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アカウソ ところで、いまボクのいる所は、ひとつの山の頂です。 その頂は、南北に30m、東西に50mくらいしかありません。周囲は来た道を残してみんな谷、谷、谷。谷の原風景のようなところです。谷の向こうには名も知らない山々が連なるばかりで、稜線の向こうには広がるのは空、空、空。空ばかりです。 ボクのいる頂の周辺は、春には桜、梅雨の季節にはアジサイの見どころなのかも知れません。谷底まで続くようなつづら折の遊歩道のところどころに木製の見晴台が設えてありました。 Yuzoさんはどこに行ったのかと思ったら、つつじの木の向こうの見晴台でマヒワの群れを眺めていました。ボクは1段高いところにあがって山並みを眺めていると、コツコツ、コツコツと聞こえてきます。コツコツ、コツコツ、ゲ〜〜ッ。アカゲラが近くに来ているようです。耳を澄ませて方向を探ってみると、Yuzoさんの前のほうから聞こえてくるのでした。ボクは急いでYuzoさんの所まで走っていくと、 「アカゲラがそこに」 「えっ、どこどこ?」 「そこそこ」 「どこどこ」 「もういっちゃったけどね」 ボクは結局見ることさえできなかったのでした。 Yuzoさんのカメラモニターには、頭の天辺を赤々と染め上げた綺麗なアカゲラの姿が写っていました。やはり、こういった大自然の中で育つ固体は、一際美しく太陽の光を吸い込んでいるように見えたのでした。そんな風に考えてみると、ここはボクの住んでいるところより、かなり太陽に近いところなのです。 地球温暖化などという現象などいう考えもありえない、この木々の豊かな、人工物からほとんど隔離された山のまた奥の自然の営みは、自分が人間であることより、単に自然の中の一生物に過ぎないという感傷的な思いに耽るばかりでした。風が吹いても雲が流れても、太陽の日差しが出ても隠れても、全てが自然のまま。そこに集う野鳥たちも自然のまま。自然のままに生きる野鳥たちが、どうしてあんなにも色々な色をまとっているのか。人間は、何の色もない、肌色それは、単に土の色に過ぎない、そんなことを考えていたのでした。 足元はすぐに谷への入り口。谷の中に浮き上がるようにアカウソが小枝に止まっていました。 耳を澄ませば、精霊たちの息使いがかすかに風に乗って聞こえてきました。 |

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