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そんなわけで、 雨にしっとりと美しいサクラの散り際に、あるいは、艶やかに輝く新緑に目をとられていたのか、 慣れた道だとたかをくくっていたら、峠のT字路を曲がるべき方向を間違えて20分のロス。 さらに、曇りとの天気予報もむなしくはずれて・・・、雨。 5時過ぎに現地入りしたものの気持ちの高鳴りが、どうも静かだった。 がーーーーーーーーーーーー! キビタキのペアがものすごい羽音を立てディスプレイの展開中〜。 萎えた気分は一気に覚め、カメラを・・・、三脚を・・・、あわて転げるように準備。 しかし、あせると尚更時間がかかるもの、準備ができたときには、ディスプレイどころか、 キビタキの姿も羽音もすっかり消え去り静かな雨のしたたる森となっていた。 オオルリもキビタキも囀っていて、少しは撮ることができた。 その後のことを思うと、これだけでも撮れていて良かったと満足している。 ここにも、そこにもあそこにも・・・、まるでさえずりのシャワーである。 その声々に混じって、クロツグミもコルリも歌い出した。 サンショウクイも時折、声を弾ませ、カラ類も大勢参加でなんとも大合唱の気配。 新緑ばかりでなく、幹にしたたる雨のしずくも震わせ、ボクの心は舞い上がるばかりだ。 「何とか、みんな姿を現せてくれ」願う気持ちは熱くなるばかりだった。 「CDの音ばかりでなく、映像付きのDVDのように・・・、さー、姿を見せておくれ」と願う。 何とか、サンショウクイを撮りはしたものの、空抜けと光量不足でなんだか良く分からない。 証拠写真にもなりゃしない。 ボクのすぐ脇では、ミソッチが雨の中、高らかに春を歌っていた。 歌うのはいいが、口の中に雨が入りはしないかと心配していたが、 それをあんぐり口をあけ、間抜けに見ていたボクの口の中に、梢から落ちた水滴が落ちてきた。 ナイス、ホールイワンだ。初夏の味がした。 クロツグミもコルリも声ばかりで姿が見えない。 長い間、移動せずにさえずりは止まらない。 しばらく待っていると、雨音が激しくなってきた。 さえずりに変わって、雨音が森を支配し始めていた。 いつの間にかさえずりは全く聞こえなくなっていた。 そのころになって、初めて気づいた。 ボクは全身ずぶぬれになっていたのだ。 雨の日は決して撮影には出ないつもりでいたから、合羽の用意があるわけはない。 カメラだけは、大き目のビニールゴミ袋に入れてあげた。 まさか、たとえゴミのような人間であってもボクがゴミ袋に入るわけにはいかない。 第一、入れるもんなら入ってみろ、といわれそうだ。 後で拡大してみると、コサメビタキだった。 雨の軌線がわずかに写っている。 これが、本当のコサメビタキか〜〜〜!? 雨がしげくなってきた。 さらにボクの身体は森に溶け込むかのように塗れねずみである。 アカゲラを見つけたのを潮に、降りしきる雨の中、帰路についた。 上にレンズを向けると、雨がレンズを容赦なく濡らしてくれる。 大切な大切な、仕事なんかより絶対大切なレンズが〜〜〜。 もう、帰るっきゃないわけで・・・。 帰りの車内は、濡れた体を乾かすのに、暑さでめまいがするほどエアコンを最大に利かせた。 連休&1000円渋滞もそれほどでもないうちに、高速道路を向けることができた。 家に着いたころに、すっかり出発前と同じように、むしろボクの体はカラカラと乾いていた。 「ヒンカラヒンカラか〜〜〜」。そんな慰めが、妙にさびしかった。 混む前に、混む前に帰らなければと思う気持ちは、森に忘れ物をしたかのように、 寂しさを突き上げてきたが、早朝5時から9時までのわずかな時間の至福の時を感じないわけではなかった。 今こうして、後になって見てみると、雨中の撮影もなかなかいいものである。 風邪を引かないだろうか、体調を壊しはしないかと、スリム満点だ〜。
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