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●ハゼという魚●
ハゼ科には有明海のムツゴロウを始め、チチブ、ダボハゼなど数十種類がいるが、ここで釣りの対象としているのはマハゼのことで、地方名に関わらず全国的にハゼと呼ばれている。ハゼは定着魚で動作はそれほど敏速に行動しない。海水魚ではあるが、汽水域でも真水のあるところを好む。静かな内湾や河川の内外でせいぜい水深20m以内に生息している。塩分の強い外海の沖にはいない。
二月から五月頃にかけて河口部で産卵し、一匹で10000粒以上の卵を生むといわれる。春先にふ化し稚魚は初夏には5cm前後、八月頃になると8cm位までに成長する。秋には10cm前後の成魚になり、ほとんどは二年魚で産卵し一生を終える(産卵後ほとんどは死ぬが、生き残ったものはヒネハゼと呼ばれ20cmを超える)。一年で産卵するものもいる。七月頃から釣り人のハリにかかるようになり、そして一〇月いっぱいは警戒心が乏しく、動いているもエサに貪欲に反応しエサをハリごと飲み込んでしまうこともある。
●ハゼ釣りの基礎知識●
ハゼは海底を這うように泳ぐので、エサが海底を離れてしまっては釣れない。オモリはエサが確実に底に着くようにする。ミャク釣りでは0.8号(0.5〜1号)を使い、サオでオモリを「トントン」と移動させて誘う。ウキ釣りは流れがある場合に効果的。オモリはB(適宜の板オモリがいい)程度を使い、エサが流れよりも少し遅く底をはうくらいに調節する。投げ釣りではサオやリールの性能(適合オモリや適合ラインを参照する)に合わせ、着底後ゆっくりズル引く。いずれも早合わせは禁物で、十分食い込ませてから合わせる(活性が高いときは早合わせした方がハリを飲み込まれなくてすむ)。ハゼは海底の窪みや、石と石のあいだに群れる習性があるので、続けて釣れることが多い。
地方名/正式和名はマハゼ。カワギス(北海道、北陸)、カジカ(北海道、東北)、ゴツ(山陰)、クソハゼ(長崎県大村湾)。
生息地/北海道南部以南、国内の湾内や河口部(汽水域)の砂泥底。最大で30cmほどまでに成長する。
●必釣の心得●
1.生活排水の流れ出しなどの地形変化にポイントを絞る。
2.夏や秋(10月いっぱい)は岸近くの浅場でよく釣れる。
3.11月以降は深場を船釣りや投げ込み釣りでねらう。
4.流れがなければ底を引きずりながら誘う。
5.エサはアオイソメよりゴカイがいい(頭部と尻尾は使わない)。
6.干潮時は長靴(胴長)を履き、立ち込んで釣る。
7.同じ水深のヨブや沈み石周りに集団でいる。
8. エサが海底を離れてしまっては釣れない。
●ウキ(シモリ)釣り●
ハゼの活性が高い9〜10月下旬に流速を伴う場所や時にたいへん効果的。具体的には潮汐による水流がある時。ウキ下は水深よりも10〜20cmほど長く取る(著者の基準は膝下のウキ下)。
まずは仕掛けを沖いっぱいに投入し、水流よりも少し遅くエサが流れるようにオモリの重量を調節(ガン玉Bを基準とする。もしくは適宜の板オモリ)する。この仕掛けはエサが川底を這うように流れるので、魚を誘うのに不自然さがなく、流速より若干遅れるためエサを追うハゼの関心を引きやすい。キモは仕掛けの流下速度、速すぎず遅すぎずの状況をオモリのウエイトで調節する。シモリウキが微妙に動いたら前アタリ、その後一気に唐辛子ウキ(ハヤウキを改良)が消し込まれたら合わせる。ハゼの活性しだいでその日のアワセのタイミングをはかるとよい。
ポイントは砂泥底の窪みや捨て石、乱グイ、藻の周辺といわれる。著者の経験では障害物周辺には比較的大きいサイズ(15〜25cm)が着いていることが多いようだ。数を釣りたければ干潮時に生活排水が流れ込んでできた地形の変化(流れ込みのチャネル)を狙うといい。
●ミャク釣り●
9〜10月の最盛期に100匹(束)以上の釣果を得ようと思えばミャク釣りが手返しよい。特に小潮や潮止まり時に釣果を伸ばすことができる。河口部の砂地の浅場(水深60cmまでの緩やかなカケアガリ)などで効果的な釣法。水に立ちこんで釣った方が広範囲を攻められるので長靴(できれば胴長)を準備しておきたい。ミャク釣りはサオ先に伝わる感覚でアタリを判断する。サオは多少柔らかめのカーボン素材の渓流ザオ(中硬〜中硬硬)。著者は3.6mのテンカラザオを利用している。アタリが伝わりにくいときは道糸に目印をつけたり、サオ先を着色して目でアタリを感じれるように工夫する。
砂地のカケアガリをねらう場合はヨブ(水底の凹凸)がポイントになる。エサを送り込んで、地形の変化を感じた場所で「チョンチョン」と誘いをかけ、アタリがなければ20〜30?手前まで引き、次のヨブにポイントを移し同じように誘いをかける。アタリを感じたらそっとサオ先を上げ、重みを感じたら軽く合わせ引き抜いて取り込む。ポイントが大きければそこで数が釣れるので1匹釣れたポイントは覚えておくこと。
●投げ込み釣り●
盛期(9〜10月)だが遠浅の河口部で立ちこめない場所や11月に入りハゼが深場に落ちてから効果的。基本はオモリを地底に安定させること。盛期はズル引きで誘った方が効果的だが、冬場の低活性期には軽く誘ってじっくり見せること。
タックル(釣り具)は7ftまでのスピニングタックルを使う。オモリのウエイトはサオやリールの適合オモリや適合ラインに合わせる。着底後ゆっくりズル引いた後に止める。バス釣りの経験のある人ならば、スプリットショット(テキサスリグ)のズル引きと言えばお分かりいただけるだろう。
アタリがあったら、初期は早アワセ(遅アワセではハリを飲まれて外しづらい)、後期はゆっくりと食わせてからアワセる。しかし、例外も多いので、その日のハゼの活性を考えてからタイミングを決めること。ゆっくりと食わせる場合でも前アタリを感じておきたい。最初のアタリがあったら、ハゼに異常感を与えないために糸をゆるめてじっくり食わせた後にアワセる。
ハゼは日並に恵まれても、終日入れ食いというのはまれなので『上げ三部、下げ三部』の潮汐のタイミングをはかって釣行する。下げ潮の時は沖めの深場を、潮が上げてきたら岸辺の朝場を狙うこと。ハゼが岸に寄っているようなら投げ込み釣りより、ウキ釣りやミャク釣りの方が釣果は上がる。
★エサの保存法★
生きエサを使うときに釣果を大きく左右するのがエサの活きのよさだ。アオイソメのように比較的環境の変化に強いものはそれほど気にすることもないが、同じ多毛類でもイワムシやゴカイは暑さに弱いので、保管には十分に気を使いたい。保温性に優れたものや木製プラスチック製のエサ箱には保冷材を入れておくといい。それでも1時間で使い切る分以外はクーラーに保存しておくべきであろう。エサの活きのよさは魚の活性が低いほど釣果の違いとな留者でる。
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