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- 【高音質】今日の日はさようなら

ふるさとプネットPART11(今日の日はさようなら)


「よかったね、トミオくん、ヒサシくん。あなたたちがいなかったら、わたしきっと―、ありがとう」
 しみじみとした声でカリンがつぶやきます。
「らしくねえぜ、カリン。なんか、不気味」
 ヒサシがからかうように言いました。
「もう宿題うつさせないからね、ヒサシくん!」
「これで地球は救われるんだよな、カリン?」
 トミオが言うと再びメモリーの声が、今度は三人の頭の中に同時に語りかけてきました。
―あなたたちの心の力が、思い出に、記憶だけの存在に新しい命を与えたのです。カルマは消滅しました。地球はもう大丈夫ですよ。
「お母さん、お母さんね?いっしょに地球に帰れるんでしょ?」
―残念ながら、それはできません。でもわたしは、カリンの心の中で生きています。ずっといっしょにいるから、もう悲しまないで。そろそろお別れです。
「待って、待ってよ、お母さん!」
―カリン、ありがとね。わたしを忘れないでいてくれて。さようなら。
 大きな爆音がとどろき、ロケットが飛び立ちました。
『うふ、今度こそ行き先は地球でぇ〜す』と、コンピュータの声。

「お母さん?お母さんって、カリン、どういうことなんだ?」
 トミオがおどろいて訊ねました。
「お母さんなの。メモリーはわたしのお母さんだったのよ」
「でも、カリンのお母さんって確か―」
 ヒサシの言葉を遮るようにして、トミオが言います。
「そっか、そうだったのか。カリン、会えてよかったな」
 カリンが涙を拭いながらうなずきます。
「カルマ王が死ぬ前に叫んだことば―。カリンのお母さんはきっと、地球を救うために選ばれた人なのさ。この〈ふるさとプラネット〉の守護者として。だからここに残って、またいつか運ばれてくるかもしれない地球の記憶たちを、見守らなくちゃならないんだ」
 トミオがカリンの肩に手を置いて言いました。
 あっという間に〈ふるさとプラネット〉が遠くなっていきます。ふしぎなことに、青く美しかった星が、今は褐色の乾いた色に変化していました。
 ロケットの窓から、地球に向かっていく思い出たちの、美しい虹色の輝きが見えます。
「もう、あれは思い出なんかじゃない。おれたちのふるさとに戻るんだ。今度こそなくしちゃいけないんだよ。守らなくちゃならないんだ」
 トミオが言うと、ヒサシがちょっぴり不安そうな顔で、
「もう、あの恐ろしいカルマは、現れたりしないよな」
「分からない。それはおれたちにかかっているのかもしれない。二度とカルマが生まれて来ないように、正しい心を持ち続けることができなければ、もしかしたらまた―」
 トミオの言葉に、カリンが静かにうなずきました。
「そう、未来はわたしたちしだいなのよ」
(了)
ふるさとプラネットPART10

 はしゃぎ回る二人を見ながら、でも、カリンにはまだ不安がありました。カルマたちは消えたけれど、二度と再び生まれて来ない保証はあるの?人の心が本当に変わらなければ、カルマはまた戻ってくるのかもしれない。そんな思いが拭えません。
 お母さん、お願い、カリンのそばにいて。戻ってきて。でなきゃ、わたし、これからどうすればいいのか分からない。
「カリン、大丈夫か?」トミオの声に、カリンが微笑みます。
「うん、大丈夫。二人こそ―」
 カリンの頭の中に、メモリーの、いいえ、お母さんの声が再び語りかけてきました。
―カリン、おめでとう。そして、ありがとう。
「おかあさん、どこにいるの?また、会えるんだよね!」
 メモリーの答えはなく、静けさの戻って来た浜辺に、波の打ち寄せるやさしい音だけが切れ目なく続いていました。
 
