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七色の虹の赤色から各色に14篇の短篇が織り込まれ、 その冒頭にプロローグ、最後にエピローグが入って 全部で100の短篇集となっています。 その物語はまずプロローグで父がアメリカへ農業問題の研究で 日本から家族と別れる場面から始まる。 その息子の僕に関する幼少期の物語が赤い色 ヨーロッパの内乱、革命に関わった人々の物語が黄色の場所として 描かれる。 父の家族を残してのアメリカ行きに対する僕のわだかまりも 父と僕、父と母の手紙のやり取りで消えていく。 その僕が朝代という娘と結婚し、その息子がフランスで出会った恋人との、 関係や恋人のアメリカ行きによる空白の時期を経て フランスでの再会のちぐはぐな心の揺れを克服し、最終的には結婚し 日本へ彼女は息子をお腹に宿して帰国。 エピローグではそのお腹にいた息子の僕がスペインを訪れた時の物語が 描かれている。 短篇集全体を読み終ると以上のような事が仕組まれていた事を知る。 最初の僕は戦死、その息子である次の僕はフランスで エマニュエルという恋人を作り、 国際結婚し、日本へ帰国、そして生まれた息子が成長し、 スペインの旅で老人と出会った物語で終わる。 100の短篇集を読み終ると一つの生命の流れが描かれた長篇小説のようです。 しかも一つ一つの短編はそれだけで体をなしているといった具合です。 年代は1936年ごろから1983年ごろまで スペインの市民戦争からファシズムの台頭、 ロシア革命、第2次世界大戦、戦後の民主社会までの 時代の混乱と葛藤の時代に生き抜いた人々の様子を 如何にもそうであったかのように資料にもとずく物語として描写されている。 スペイン内戦の資料、日系移民の資料、共産主義、アナーキズム 当時のイギリス、フランスのスペイン内戦、ファシズムへの対応や 義勇軍の資料そして日本の思想弾圧の資料も下敷きになっている。 最後に出会った老人(アメリカのリーンカーン大隊としてスペイン内戦の義勇兵として参加) が詠んだマシュウ・アーノルドの詩(吉田健一訳) 「ドーバー海岸」でこの短篇集は締めくくられている。 Sophocles long ago・・・ この波音をエーゲ海の海岸で聞き、 人間の苦悩が満ちては引いて行く騒々しい姿を 思い描いたのだ。我々もまた この遠い北の海でこの波音を聞き、 ある一つの考えへと誘われて行く。 信仰の海も かっては潮が満ち満ちていて、地球の岸辺をぐるりと取り巻き、 輝く帯のように重なり合っていたのだ。 しかし今はただ 夜風に吹かれて、世界のむきだしの砂利の どこまでも続く海岸に、 長い、物悲しい響きを立てて 海が 引いて行くのが聞こえるだけだ。 君よ、我々は互いに 慰め合わなくてはならない。何故ならこの 夢の国のように多様で 美しく新鮮に見える世界には 実際には、喜びも、愛も、輝きも、 確実さも、平和も、苦痛への救済もなく、 我々はあたかも、夜、戦いと逃走の混乱した叫びに満ちた 暗い平野で、軍隊が相手も誰か解からず ぶつかり合う中に立っているようなものだから この詩の全原文は↓を参照ください。訳の違いもわかります。 Dover Beach ドーバー海岸 Mathew Arnold マシュー・アーノルド http://homepage3.nifty.com/TAD/poems_1/poem_69.htm この全集3巻にまとめられた「ある生涯の七つの場所」は久しぶりに読んだ大作
「チボー家の人々」ロジェ・マルタン・デュ・ガール(ノーベル賞受賞作品) 「カタロニア讃歌」ジョージ・オーウェル 等とも関連する興味深いものであり、今の時代と重ね合わせても 本質は同じで、さらに混迷な時代にはまって行っているのを感じながら読み終った。 |

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