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なんてない・・・・ ただいつもよりは暖かい。そんな陽気に誘われてぶらりと「梅の花でも愛でようかね」とばかりに出かけてきた。

ここ大宰府は「梅」の名所だ。2月も末だともう散っている花もちらほらある。
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ミラーレスのモニターを眺めながらもう少し足を伸ばしたくなって「鹿児島本線」で久留米まで行くことにした。
遠出というほどではない。私が通っている「写真学科の大学」は福岡にある。
「なぜ九州の大学?」親も友達もみんな聞いたけど、

自分の学力と家から離れてみたい気持ち、唯一のシュミ? 写真を日常的にやっていたい。そんな気持ちで大阪から九州までやってきたわけで、なにか特別拘りがあった訳でもない。そんな私に叔父は笑って「血筋やな。」ってよく言ってたっけ?

暖房の効いた列車の中でぼんやりしながらふとそんな叔父の言葉を思い出した。
体育教師をしている頑固な父とは対照的な温和な雰囲気のある叔父は、病院で看護師をしている。この似ていない兄弟のどの血筋? って言われると実はどちらでもなく、叔父が言ったのは「趣味人」の祖父の事だ。
父は祖父の事は良くは言わない。仲が悪かったわけではないらしいが、温和で器用な叔父の方がよく一緒に何かをしていたと聞いた。
祖父は写真で仕事をしていたこともあったらしいが、「作品」など見た事もない。ただ祖父の話を色々聞いただけで、今の自分の趣味と関わり合いがあるとも思えない。でも叔父は笑って「そっくり」という。気分的には悪くなかったかな。

久留米についたころにはもうあたりは薄暗かった。
私はお腹がすいたので「久留米に来た理由」を「撮影」から「ラーメンが食べたかったから。」に変更することにした。
駅前の「おいしそうに見える」ラーメン店で注文したものが来るまで、カウンターの地方情報誌をめくっていた私はそこに「天文台」のページを見つけた。別段星を眺める趣味はない。なんとなくメカメカしいものに興味があった。
ちょうど土曜で夜間公開しているようなので、。ふと立ち寄ってみようと思った。
そうなれば、ゆっくりラーメンを味わう時間はないのだ。やや猫舌(これも遺伝の一つ)を押して私はラーメンをすするのだ。

柳川大牟田線にのり数駅。天文台は筑後川のすぐ横にあった。建物の上に銀色の「相当年季の入った?」ドームが見える。
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玄関に入ると一人の男性が近づいてきた。来館者名簿に名前と住所を書くのだ。
男性が見守る中、私は自分の名前を「出来るだけきれいな字で?」フルネームで書いた。私の名前「美宙」は形がとりやすい。自分でもまんざらではないサインのあと、顔を上げると男性が真面目な顔で私のその署名をみている。
「あれ? 字汚かったかな?」
つられて私も自分の名前を見直した。
「ああ・・すいません」
「では、ご案内します。」
30代半ばだろうか、案内されながら彼がここの館長さんであることを知った。
彼は「はると」さんと言らしい。やっぱり私より一回り以上上だった。

さっそくドームにあがって望遠鏡で星を見せてもらう事にした。大小を含め生まれてこの方「天体望遠鏡」など覗いた事はない。全く興味がないとはいえ、それはそれで少し「わくわく」もするのだ。
ドームに上がる階段の壁には「天体写真?」がパネル展示されている。見たことあるような「赤や青」「渦巻き」十数点はあるだろうか。
その中の一枚が視線に入った時「私の足」が自動的に止まった。

それは「星」の写真だった。画面の中央に「青と黄色」の星が「肩を寄り添って」輝いている。ただ星の写真・・・でも、私はその写真が一番気に入った。
「ああ、それ私の伯母が撮ったんですよ。」
「えっ? 女性の方の作品なんですか?」
「他のと雰囲気違うでしょ。」
「ええ、でもこの写真が一番好きかも。」
「じゃあ、それを望遠鏡で見てみましょう。」
そう言って「はると館長」は私を連れてドームに入る。
そこには「生まれて初めて見る巨大な?」望遠鏡が鎮座していた。
イメージ 3
「さっきの写真の星」を自分の肉眼で見ることができる。
それは、なぜか私を興奮させるのだ。
軽い地響きなような音を出しながら館長が操作した望遠鏡は動き出す。手で動かすのではない。パソコンで動かすみたい。ラーメンをすすっていた30分ほど前まで、自分がこんなに「ドキドキ、ワクワク」するなんて思ってもいなかった。
私は自分の中の「遺伝性好奇心」がうごめくのを感じたのだ。祖父も「星の写真」を撮っていたらしい。
「どうぞ。」
館長に促され、私は「200%の期待をこめて」覗いた・・・・
「M44.プレセぺって呼ばれてる散開星団です。」
「かに座の甲羅の中央に位置します。」
「どうですか?」
期待を込めて覗いた私は言葉を発せない。感動したからじゃない。違うのだ・・
期待200%で覗いたその先には「星はある。」でも青や黄色の色も見えてはいなかった。小鳥の巣の中の雛のように寄り添う可愛らしさも感じないのだ・・
「色がわからないですね。」
そう答える私に館長は「やっぱり・・」みたいな顔で
「倍率も大きいし、肉眼だと色はネエ・・・」
みたいにすまなさそうな顔で答える。
「写真だと写るんですが・・・・」