 疲れた体を引きずりながら三人がロケットに戻ると、船内アナウンスのコンピュータが相変わらず間延びした、でも心からうれしそうな声で出迎えてくれました。
「おめでとう〜。やりましたねぇぇ〜。これであなたたちは地球に帰れますよぉ〜、おー、ミラクル、アンビリバボ〜!超ラッキィィィ〜!」
「おいっトミオ、カリン、あれを見ろよ!」
 ロケットの窓から外を見ていたヒサシが叫んで、窓の外を指差しました。
「カルマ王が滅んだいま、メモリーが言った通り、かつての地球の記憶たちが、今の地球上に実体としてよみがえろうとしているんだ」
「思い出たちが、みんな元に戻るのね」
 カリンはうれしくて、思わずトミオに抱きつきました。
「お、おいっ」トミオが顔を真っ赤に染めます。
 ヒサシがニヤニヤしながら二人に向かって口笛を吹きました。 
 〈ふるさとプラネット〉の美しい自然やそこに暮らす生き物たちが、虹色のオーロラのように光り輝きながら、今まさに空にのぼっていくところです。かつての地球に生きていた木々や花や、アフリカ象やバッファローやオオカミ、ジュゴンやウミガメたちなどさまざまな動物たちが今、ふるさとへ帰って行こうとしています。
(つづく)
ふるさとプラネットPART9

「メモリー、あなたはわたしの―、おかあさん!そうなのね?」
―カリン、わたしのカリン・・・。
「お母さん、生きていたのね!でもなぜこの星に?」
 カリンの胸のロケットペンダントの光が強くなりました。そして少しずつ、虹色の輝きに変化していきます。温かな記憶のフォースが、カリンの胸に流れ込んできました。
「これって、もしかして―」
 カリンがロケットペンダントに触れるとハート型のフタが開いて、カリンの父の顔写真が現れました。今よりもずっと若い頃の父の顔。
 そう、お父さんがこれと同じ、ブルーのロケットペンダントを持っていた。きっとそこにはお母さんの写真が―。
「お母さん、これって!
―カリン、わたしは記憶だけの存在。あなたの心の中だけに・・・。
 ずっと会いたかったお母さん。あまりに幼かったカリンをのこして亡くなってしまったお母さんに違いない。カリンはそう確信しました。
―カリン、会いたかった。ずっとずっとあなたを想っていたのよ。お父さんもわたしもあなたのこと、愛してるの。あなたの未来を、幸せを願っているのよ。だからカリン、負けないで。カルマなんかに負けちゃだめ。お願い、地球を、みんなの未来を救えるのはあなたたちだけ―。 
 いきなり、ロケットペンダントからまばゆい光が弾けました。
―カリン、行きなさい、そしてカルマ王を倒すのよ。
 「分かった。負けないわ!わたしには―、お母さんがついているもの!」
 ペンダントから飛び出した無数の虹色の光の粒がカルマ王に襲いかかり、あっと言う間にその巨大な体を被っていきます。
 苦しげに身をよじりながら、巨大なカルマ王が声を絞り出しました。
「愛などと甘いことを・・・。お前らはわたしだ。同じカルマなのだ。所詮お前らに未来など―」
 トミオとヒサシが˚カリンの元に駆け寄り、流木を持って身構えます。
「カリン、あの光は何なんだ?」
 トミオのことばに、カリンがつぶやきます。
「あれはね、カルマに滅ぼされた生き物たちと、未来を信じる人たちの想いのフォース。そしてわたしのお母さんの・・・。あとはわたしたち3人の気持ちがひとつになれば、カルマ王に勝てるはずよ」
 トミオとヒサシが顔を見合わせ、うなずき合いました。
「行くぜ、ヒサシ」
「ああ、トミオ、分かってる。3人いっしょなら、あんなやつ、もう怖くないさ」
 トミオとヒサシがカリンの前に出て、走り出しました。
「この化け物め、カリンには指一本触れさせないゾォォォ!」
 それに続いて、カリンがロケットペンダントを高く掲げながら、カルマ王に突進していきます。
 空に雷鳴が轟き、激しい突風が襲いかかりますが、3人の心はくじけません。
 倒れてもまた、そしてまた起き直りながら、必死の形相で真っすぐに突き進んで行きました。
「まさか!お前らにこんな力があるはずない!」
 苦しそうにもがきながら、カルマ王がうめきます。
「人間の心など愚かで弱いもののはず―」
 光の粒がカルマ王を被い尽くし、魔物が世にも恐ろしい叫び声をあげました。
「こんなバカな!お前たち人間は、わたしそのもののはず―、わたしを滅ぼすことなどできるわけがない―」
「人の心はねぇ、いっくらでも強くなれるのよぅぅぅ!希望があればねぇ、だれかを想う気持ちさえあればねぇ、限界なんてないのよぉぉぉぉ〜っ!!」
 カリンの叫びが空間を引き裂いて響き渡ります。
「ウオォォォォォォ〜!!」トミオとヒサシがカルマ王の体に流木を突き刺しました。
 恐ろしい形相で、カルマ王が2人を見下ろしています。
「こ、こしゃくなガキが―」
 魔物の巨大な黒い触手が2人に襲いかかろうと伸びてきた次の瞬間、カリンは胸に着けていたロケットペンダントを首から抜いて、カルマ王に向けて投げつけました。
「わたしたちは負けない。ゼッタイ未来を取り戻すわ」
 カリンの体から白い輝きが溢れ出し、そこにメモリーのシルエットが現れます。
「お前は―。まさか!―、こ、この星の守護者メモリーの―、娘なのか?―」
 魔物の体を被った光の粒が輝きを増して―。
 ドオオオォォォォォォォォォォ〜ン!
 すさまじい轟音とともに、カルマ王の体が粉々に砕け散りました。

