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地上に出たところの駅で地下鉄は止まっていた。反対側の1番線にも私鉄が入ってきた。 どこかの駅で客同士のトラブルのため遅れたらしい。 行き先の同じ電車は、「1番線が先に出ます」とアナウンスされていた。 皆さん少しでも早く帰りたいのか。1番線には人があふれ、乗車率200%ほど。 ボクの乗った2番線は70%ほどのスカスカ。 しかし、同時に出発した。さらに車内アナウンスが流れた。 「この電車は、S駅から先は、1番線の電車の後の出発になります。S駅から先にお急ぎの方は、 1番線の電車にお乗換えください」 S駅に着いた電車は、ボクの乗った地下鉄だったが、出発は後になるのだろ。 急いだところで5分とは変わりはしないならのんびりと、を決め込んでゆったりとしていた。 どういうわけか、S駅に先に着いたのはボクの乗った地下鉄だった。 先に到着したのが1番線に入線するのか、いつの間にかボクは1番線の電車に乗っていた。 結局・・・、 乗車率200%の電車を置き去りにして、アナウンスどおりボクの乗った1番線の電車が先に出発した。 いったいどっちが1番線で2番線? 1番線でも2番線でもどっちでもいいけど、情報は正確でないといけませんね。 こんなことでは、客同士のトラブルどころかー、 今頃、駅員がつるし上げられるのではないかとゾーとした。
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電車で1時間
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通勤で電車に1時間乗っているってこと。
電車に1時間も乗っていると、色々な人を見かけます。ちょっと楽しくなるようなことがありますが、ほとんどが、いやなことばかりです・・・。
この書庫をはけ口にして、明日もがんばりたいィ〜。かな。
この書庫をはけ口にして、明日もがんばりたいィ〜。かな。
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中途半端な行き先の電車は妙に空いていた。いつしか眠ってしまったようだ。 終点近くの駅に着くたびに、春の風が前のドアから入って来て後ろのドアから抜けていく。 目が覚めたときはボクは涙を流していた。 キーを「つのはず」と叩くと、「角筈」と変換された。PCに登録された名称のようだ。 かつて、角筈とかかれていたバス停の看板は、今は「歌舞伎町」となったらしい。 いつの時代のことかボクには分からない。しかし、この場所で父親に捨てられた恭一。 東大を出て商社に入り第一線を突っ走ってきた。 仕事が忙しいばかりで、そのことを忘れていたわけではないのだろうが、プロジェクトの失敗により左遷。 その送別会の酔いに任せてやってきたのが、昔の「角筈」。 そのバス停で麻の白背広にパナマ帽の父親を見つけた。幻であった。 話は、進んでいくのだがボクは涙を流しながら、眠りに落ちたらしい。 今回もすんなり泣かされている。 1行1行の情景が目の当たりに、映画を見ているように浮かんでくる。 恭一と妻の会話の一言一言が心にしみていた。 「角筈にて」。またしても浅田次郎にやられてしまった。
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どんよりと厚い雲の夜でした。 暗がりの角からうつむき加減に現れた青白い顔。 顔だけが、こっちに向かってきます。 冬の名残の冷たい風が頬を伝わるとき、冷たさの中にぬるいにょうな感触がありました。 近づいてくるうつむいた青白い顔を、どうボクは見過ごしたらよいのか、 考える余裕もなく、目の前まで来たとき・・・・。 うつむいた顔を上げました。 その青白い顔に反射した光が、目と口を浮かびあがらせました。 そういえば、帰りの電車の中で、コートのポケットに手を突っ込んだまま、 隣に座ってきた男から、死臭が漂っていました。 ときどき、「う゛〜〜、う゛〜〜」とうなる声が、気持ち悪くて、 ボクは体を反対側に向けていました。 時々、ごそごそと動くのが気味が悪くて仕方ありませんでした。 正面に立つ女の子は、近でもいないのにひざを押し付けてきます。 下げたバッグがボクのスネを電車のゆれとともに、そーっとなぜまわすのです。 顔を見ることができません。体を動かすことができません。 青白い顔の下には白い首、近づくとともに肩の線も少し見えて来ました。 ボクは見ない振りして通り過ぎるべきなのか、正体を確認すべきなのか・・・・。 体はだんだんかたくなって行くのを感じていました。。。
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ボクは・・・、いったい、なぜここに? 事務所を出たのが19時くらいだったと思う。 気がつけば、来たこともない知らない駅。 ここは、どこ? なぜここにいる? 何時になるのか・・・。 向かいから颯爽とやってくる女は・・・・。
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私鉄線に乗り入れる直通の最終電車は混んでいた。 最近、あまりこの時間になったことがなかった。 幸い2つ目の駅で座れたものの、こんなに混んでいたものなのかとつくづく思う。 それにしても、今朝から読み始めたシリーズは、憶えにくい名前の登場人物が多いためか、 浅見光彦の登場しない長いプロローグは退屈でたまらない。 地下鉄から私鉄線に変わるころには、すっかり目の前の人ごみはどこかに散っていった。 目を上げると、真正面に友人佐々木某が座っていたのには驚いた。 人垣に隠れて見える由もなく、30分以上も気づかなかった。彼から、玉梧郎に気づくはずもなかった。 彼は大きく分厚いバッグを足の間に置き、手元からは文庫本を落とし顔を赤々赤と染め上げ爆酔中だ。 降りる駅まではまだ遠い。玉梧郎は、声をかけずに着いたら起こしてあげることにした。 ところが、10分もしないうちに突然むっくと立ち上がった。 何をするのだろうと眺めていると、本を落とした。大きな分厚いショルダーバッグを提げ、 自由の利かない体制で拾おうとするから、当然ながらよろけている。 「おっとっとーー」。「ふふ、ヤッコサンかい?」。そして降りようとした。 「こりゃいけねー」。玉梧郎は俊敏に彼の腕を捕らえ、引き留めた。 そのときやっと、玉梧郎に気づき、 「お〜〜、何やってるの〜?」。寝惚けてろれつの回らない声でいうのだ。 どうも、なぜ降りないのか疑問らしい。 「まだ、○○駅だよ」 「お〜〜、そかそか」と、愛想笑いにしては大きな声だ。 玉梧郎は、向かいの広く空いた席へ手を差し出した。 「どうぞ、どうぞ」 「起こしてよー」といい残し、また深い眠りに落ちていった。 自分でさえ乗り越すことを心配しているのに、だけでなく、ひとを起こしてあげなければならない という使命感から、玉梧郎は、極度の緊張のため浅見光彦のまだ登場しない退屈なプロローグも、 同じ行ばかりを繰り返し繰り返し、壊れた蓄音機のように読んでいた。 その間にも、友人佐々木某は、あいかわらず赤々とつやのいい顔で眠り込んでいた。 明日の仕事の組み立てを考えているのだろうと、玉梧郎は思った。 さすが大企業の中間管理職ともなるとたいしたもんだな〜〜、と感心していた。
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