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中村秀樹 著 光人社、
著者は防衛大卒後、潜水艦長他、海幕技術部、護衛艦隊、情報本部分析部、幹部学校教官、
防衛研究所戦史部等に勤務している。
その時の体験を元にしている為、外部の人間には決して知りえない話が多い。
実は発売直後からアマゾンに悪意のあるレビューが立った。
そのレビューは、元自衛官らしいという。本書を読んで見て、その理由を納得した。
どうやら潜水艦部門というのは、海自の中でもかなり特殊な立場であるらしく、
優秀な人材が集まっているらしい。他の海自水上艦との価値観の相違、能力の差などで、
かなり足を引っ張られることも多かった様だ。
そのことを暴露されて恨みに思った人間が居たと思われる。
内容はかなり専門的であるが、目からウロコの話が多く、一読に値する。
注目すべき点を一部引用したい。
「非核三原則の日本でも、戦略非核抑止は可能だと思う。
米国の核報復力が機能しない事態(米国へは届かないが、日本を充分攻撃できる中距離核などで恫喝された場合など)、日本独自の報復力を模索する必要が出るかも知れない。
「その場合、核兵器がなくても巡航ミサイルに気化爆弾(燃料爆弾)を搭載したり、あるいは敵の国家重心や核施設を精密攻撃する能力を有することで、大量破壊兵器に準じた攻撃能力を保有することが可能である。そういうミサイルを搭載した潜水艦を、攻撃可能な海域に行動させれば、核と同等とは行かぬが、抑止効果のある報復力を得ることは可能であろう。抑止力としては、敵をして攻撃を思い止まらせるだけの被害を与えることが可能な報復力であればよく、絶対的な破壊力ではない。」
また「、潜水艦の天敵は潜水艦であるが、海上自衛隊潜水艦は、敵に対し、まず同等以上の条件で作戦できると見てよい。根拠はなんだ、と聞かれれば、体験によるとしか言えないが
自信はある」
うう、「自信はある」には、有難くて、ちょっと泣ける。
まず、アメリカは別としても、日本の自衛隊は一般に思われているよりも遥かに能力があるのだ。
一部の保守の中には福田総理をはじめ、自民党の土下座外交を支持する人が居る。
「日本は核がない。だから何を言われてもひたすら頭を下げて耐えるしかないのだ。」と。
確かに核装備は必要であると思う。しかし、核がないことを腰抜け外交の言い訳にして、正当化してはならない。
本書は潜水艦が中心であるが、そこを通して日本の自衛隊の全体像が見えて来る。
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