【紀州犬】犬と歩けば棒にあたる!【一期一会】

『今そこにいる犬を観る』 しつけ方法を学ぶよりも、犬という生き物への理解が大切。

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前記事からの続きです。 シリーズ最終は東京都に関する数字のまとめです。 とは言え全国にも通づる話ですので、皆さんに関心を持って読んで頂きたいと思います。
 
東京都の場合、数字の管理は5つのエリアに分けられています。 23区、28の市町村、諸島、そして八王子市と町田市です。 八王子市と町田市は保険政令市ということで、独立した管理が行われております。 とは言っても、殺処分の業務に関しては東京都動物愛護相談センターに依頼する流れとなり、この辺は先に話した千葉県と同様の管理体制ですね。
 
さて、今回の東京都の数字に関しては引取り頭数も並べてみました。 ここまで犬猫の殺処分頭数を題材にしてきたのは、失われている命の多さを認識して頂く目的がありましたが、ここからは1歩踏み込んで志向を変えていきます。 以下に東京都の平成23年度の実績を簡単にまとめてみましたので、まずは【表1】をご覧ください。
 
【表1】
     引取頭数    処分頭数
   犬  猫 うさぎ  犬  猫 うさぎ
   23区  500 1,736  2  190 1,540  2
   28市町村  444   594  5    5   369  5
   八王子市  112   340  0   32   287  0
   町田市     97     75  0   14   56  0
 諸島(大島含む9島)     14    78  0    2   78  0
   合計 1,167 2,823  7  243 2,330  7

 
犬猫の殺処分頭数を個別に見ると、犬 243頭、猫 2,330頭という具合に、猫は犬の10倍も処分されています。 では犬は遺棄されることが少ないのか? さてどうでしょう? そこで引取り頭数の合計を見てみると、犬 1,167頭、猫 2,823頭となっています。 東京都の場合、犬の多くは逸走による収容が多く、返還・譲渡の率が高いのが特徴です。 犬の引取頭数に対する処分頭数は20%です。 但し、これは5つのエリア全てに言えるかと言うとそうではなく、23区は38%、八王子市は28%という結果になります。
 
次に猫ですが、引取り頭数に対する処分頭数は82%という数字です。 これは引き取られた猫のほとんどが、そのまま殺処分になることを意味します。 通常、犬が収容された場合は3〜5日の抑留期間が設けられています。 期間としては僅かなもので、飼い主がいてもいなくても、もたもたしているとあっと言う間に処分されてしまうのです。 ところが猫の場合、基本的に抑留期間はありません。 センターに収容された翌日には即処分という流れになります。 その理由は、犬と異なり猫は飼い主が特定出来ないことと、頭数も圧倒的に多いことなどが挙げられます。 続いて【表2】をご覧ください。 
 

【表2】
        
             引取頭数の内訳
 
   所有者からの引取
   拾得者からの引取
  成犬 子犬 成猫 子猫 成犬 子犬 成猫 子猫
   23区  112  0  141  88 305  0  6 1,264
   28市町村   82  0   63  11 238  2  0  331
 諸島(大島含む9島)    2  0   16    6   3  0  0   52
   合計  196  0  220  105 546  2  6 1,647
※八王子市、町田市の内訳は上記に含まれていません。
 
この表は犬猫引取に関する内訳です。 犬猫ともに所有者からの引取合計は200頭ほどであるのに対して、拾得されるケースが圧倒的に多いです。 東京都の場合、犬に関しては子犬が僅か2頭という驚異的な数字が特徴です。 つまり地方のように望まぬ子犬が産まれてしまったという理由の持ち込みがないことを意味します。 この件に関して職員さんも仰っていましたが、東京都の場合、犬は逸走による収容が多いとのこと。 これは成犬の拾得数からも察することが出来ます。
 
そして猫が対象的で、成猫の拾得数は僅か6頭。 成猫に関しては、野放しになっていても飼い猫の可能性もあるし、または地域猫として静かに暮らしていることが考えられます。 そして驚くべきは子猫の数で、その数は所有者による子猫の持ち込み頭数に対して、拾得による頭数は16倍にも上ります。
 
それでは次に、犬猫引取頭数の中でも拾得数の多い成犬と子猫ですが、23区におけるそれぞれの拾得・保護頭数の分布状況をマップで分かり易く作成致しましたのでご覧下さい。 
 
 
【平成23年度】 東京23区 成犬保護の分布状況 (拾得頭数)
イメージ 2
 [マップ作成:タローの主]

東京23区内の成犬保護に関しては、逸走したと思われるケースがほとんどなので、このマップは単純に迷い犬マップとして見ることが出来るかと思います。 23区の中でも都心部は0〜19頭以下と少なく、世田谷区・練馬区が20頭強といったところです。が、都心から外れて東側を流れる荒川を境に、足立区・葛飾区・江戸川区の保護頭数が目立ちます。 理由として考えられるのは、外飼いによる脱走、オフリード散歩による逸走などでしょうか。 都内全体では犬の返還頭数の割合が高い中で、23区は都内平均以下という数字でしたが、この3区が足を引っ張っているのかも知れません。 ちなみに28市町村における成犬保護平均は8.5頭です。
 
