ遠征を大きく上回るということだろう。
最近は、おおよそ片道150kmのフィールドに行くことが多くなった。
しかし、先週末は、走行総距離700kmを車の距離計は示していた。
ここまでくれば、立派な大の付く遠征と云わざるをを得ない。



大遠征の結果は、いまさらもう、いうつもりもない。
過去のことは忘れよう。それが男だろう。
雨にたたられた大遠征の話などしたところで面白いわけがない。
雨がひどくなって、ポンチョのフードを頭に掛けたら、
フィードに溜まっていた雨水が、バッシャーと頭から首、背中に入ってきた、などと楽しい話ではない。
ポンチョというものが、見かけは動きやすいように見えて、実は隙間だらけで雨風に弱いことを、
誰が想像駄にできるだろうか。思い機材を抱えて、雨の中を移動している姿など、想像するだけで滑稽だ。
レンズも濡れ、手に付いた水滴でカメラも濡れ、雨の中で佇む身体も手もフヤケ出していた。


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サンショウクイが目の前にやってきても、カメラのレインカバーをあげているうちに、どこかにいってしまう。
それをあざ笑うかのように、近くの木々の絡まる束の中で休息をしている。
「晴れだったら、雨さえなかったら、もっと寄れる。寄る気にもなる。絶対、いいショットが撮れる」。
そういいながら、身体は全く動いていなかった。どうせ、撮れない。撮ろうとする瞬間にいってしまう。
こんなマイナス感情がすべてを支配し始め、そんな気分に対して、自分ながら苛立ちを感じていた。
そして、気づけば、そぼ降る雨の中で、身体は硬直し始め、筋肉はわずかに震えていた。


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死後硬直とはこういうものだろうかー。
そんな気配にボクはひたすら闇の中へ歩き始めた。





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