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公正な取り引き(6)

おお!
その嘆声は、キャンパスを揺るがすくらいだった。
その中には司法試験を共にする、気の弱い木村もいた。
私はオトバイから離れて、いつも木村の腕を組んで、歩いて講義室に入る。
みんなのうらやましい視線で、木村は照れていた。
変わる、私。
姉が旅行の中で、私の黄金時絶が始まった。
木村を後ろに乗せて、送り迎えをした。
まるで恋人のように。
講義がない日は、お弁当を作り遠く走った。
木村は怖いらしく、私のお腹をギュッと締めていた。そしてお尻に何かが、感じてくる。段々鮮明に。その時より、少し変な気分になっていた。もし、要求してきたら、してきたら浮かんだ気分のまま許したかもしれない。
木村はそういう、わたしの存在だった。けど、奴はそれ以上なかった。キスも手を握ることもできず、照れていた。この頃に珍しい、純粋物だった。勉強だけが、全部な。
しかし、私がほかの男の話していると、ちらちらっと見たりする。わざと、笑いながら話していると、顔色が暗くなることもしばしば。
(バカ。)
でも、それが好きだった。
絶対に二人で、法官になろう。
誓いをするときは、キラキラと輝く目で見てきた。
その時はかわいくて、そして頼もしくて私が抱きしめてあげた。
細い体。
ちょっと寂しい。
姉の男は大きい。
必ず、兄夫になった明さんと比べてしまう。それはおそらく、姉に従ってきた今までが意識し過ぎだと思った。姉のクローンである私だから、男もそうではいけないのかなと思い始めたから。
けど、私は木村が好きだった。
あのチンピラの義兄より、純粋な男。頭もよくて、初めて私に勝った男だ。
入学に私より一個上の首席だ。
私が認めた、天才だ。
わたしに似合うし、あのチンピラに勝つ気がする。
そして姉に勝ったと、胸を張る気がするこの男。
頬にキスをしてあげると、ぐずぐず笑っていた。
この木村。
私の胸は、膨らむばかりだった。
そうではなくても大きな胸を、もっと前にだす。
ごくん。
男らの唾超え音がキャンパスを鳴らしていた。
私の心は、浮かぶばかりだった。
そうではなくても大きなお尻を、細い腰でわざと揺さぶる。
ポキッ。
男らのそれが立つ音が、キャンパスを駆け抜ける。
ああ。
もちろん女らのダメ息が、キャンパスの暗闇を作ることもしばしば。恋人らしい人らは、私らが現れると離れ離れて隠れるばかり。
木村と私はキャンパスの、王子と王女になっていた。
勉強もバイクも木村も、私には運命だった。
しかしその時間も、長くなかった。
いつものように、木村を乗せて送りに行こうと、校門に出ようとした。
‘兄夫!’
明さんが、校門の前にいた。
私と同じく、イルカのような白いバイクを乗って。
‘姉ちゃんが呼んでいる。おい、降りな。’
そういい、素早く降りてきて木村を引き摺り下ろした。
‘なにしているのよ!’
騒ぎが起きた。
私の声に、みんなが集まった。しかし明さんが見回すと、みんな消えていた。
‘子供は勉強しな。多恵ちゃん。いこう。’
瞬間のことだった。私は姉が呼ぶということで反抗もできず、バイクの始動をかけた。
‘明日ね。ごめんね。’

木村は、頭をうなずいた。
‘…!’

私は瞬間だったが、木村の鋭い視線が明さんをにらむのを見た。錯覚かと思い振り向いたが、木村が背負向けたのでそのまま走った。
‘君はなにしているの。’
姉は少し膨らんだ、お腹をなでながら細目をしてみていた。
‘わたしがなにを?’
そういいながらも、私は不思議に思った。
いつも傲慢な姉が、膨らんだ腹をなでながら男に寄り添っている。
そして応援を要請するように、見あげている。
こんなに弱かったのか。
私はそれも、わかっていた。すでに、男の女になっているからだ。
明さんを見る。
誰が見ても頼もしい。
大学校でラグビやった体だ。頭は悪いから教室はいかずに、運動場で過ごしたらしい。運動神経一つは抜群で、国家体表まで名を挙げられたらしい。そして暴走族のリーダらしく強くて怖い顔。どう考えても、アンバランスのこのカップルだ。
しかし、頼られる。
頼もしい。
その面で思うと、実にすばらしいカップルだ。
‘男がいるって?’
‘そうよ。一緒に司法準備しているの。何が悪いの?’
私は、姉の腹に手を当てた。
‘ねえ、いるんだ。ここに。甥っ子が。不思議。’
姉は小笑いしながら、私の手をちょっと上に引きギュッと抑えた。
‘また、この辺なの。’
‘動くの?’
‘ほほ。またね。でも感じるの。いるのが。それより、あなたこれから明さんの店でバイトやって。’
‘え!バイク好きだけど、なにもわからないが?’
私は、明さんを見た。
‘それがね。今、多恵ちゃんが着ている服とか、ファッションショーを週二回やればいい。’
‘そして私を手伝ってほしいのよ。’
姉がさらに、注文を付けた。
つまり、何かを考えているから、一緒にいてほしい。
段々、腹が大きくなるといろいろあるから、そばにいてほしい。
‘私は自分のやりたいことやりたいんだけど。’
いつまで、あなたの私じゃいや。
心は、そう叫んでいた。
二十歳まではあなたの影だったが、今からは独立したい。
言葉は柔らかくいったが、心の中では自由の旗が強く振舞っていた。そう考えると、気分が高ぶる。そして胸を張るくらいに、顎が少し上がる。
‘応援するから、ちょっとだけ手伝って。赤ちゃん産むまで。お願い。’
‘姉?’
私は、再び驚いた。
誰かにお願いされることが、多かった私だ。しかしあの姉に、お願いされたことなんかない。外泊した時も、命令だった。いつも命令ばかりだった姉が、お願いしていた。無視できない。
私は拒否できない、心の何かで応じてしまう。
‘生まれる前までね。’
‘ありがとう、多恵ちゃん。’
明さんの顔に、笑みが広がった。
そして私はバイク店で、週末を過ごすことになった。
‘女の客のファッションを売りたいのね。’
明さんが用意してある、服を着替えて店の前に立っている仕事だった。人目を意識したことない私には、容易い仕事だった。
なかなかいい、感触の服だった。
私は着替える、準備をした。
門の鍵をかけて、パンツとブラジャーになる。

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