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「 お母様。お母様のお好きなお花の刺繍が出来上がりました。見て下さい 」
保母尚宮を従えて、私の元にやってきたのは翁主。
私の可愛い娘。
今は亡き中宗王様が、私に授けて下さった、宝物。
少女の頃は
私が王様の御目に留まる
などとは、考えた事もなかった。
普通の両斑の娘として、年頃になれば有無を言わさず、父の決めた見知らぬ方の許へ嫁がせられるものだと。
センガッシとして宮中に上がる事になってからは、見知らぬ方に嫁ぐ事はないと思ったけれど・・・
宮中で料理の腕を磨き、育てて下さった丁尚宮様のような尚宮となる
それだけを思っていた。
何故なら、私の周りには、今英や長今といった、料理の才能に溢れた友人がいたから。
長今・・・
私の心からの友・・・
いつも瞳を輝かせて、宮中を走り回っていた人・・・
彼女が無実の罪に問われて宮中を去って間もなくだった。
私が
王様の御目に留まった
のは。
私の人生の節目、節目には、決まって長今がいた。
後宮の片隅に忘れられていた私が、再び王様のご寵愛を受けるようになったのも、彼女のおかげ・・・
そうに決まっている。
私がこの翁主を、無事に出産する事が出来たのも、彼女のおかげだった・・・
中宗王御崩御の直前。
突然、姿をくらまし、愛する方と明の国に逃れたと聞いている彼女。
でも・・・
ほんの数刻前。
信非が知らせてくれた事。
彼女がこの国にいると。
今まで散々お世話になったわ。
長今には。
だから、今度は私が彼女を助ける番かも知れない・・・
「 お母様? 」
刺繍を見ても何も言わない私を見て、翁主が、不安そうな声を上げた。
「 あ・・・ごめんなさい 」
慌てて、出来上がったばかりの刺繍を見る。
「 上手に出来ているわ 」
にっこりと微笑むと、翁主は嬉しそうに笑い出した。
そうだ。
私の今までも、この刺繍のようだったのかも知れない。
色々な人が色々な糸で、様々な模様を縫いだしてきている。
そして・・・
その中でも、ひときわ美しい輝きを放っている模様の糸が・・・長今。
でも、その糸は、他の糸に隠され、ましてや誰かのハサミによって、形が残らぬように切り取られようとしている。
それだけはなんとしても防がねば・・・。
「 大妃様の許に、ご機嫌伺いに参ります。支度を 」
彼女を・・・
愛する男人との許に、ようやく訪れた彼女の幸せを救うことが出来るのは、今、私だけ。
ここにいる私だけなのだから。
終わり
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こちらでチャングムとチョンホ様以外の出演者のアナザーストーリーを読ませてもらうのもとても楽しみです。
ヨンセンの娘…ドラマでも出てきてほしかったです。
再会を喜びあうシーンでチャングムの隣にソホンちゃんがいたように、ヨンセンの隣にも娘がいて、無事生まれてきたことをチャングムに感謝するようなシーン…お互いがお母さんになれたことを喜びあうシーンが見たかったなぁ…と思ったことをお話を読ませてもらって思い出しました。
玉篠さんのお話でヨンセンの娘が元気でいてくれて良かった…とヨンセンが幸せそうで良かった…とうれしく思います。
ありがとうございました。
2008/12/26(金) 午後 4:43
こんにちは。bluekkuun さん。
お話を楽しみにして頂いて、とっても嬉しいです。
そうですよね。
実は私も、ヨンセンとの再会シーンでヨンセンの娘・・・翁主様が出ていなかったのが、一寸不思議だったんです。
ビーラブ漫画版のチャングムには、そのシーンで翁主様も ( 何故か ) 登場しているのに。
ですから、bluekkuun さんのコメントを読んで、とっても嬉しかったですぅ。
ただ、この話を書いた後で調べてみてわかったのですが、当時の王女や両斑の娘達は、月のものが始る年・・・大体11歳から15歳くらいが結婚適齢期だったらしいのですね。
王女様方のお相手となるのは、有力な両斑の息子達・・・それも、王女様より3歳から5歳くらい年下の方がほとんどだったそうです。
ですから、長今と政浩様の別離時代 と 逃亡中の8年間をプラスした翁主様の年齢から考えると、既に嫁いで王宮を出ている可能性もあるわけで。
あのシーンに翁主様が登場していなくても無理はないのかなぁ・・・と、思ってしまいました。
2008/12/27(土) 午前 11:54 [ 玉篠 ]