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「…では次のニュースです。クリスマスを目前に控え、クリスマス
イルミネーションの点灯が行われました。訪れていた多くのカップル
客が歓声を上げ…」
男
「ったく、うぜぇ〜」
毎年毎年飽きねぇなぁ、この人種は。ったくー…
散らかった部屋で横になりながらテレビに悪態をついてる俺は
剛(つよし)22歳。現在は無職。
この手のニュースは縁遠いし、関係ない。
と、いつものようにウダウダ、テレビを見ていたら…
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母
「つよしっ!早く用意しなさいっ」
一階から母さんが大声で俺を呼んでいる。
俺
「はいっ、はいっ!わかった、わかった!」
ったく、うるせーなぁー…重い腰をあげ、部屋を出た。
俺は今年から親父の仕事を継ぐことになった。正直、嫌だ。
面倒くさいし、“仕事を継ぐ”っていう感覚が古い。
母
「早く来なさいっ!」
階段を下りようとした時、また母さんに怒られた。
いちいち怒鳴られるとヤル気がどんどん削られていく感じだ。
仕事、仕事って…自分で選ばせろよっー…
まぁ、それができれば仕事を継ぐこともなかったんだが…
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親父は職人だ。
寡黙で仕事に信念を持っている。絵に描いたような職人だ。
自慢するわけではないが、親父の仕事は評判が高く
多くの人から信頼されているらしい。
小さい頃はそんな親父を自慢に思ってはいたものの
いつも仕事を優先させ、俺にはちっともかまってくれず
いつしか親父の仕事に憎悪を感じるようになっていた。
仕事ってなんなんだよ…
けど今、俺はその仕事を継ごうとしている…
そんなことを考えながら、階段を降りて部屋に入ると…
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仕事を継ぐことに気を良くしている母さんがニンマリしながら
仕事着を差し出した。
母
「さぁ、剛の為にちゃんと作っといたよ。早く着て見せて!」
俺
「あぁん?こんな真っ赤な服着れるかっ!
恥ずかしいったらありゃしない!」
母
「馬鹿言うんじゃないよっ!“サンタ”って言えばこの色って
決まってんだから!
それにあんなに髭をはやしなさいって言ったでしょ!
も〜、早くしなさいっ!
お父さん、外でずっと待ってるんだからっ!」
外ではシンシンと雪が降る中、荷物をソリに載せ、淡々と準備を
進めている親父がいた。
<終わり>
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