少し、がっかりした。最初に「あの写真」を見るべきではなかったのだ。
「やっぱり特殊なカメラでないとあんなふうには見えないんですね・・」
自分を納得させるために私はそう答えた。
「いえ、普通のデジカメで写りますよ。」
えっ?えっ?
私はとっさにバックから愛用のミラーレス一眼を出しながら、
「これでも写りますか?」
それは今までにない興奮だった。
「望遠があったら・・・」
「ZOOMなら、あ、ありまっす!」
じゃあ、ベランダで、ちょっと撮ってみますか?
「あっ、はい。ぜひ!」

ベランダに出て待っていると館長は三脚を持ってきてくれた。
「感度は高くして、ピントはマニュアルです。」
「シャッタースピードは望遠だと星が流れるので数秒で・・」
私は気温が低いのに「変な汗をかきながら」館長の言うとおりにする。
「レリーズがないから、セルフタイマーでシャッター切ってください。ぶれます。」
な、なるほど・・・・
ではISO12800で5秒・・・・
こんなでいいのかな・・?
そして、また「200%の期待を込めて」シャッターを切った。
おそるおそるプレビューボタンを押してみた。
そこには「青と黄色の星」があった。ただ倍率が低い。やっぱり輝き感もない。
ただ、失礼ながらそこには望遠鏡で見た時とは違った感動があったのだ。
「どうですか?」
不安げに眺める館長に「小さいけど、色が見えマス!」と私は答え、
「でも、伯母さんのあの写真には到底及ばないですね・・」
と、付け加えた。
「そうですね。星を追尾する赤道儀って機械があればそんな難しくはないんですが」
やっぱ、専用の機材がいるんだ・・
相当がっかりして見えたのだろうか?館長は話題を急に変えた来た。

「そういえばお嬢さん大阪の方ですか?」
「ええ。やっぱ言葉でわかりますか?」
「いえ、実は伯母の知り合いに同じ苗字の方がおられたもので・・・」

祖父だ!私は直感した。以前の叔父の話に祖父が星の写真を撮っていたこと。全国に同士というか仲間がいて活動していたと聞いたことがある。
「もしかしたら、それは私の祖父かもしれません。」
答えながら私は不思議な感覚につかまった。こんな知人の居ない場所で。私にさえ記憶の薄い祖父の事を知ってる人に出会う。これって偶然なんだろうか?
「もし貴女のおじいさんなら、赤道儀があるかもしれませんね。」
「さあ・・見た事も聞いた事もありませんが一度親に聞いてみます。よかったらまた教えてくれますか?」
「ええ、ぜひまた来てください。いつでもご連絡いただければお教えさせていただきます。」
館長に丁寧に頭を下げ、私は速足で駅に向かう。急いでいるのではない。
早く駅について「叔父にメールしたい」のだ。

駅のホームに入るなり即私は叔父にメールをした。
「久しぶり。急に変な事聞くけど、赤道儀って知ってる?」
夜勤のある叔父だ。
「お願い!今日は夜勤じゃありませんように。」
早く返事が聞きたい。
「久しぶりやな。元気か?しってるよヽ(゚∀゚)ノ」
絵文字付きで返事が来た。
「おじいちゃんの使ってたやつって・・・」
「俺がもってる(・∀・)」
「それって私にも使えるやろうか?今日天文台に行って、色々勉強してきたんよ。」
「おじいちゃんの事知ってるかもしれない人にも会ったんだよ!」
「(゚∀゚ノ)ノ」
「詳しいことはわからんし、兄貴も全く興味ないからなあ〜(-_-)」
「血筋かな?」
叔父が笑いながらメールしてる気がする・・・
「良いよ!送ってやる。使い方は効くなよ!」
「うん!ありがとうm(__)m」
やった!どんなものか想像はつかないけど、なんかワクワクしてきた。
私は「星の写真」を撮ってみることにしたのだ!

