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精神的慰安で出所しています。
夕食をどこかで食べて戻ります。
さて僕が押し込められているのは、6人部屋です。この階唯一のタコ部屋の真ん中。
Kさんは看護婦から「いる?」って聞かれると「おら〜ん」と調子をつけて答える
面白いおじさんです。「いたいよ〜」なんて言ったりして、最初は20台の青年かなって
思っていましたが、ある日偶然目にしたら、今年70のおじいさんっていうのが、ぴったり。幼児退行としか思われません。普通に話すのを聞けば只のじいさんですが、若い
看護婦が来るとこどもに変身するのです。この前まで真っ白い鼻ひげを生やしてましたが、ガンに
関係なく見事な光頭ぶりです。
日中は殆ど動きません。本病以外にもいろいろ具合が悪そうです。
ところが夜11時を過ぎるころから、行動開始。TVをつけっぱなしで、そのまま朝方に
及ぶ。深夜目を覚ますとさあ大変。チラチラ光りが気になって、寝られない。
それでいて看護婦巡回の時間になると事前に消すといった芸達者です。
その隣りはTさん。このひとは失礼だが臭い。よくよそのベッドに行って座りこんで
話しているのだが、近寄ると匂う。それは寝巻きも外出着も全く同じだから。東海林さだおの漫画なら3匹頭の上をハエが飛んでいる。」
「わたしは先生を信用していません」
「このベッドにIさんは帰ってきません」
いずれも自信たっぷりに断言する。
ところがこのTさんの偉いところは貢ぐ君であるということだ。
20代は粒ぞろい。
30代はふぞろい。
40代以上は台無し。
台無しといっても容姿がそうだというだけで、すぐれた的確な意見を持っている
ヴェテランもいて、いろいろ教わることも多いし感心する場合も多々ある。
Tさんの関心はもっぱら20代。
実に巧みに引きこんでプレゼントする。贈与はもちろん貰う側がいて成立する。
見た目の可愛いそのこは「クックッ」と密かに笑いながらそれを受け取る。
「ありがとう」「ごめんネ」というのが口癖だ。
大体どの看護婦がいつ来るかなんて皆目見当がつかないのだが、どうしてタイミングよく
ああやってモノをあげられるのだろう。
それに最近のTさんは本命以外に対抗を作りつつあるような気がしてならない。
よく別の看護婦が頻繁にベッドを尋ねているからだ。
この分だと数年は大丈夫だという感じだ。
このまえランドリーに行ったら乾燥機の中でTさんの一式が回っていた。
1時間後に洗濯しました。
Mさんは完全模範患者です。
3食とも自ら立って取りに行く。だいたい全部食べる。食べ終えると寝る。
時に散歩し、隣りのTさんに「食べた?きちんと食べなきゃいけないよ」と諭す。
髪はいつも短め。パジャマは水色。笑みを常に絶やさない。
面白さはないが素晴らしい患者で、つい数日まえ退院しました。
さて僕の隣りに入居なさったのが眠狂二郎TUさんだ。
いいおとこである。旅役者の座長風情だ。もの言いは田村正和に似ている。
目は半分眠っているように見える。一見して落ち度のないオヤジだ。
ところがこのTさん。朝方電気かみそりを使う。それも10分間きっちり。重低音が響く。
「ジーコ、ジーコ」洗面所でやれと怒る。僕にいわせりゃ、ベッドで雲古をしたり小便
するのと全く同じ。
病院は9時消灯だ。早い。寝られない。だから1時間位TVを見るのが普通だ。
それなのに狂二郎おじさんは9時に点灯するのだ。明るすぎるのだ。消灯なのに
なぜ点灯だ。
つづく
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なんだか 個性的なメンバーですね^^
観察力に磨きが かかってるような気がします
気晴らしに外出できて良かった
年末年始は 戻れるといいですね^^
2009/12/23(水) 午後 6:57 [ - ]
更新されててうれしいです〜〜(^o^)丿
自分が大変な状況で、こんなに面白おかしく読ませてくれるとは・・・!!傑作ぽち☆〜
大部屋はもう、腹のたつこといっぱいですよね。
夕食6時、消灯10時にしてほしいです。
でもでも、来年はよい年になりますよう!
2009/12/24(木) 午前 7:04