たぬぽんブログ〜敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花〜

身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂

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先日の報道で麻生副総理が述べた「静かな環境で憲法改正を進めるべき」との趣旨のはずだった話がなぜか「ナチスのやったように憲法改正を進めるべき」のような話になってしまい、しかもどういうわけか自民党がナチスと同じだぁ…のように持っていきたい人々が国会議員をはじめとして跋扈し始めたので簡単に書いてみようと思う。
 
某国会議員が「麻生大臣は大統領緊急権を知ってるの?」と書いて悦に入っていたが、これは正確には国家緊急権という部類の中の「大統領緊急令」というもので、両方をごちゃごちゃにしているがその内容はこんな感じ
 

ワイマール憲法第48条・・・「公共の秩序と安全」が危険にさらされ、国家が憲法の義務を履行できなくなった場合は、大統領は軍の支援の下に執行を強行することができる

 
こんな感じ。もうこの時点で某小西議員がこの規定を理解していないことがよくわかる。
 
そしてこの大統領緊急令ができることは「基本的人権の一部または全部を停止することができる」というもの。具体的には…
 

同憲法第114条(身体の自由)
同憲法第115条(住居の不可侵)
同憲法第117条(通信の自由)
同憲法第118条(言論の自由)
同憲法第123条(集会の自由)
同憲法第124条(結社の自由)
同憲法第153条(私有財産の保護)・・・

これらをすべて国家の危機に際しては制限することができるとされた大統領緊急令。ますます読んでませんね、某国会議員様。
 
きわめて民主的な憲法とされたワイマール憲法の中に「第48条」があったばかりにドイツは大変な目にあってしまうのだが、本来はそんな独裁の根拠にされるものではなく、混とんとする政局を一発で打開するための条文だったんですね。実際にヒトラーは実質的に「大統領」になった後にこの条文を活用しながら自身の権力を強化していくわけです。
 
実際に、ワイマール共和国(と言っても短いが)は現在の日本の政局などは子どものけんかのように思えるような情勢があったのですね。戦間期のドイツは景気が良かったり、悪かったりを繰り返しながら最終的にどん底に落ちてしまうのですが・・・
 
その不景気を滋養に国家社会主義ドイツ労働者党いわゆるナチスが成長していくわけですが、もう当たり前の事実ですが
 
ナチスは選挙で合法的に誕生した政党で、「ある瞬間」まで、定められた議会のルールに従って勢力を拡大した
 
ナチスというと暴力と脅迫で強引に政権を奪取したというイメージですが、ある意味細かく見ていけば共産党とのやり取りの中でそういったものもあるにはあるのですが、ミュンヘン一揆で暴力による革命に失敗してからは以前とは違う穏健な動きになってましたね。
 
今の日本の政党のように多数派工作もやってましたね。合従連衡で他の政党と組んで時の首相を辞任させたり、選挙で敗退して議席を減らしたり・・・順調に勢力を伸ばしていったわけではないんです。


さて、「ある瞬間」ですが

それが「国会議事堂炎上事件」です。
 
実際にはオランダ人共産党員マリウス・ファン・デル・ルッペの犯行なのですが、ナチスは「オランダ人共産党員マリウス・ファン・デル・ルッペ」ではなく、彼の肩書である「共産党員」を強調するのです。
 

「国会議事堂の炎上を契機にして共産主義革命を起こそうとしていた」と。

実際はベルリンにやってきたものの、同じ共産党員や社会民主党員に元気がない、ふがいないと思ったことから彼らを勇気づけるためのきっかけを「国会議事堂炎上」に求めたのが真相です。ま、確かに衝撃的ではありましたが、これがドイツにおける共産党と社会民主党の息の根を止めることになってしまうとは・・・ルッペは想像できたのでしょうかね。
 
この放火事件で「国家の安全が脅かされている!!」ということで政治も社会も冷静さを失いながらドイツは大混乱に陥りました。そこで、ヒトラーはこのような冷静さを欠いた事態を利用してあの手を使おうとするのです。そう、それが
 

ワイマール憲法第48条大統領緊急令

何とこの大統領緊急令によって、共産党員による(反政府分子による)反乱を防ごうとしたのですが、これが決定されたのは国会議事堂炎上事件の翌日。命を受けた出された法案は・・・
 
「民族と国家防衛のための緊急令」です
 

ドイツ連邦共和国憲法(ワイマール憲法)第114条、第115条、第117条、第118条、第123条、第124条及び第153条は「当分の間」効力を停止する。ゆえに人身の自由の制限、出版の自由を含む自由な意見の発表の制限、結社・集会の権利の制限、信書・郵便・電信・電話の秘密の侵害、家宅捜索と押収の命令、並びに所有権の制限は、それぞれに定められた法の限界外においても許容される

 
そしてもう一つ
 
「ドイツ民族への裏切りと国家叛逆の策謀防止のための緊急令」
 
ようするにゼネラルストライキや民衆蜂起を阻止して必要とあれば政府が軍を動かしてこれを阻止できるというものです。これによって自由を奪われた上に、それに抗議して行動すれば身の安全は保障されないということです。この緊急令はさらに翌日、実に2日で決められて施行されてしまうのでした。
 

まさに政治と社会が大混乱に陥っている中で進められたんですね。麻生さんの発言の何が間違っているんですかね?

 
そしてこの混乱のさ中にも政治は動きます。総選挙です。この選挙でもしもナチスが過半数を取れればすぐにでも法案は強引にしなくても成立するのですが、さすがにドイツ国民は賢明だったようで、この選挙ではナチスは過半数を取ることができませんでした。しかし独裁に必要な法案を通過させるには多数派工作が必要で、しかも反対する議員を何とかしないと法案は通過しません。
 
そこでヒトラーは考えます。
 
だったら、共産党と社会民主党の議員が議会にこれなきゃいいんじゃね?
 
ということで共産党議員全員と社会民主党議員の一部が「然るべき場所で然るべき有益な業務に従事」させられることになり、その他は「病気」や「逃亡」してしまうのです。
 
そんな異常事態の中で提出された法案
 
「人民と国家の苦悩を除去する法案」
 
これではわかりにくいのでこう言いましょうか。
 

全権委任法です。

 
内容はこうです。「予算の監督権、立法権、条約承認権、憲法修正の発議権を議会から政府に移して、なおかつ憲法外のものを含む法律の作成権のすべてを大統領から首相に移す」
 
まさに議会の役割のすべて、国家元首の権能の全てを政府、もといヒトラーが握る法案です。
 
国権の最高機関であったはずの議会が放火され、国民の基本的人権が剥奪され、なおかつ国民に選ばれた議員が「然るべき場所にいる」ようなわやくちゃの状況の中での「法律改正」です、いやもはや憲法改正と言っても過言ではないですね。
 
当然ながら、社会民主党はこの法案について「反対」を表明しますが、議員の一部が「欠席」している中で多数派工作に成功していたナチス党などの賛成によってこの全権委任法は成立してしまいます。
 

こんな国論が混乱している異常な状況での憲法改正議論を避けるべきだというのが何がいけないのか、誰かわかりやすく解説してもらえないでしょうか。

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