4日後、それは「汚い字」の伝票付きでやってきた。宅配のお兄さんが持ってきたそれは2個口で一個はとても長く、もう一個は重かった。
長い方は中身がすぐに分かった。三脚だ。カメラ用とは違うそれは「専門機材」のようで私は凄く興奮した。
そして、重い方を取り出した。古いトランクに入ったそれは「かなりの機械?」が入ってるように感じる。
トランクには「kotarou tuning the orijin Nr000 GP2」とある。
GP2って赤道儀の機種だろうか?kotarouってなに?おじいちゃんが飼ってた長生きした柴犬がそんな名前だったように思う。おじいちゃんにこれを譲った人の名前かな?疑問はいっぱい湧くのだ。
それでも私はまた「200%の期待を込めて」トランクを開けた。

イメージ 4そこには「角の塗装が剥げた、白い赤道儀?」が入っていた。
ちょっと見るだけで「改造?」されたものであるのがわかる。あきらかに手作業で作られた感満載の部分があるのだ。
なんか「コードを挿す」とこみたいなのが2個みえる。いろんなところにシールというか目印のようなものや、仕様?を書いたようなものが貼ってあった。
「これ、手で動かすんやろか?」
独り言が勝手に口から出た。即送ってもらったのはいいが、さっぱりこれがどういうものか、どう扱っていいのかすらわからない。まして必要な部品が揃っているのかすらわからない。まだちゃんと動くのか?正直蓋を開けたまま、私は取り出しもせず「途方に暮れる」のであった。

念の為叔父に聞いたが、叔父の手元にあるのはこれで全部だということだった。
私は2日考えた末、天文台の「はると館長」に電話をした。
「赤道儀?あったんですが・・なんも解らないんです。」
「ありましたか!よかった。白いのですね?」
「はい。部品?がそろってるかもわからないんですよ。」
「じゃあ、出来るだけ近いうちで時間があるときにでも持ってきて下さい。」
「はい。よろしくお願いします。」

えっ! 持ってきて・・・・えっ?こんな重いの・・・久留米まで?電車で?
私は電話を切ってから最大の難問に直面した・・・・

そうか・・・運ぶのも大変なんだ・・・

そういえば、赤道儀の種類?GP2って言うらしいけど、それは言っていないのに、なぜ館長は「白いの」ってわかったんだろ?
赤道儀って全部白いものなのかな?
機材自体も解らないことだらけ。それ以上に疑問が浮かぶ。
私は来週にでも「この子」を運ぶ方法を考えなければいけなくなってしまったのだ。

続く・・・




閉じる コメント(8)

うーん、なるほど…

奥が深いというか自分達の跡をどう継いでくれるのか楽しみになってきた。

もう一度最初から読み直そうっと。
^_^

2018/2/22(木) 午後 6:55 [ TSUBAKI ]

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将軍様こんばんは
読み出して「鹿児島本線」で久留米まで行くことにした、これは「せぱたん」かなと思っていたら小さな画像「貝塚市民天文台善兵衛ランド」間違いない、こんなに
そっくりな天文台が他にもあるのか、子供用の脚立まで一緒、、、、「kotarou tuning the orijin Nr000 GP2」やっとわかりました。ハッハハッハッハハッハ!!

2018/2/22(木) 午後 10:13 [ 夕焼け熊五郎 ]

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> TSUBAKIさん
こんばんわ\(//∇//)\
そうですね。。。この後どうなるんでしょうかね(笑)
誰がまだ生きていて、誰が登場するのか。。。
散逸した感のある私の機材たちはどうなったんでしょうか?実家にはあるんでしょうかね?実在の人物、はると館長の正体は。。。。第4話あたりで帰郷した彼女の前に現れる2人のおじさんと、2人の老人とはd( ̄  ̄)
乞うご期待\\\٩(๑`^´๑)۶////

2018/2/23(金) 午前 1:36 [ こたろうさん ]

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> 夕焼け熊五郎さん
こんばんわ大王\(//∇//)\
写真はイメージです(笑)書いてて文字ばかりでは愛想なかったので(笑)
御察しの通り主人公は孫です。さてどこまで書き続けることができるか。。。
次回、彼女の前にNr004が現れます。そしてあの伝説の筒も。。。\\\٩(๑`^´๑)۶////

2018/2/23(金) 午前 1:42 [ こたろうさん ]

作者はこたろうさんなんですね。
なかなか文才ありますね、
思わず読み入ってしまったら、GP2が出てきて!でした。(笑)
こんなドラマが何年か後にあるかもですね。というか、こんなことがあったら素敵ですね。続編チョー楽しみです。

2018/2/23(金) 午後 6:09 ゴットハンド

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> ゴットハンドさん
おはようございます😃
学生の時、読書感想文、、、本の帯紙だけ見て書いていたものです(笑)
作家でぶーして印税生活しようかな。。
続編希望の声が思ったより多いので構想を練っています(笑)

2018/2/24(土) 午前 10:06 [ こたろうさん ]

こんにちは(^_^)

最初は誰のお話かわかりませんでしたが読んでいくとお孫さんのお話とわかりました。
こたろうさんの赤道儀、子へ孫へと受け継がれると良いですねー☆

ほっそん

2018/2/24(土) 午後 0:41 [ 大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会 ]

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>ほっそんさん
こんにちは!さて第2話もアップしました。映画化ももうすぐです(大嘘)

2018/2/24(土) 午後 4:58 [ こたろうさん ]


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