「ウオォォ〜、やったぜっ!」トミオとヒサシが同時に雄叫びをあげます。

 カルマ王が消え去った空間に、光の粒子が美しく舞っていました。
 幼い頃にだれかの背中で見上げた空に浮かぶ、美しい花火の情景がふとカリンの脳裏を過ります。
 どこからともなく、沢山の生き物たちの歓声が聞こえてきました。
 かつて地球上で暮らしていた生き物たちの、それは心からの祝福の声でした。
 カリンは呆然と立ち尽くしたまま、まだ信じられないという気持ちでつぶやきます。
「勝てたのね―。ほんとにわたしたち、カルマ王に勝ったのね?」
 トミオとヒサシがカリンに駆け寄りました。
「そうさ、勝ったんだよやっつけたんだ!」
 いきなり全身から力がぬけて、カリンはその場にしゃがみ込んでしまいます。
(つづく)
 
 
ふるさとプラネットPART8

 動物たちの行進が、少しずつカルマ王を後退させていきます。人間の身勝手さによって滅んでいった動物たちが、今は地球を人間を救うために戦っているのです。
「ヒサシっ、お前も球を!」トミオが叫びました。
 ヒサシが、自分が持っていた青い球をカルマ王に向けて投げつけます。いきおい余って球が海のほうに飛んでいきました。
 すると、ヒサシの投げた青い球が弾けて、海の上に白い氷山が現れたのです。その上で、白クマやセイウチ、アザラシやペンギンなど、かつて地球の北極や南極に生きていた動物たちの群れが集まって雄叫びをあげています。
 轟音とともに氷山が浜辺に乗り上げ、海の動物たちがなだれのようにカルマ王に向かって襲いかかっていきました。
 自然を、地球を、美しいまま残したい。昔の姿に戻したい。動物たちを突き動かす想いはいっしょです。倒されても倒されても、動物たちは行進をやめません。
 両目を見開いたカルマ王の顔が恐怖に歪みます。
「見て、二人とも!カルマ王が後退していくわよ!」
 勇気づけられたカリンが叫び、3人の心に希望が生まれました。
 アフリカゾウを始めとした陸の動物たち、そしてジュゴンやウミガメなどの海の生き物たち、地球ではとっくに絶滅してしまったものたちが、勇敢にカルマ王に立ち向かっていきます。
 すると、カルマ王が大きな恐ろしい声で言いました。
「ウググゥゥ、これは、これはもしや!メモリーの仕業なのか?記憶などという曖昧もので、世界の秩序を変えられやしないゾ。このわたしを倒せるとでも思っておるのか?ええいぃぃぃ!お前ら人間はあまりに勝手な生き物だ。自分たちが招いたことを我々のせいにする。愚かな―。わたしはお前たちそのものなのに、なぜ歯向かおうとするのだ?」
「あなたは、わたしたち人間が生み出したものかもしれない。でも人間はみな同じじゃないわ。あなたたちにはない思いやりや、未来を信じる心を持った人だっていっぱいいるのよ!」
 カリンの叫びに、カルマ王が怒りの声を発します。
「言いわけはやめろ。人の心の闇よ、我に力を与えよ!」
 カルマ王が叫ぶと同時に、激しい雷鳴がとどろき、突風が襲いかかり、カルマ王に向かって行進していた生き物たちが、あっと言う間に蹴散らされてしまいました。
「人間は罪を犯し過ぎた。今さら何を言う―」
「わたしたちには希望がある。変えられない未来なんてないって、そう信じているのよ!」
「ちゃんちゃら可笑しい。なんの力もない人間のガキどもが!」
 カルマ王の無数の巨大な触手が、再び3人に襲いかかります。
 避けきれずに、カリンの体がカルマ王の巨大な手につかまれてしまいました。カリンの体が黒い触手に締めあげられます。
 薄れていく意識の中で、カリンはお母さんの面影を思い出していました。ぼんやりとした影みたいな、はっきりとは覚えていない顔。
 夢の中で、追いかけても追いかけても、届かなかった後ろ姿。
「おかあ、さん―、たすけて―」
 カリンの意識が朦朧となり、全身の力が弱まっていきます。
「カリン!」トミオが叫びながらカルマ王の巨大な足下に体当たりしました。
「ぼくの―、ぼくの大事なカリンにざけんじゃねぇぇぇぇ〜!」
 弾かれたトミオが、浜にあった流木を抱えて再度突進していきます。
「ウオォォォ〜ッ!」
 するといきなり、カリンの胸にかかっていたロケットペンダントが光を放ち始めました。
―カリン、カリン、あきらめないで。
 カリンの頭の中に、だれかの声が呼びかけます。
 浜辺に群れる陸と海の動物たちが、一斉に鳴き交わして、カリンたちを応援しています。
「これは、もしかしてメモリー?メモリーなのね!」
―カリン、あなたにはわたしがついています。だから勇気を持って。
 その声は、カリンがずっと探しつづけてきた人のものでした。夢の中で追い続けていた人の声だったことにカリンは気づいたのです。
(つづく)

