|
不思議なサボテンがあった。この花を見たのは8月の南タイでだ。レストランの横の小さな花壇に植えられていた。透けるような鮮やかな橙色の花が私の目を釘付けにした。柔らかそうな茎に少し厚め葉をつけていた。見たことのない花だった。昼下がりのジャワーの中で橙色の花びらがこの世のものとは思われない柔らかい優しさをかもし出していた。その可憐さを忘れないようにと、カメラを上着で覆いながら、何度も何度もシャッターを押した。九日間の旅行中、この花を見たのはここだけであった。
日本に帰って、図鑑を探せば名前は簡単にわかるだろう、何枚も写真があるのだからと思っていた。ところが、旅行から帰って三年経っても、この花の名前はわからずじまいにだった。柔らかそうな茎から私はトウダイクサ科の植物ではないのだろうかと予想していたのだが、私の持っている図鑑の中にこの植物を見つけ出すことはできなかった。花の色ごと載せている図鑑も持っている。しかし、その図鑑にも載っていなかった。雨の中、思いの外よく撮れた写真を見ては名前を知りたいものだと思いながら日々を過ごしていた。
そんなある日、頂いた名刺の整理をしていて、タイの植物探しの旅に同行してくれた清水秀男氏の名刺が見つかった。メールアドレスがあったので、写真を添付して名前を尋ねた。すると、すぐに、「コノハサボテン(Pereskia bleo)だよ。」と教えてくださった。彼の著書「熱帯植物 天国と地獄」の中に詳しい説明がある。サボテンの仲間には、普通の葉をつける種もあるのだそうだ。普通の葉をもつコノハサボテン亜科の植物は最も原始的な姿を今に残している。刺がなければサボテンとは思えないとも書かれていた。寒さにとても弱いため現地以外では植物を見ることが難しいため、学名和名が入り乱れ同定するのがとても難しい植物だったとのことだ。そんな難しい植物をいとも簡単に同定してくださった彼の博学に敬服した。
花を初めて見たとき、あまりの可憐さに心を奪われたが、不思議なサボテンであることを知って、新たな驚きの世界に引きずり込まれた。いわれてみれば、花は確かにサボテンの花の雰囲気がある。植物の世界の広さを教えられた。コノハサボテンは、可憐な花を咲かせる思いもしなかった不思議な植物だった。
コノハサボテン
Pereskia bleo
サボテン科
Cactaceae
参考文献
「熱帯植物 天国と地獄」清水秀男著
株式会社SCC
2002年12月16日初版発行
ページ55〜58
|
たらさんのプログは珍しい花を綺麗に写真に撮られていて花の知識も深まり大好きです。 お忙しいとはおもいますが、これからも写真だけでも見せて頂ければ嬉しいですし、楽しみです。
2005/11/30(水) 午前 10:54 [ 陽 ]
髪飾りか、ドレスの胸にコサージュとして飾れたらいいのにな。 これがサボテンなんて意外でした。 世の中、広い!。
2005/12/12(月) 午後 7:45 [ アゲハ ]
アゲハさん。訪問ありがとうございます。少し頑張って作文を直してみました。なかなかかけないけれど、ぼちぼち頑張ります。
2005/12/14(水) 午前 1:28 [ tar*sa*22jp ]