ふるさとプラネットPART7

「カルマ王だ!」トミオが叫んで、舟の上から飛び降りました。
「こうなりゃ、もうやけくそだ。何でもいいからかかってきやがれ」
 ヒサシがつぶやき、カリンが叫びます。
「カルマだかカルメ焼きだかなんだか知らないけど、地球をいじめるあんたを許さないんだから!」
 3人は海をにらんで身構えました。
 世にも恐ろしいうなり声が辺りに響きわたります。無数の手を持った魔物の巨大な黒い触手が次々に3人に襲いかかりました。カリンが砂に足をとられてころびます。
「カリンっ、さあ、ぼくの手を!」トミオがカリンを抱え起こし、辛うじて触手を避けたヒサシが叫びました。
「こんなにでっかいやつを、どうやって倒せばいいんだぁ?」
 竜とサイとライオンが合体したみたいな巨大な魔物が3人に迫ってきます。
「そんなこと知るか!でもな、こいつをやっつけなくちゃ、ぼくらに未来はない、地球も救われないんだ!」
「勝つしかないわ。メモリーを信じて、カルマ王を倒すしか―」
 砂浜を逃げ惑いながら叫びをあげる3人に、カルマ王の黒い無数の触手が襲かかります。ついに3人の体がカルマ王の巨大な触手に捉えられました。「ウワァァァァ!」
 息ができなくなるほどの力で締めあげられて、心が希望を失いかけた瞬間、メモリーの声が頭の中に語りかけました。
―希望を捨てないで。3人とも、自分の力を信じるのよ。
 そんなこと言ったって―。カリンは薄れていく意識の中でつぶやきます。
「カリンっ、死ぬな!死んじゃだめだ!」苦しむカリンの顔を見つめるトミオの心に、カリンを失いたくない。ゼッタイにいやだ!そんな思いが突き上げてきます。
「カリン、お前を死なせない。これでも喰らえぇぇぇぇ〜!」 
 叫びながらトミオが、メモリーからもらった青い球を怪物に向かって投げつけました。
 すると青い球が弾けて、ものスゴイ光が放たれ、今は地球上から絶滅してしまったアフリカゾウの群れが姿を現しました。
 雄叫びをあげながらアフリカゾウの大群がカルマ王に立ち向かっていきます。ゾウの後からもオオカミやバッファローやトラなど様々な動物たちが現れて、怪物に攻撃を開始しました。
 地球に生きていた命たちの想いが今、一体となってカルマ王に挑んでいます。たまらず、カルマ王が3人をつかんでいた手を開きました。
「助かったぁ―」3人は砂の上に投げ出されました。
(つづく)

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