私も以前、葛飾区の水元公園にてお散歩会を開催中に逸走した柴犬を保護したことがありますが、飼い主さんは管理意識が希薄な方でした。 いずれにせよ、逸走に関しては迷子札・鑑札・マイクロチップのいずれかがきちんど装着されていれば必ず戻ってくるのです。
 
その他のエリアで成犬保護が目立つところは以下の通りです。
 
◆28市町村(八王子市・町田市以外)
青梅市・・・・・・21頭  東大和市・・・・16頭  あきるの市・・・・16頭
府中市・・・・・・15頭  小平市・・・・・・14頭  武蔵村山市・・・14頭
立川市・・・・・・12頭  多摩市・・・・・・12頭  東村山市・・・・・11頭  
 
※八王子市と町田市の内訳はありませんが、引取り数の多さからすると相応数の成犬が保護されていると思われます。 28市町村の犬引取総数は多いところで青梅市 36頭ですが、八王子市の犬引取総数 112頭はダントツ。 次いで町田市 97頭となります。 23区の犬引取総数においては足立区 85頭が最多。 郊外においても10頭台が多い中、23区では都心を外れると郊外以上に成犬保護が多いというのは興味深いです。  
 
 
 
続いて子猫保護マップです。
 
【平成23年度】 東京23区 子猫保護の分布状況 (拾得頭数)
イメージ 1
[マップ作成:タローの主]

子猫となると23区の状況は少し変わります。 東側の足立区・葛飾区・江戸川区は犬同様に群を抜いておりますね。 この3区は都心部側を流れる荒川と、3区の東側を流れる江戸川に挟まれており、両サイドに河川敷があることで野良猫が棲み付きやすい環境があるとも言われています。 そして増殖してしまったり、または捨てに来る人が多いのかも知れません。 いずれにせよ、この3区において猫の課題は大きいということです。
 
そして成犬保護の少なかった西側エリアも、子猫となれば数字がグンと上がります。 ちなみに28市町村における子猫保護の平均が11.8頭であることを踏まえると、23区と言えど都心部以外は子猫の保護数が多いことが明らかです。
 
その他のエリアで子猫保護が目立つところは以下の通りです。
 
◆28市町村(八王子市・町田市以外)
日野市・・・・・・45頭  あきる野市・・・41頭  青梅市・・・・・・36頭
昭島市・・・・・・25頭  調布市・・・・・・25頭  羽村市・・・・・・23頭
立川市・・・・・・19頭  福生市・・・・・・16頭  
 
◆諸島
大島・・・・・・・・37頭  三宅島・・・・・・12頭
 
※八王子市と町田市の内訳はありませんが、引取り数の多さからすると相応数の子猫が保護されていると思われます。 28市町村の猫引取総数は多いところで日野市 51頭、諸島では大島 64頭ですが、八王子市の猫引取総数 340頭はダントツ。 23区の猫引取総数においては江戸川区 287頭が最多となります。
 
こうして見ると、東京都が抱える問題は犬の逸走と猫の繁殖であることが伺えます。 また地域特性も顕著に見られる訳ですね。 ここで今一度言いいいますが、本記事の話はあくまでも頭数ベースの話であり、区市町村を評価するものではありません。 例えば、都内の区市町村を人口の多い順に並べると次のようになります。
 
【平成23年 東京都区市町村別人口 ※30万人以上】
世田谷区・・・880,000人  練馬区・・・・・716,000人  大田区・・・・・694,000人
足立区・・・・・682,000人  江戸川区・・・678,000人  八王子市・・・581,000人
杉並区・・・・・549,000人  板橋区・・・・・535,000人  江東区・・・・・465,000人
葛飾区・・・・・442,000人  町田市・・・・・427,000人  品川区・・・・・367,000人
北区・・・・・・・333,000人  新宿区・・・・・324,000人  中野区・・・・・313,000人
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
千代田区・・・・47,000人  大島・・・・・・・・・8,000人  八丈島・・・・・・・8,000人
 
 
東日本全体で言えることですが、犬猫の保護頭数および殺処分頭数に関しては人口に比例して増減が見られます。 東京都内においても引取頭数の多いエリアは人口が多く、人口比を算出すれば23区の西側エリアと八王子市に関しては頭数が決して多過ぎる訳ではないと言えます。 例えば、犬猫の引取が都内本土において唯一 0頭の千代田区に至っては、人口が圧倒的に少ないという要因があります。
 
そもそも東京都は全国都道府県において犬猫殺処分数の人口比 0.02%というダントツの低さです。 その理由は一概には言えませんが、いくつか思い当たるところを列挙してみます。
 
1.精力的に活動する愛護団体の数が多く、センターからの引出し・譲渡に努めている件数が多い。 また、里親交換などの仲介活動を行う団体も多い。
 
2、ドッグトレーナー他、ペットサービスが多種多様にあり、飼い主が困った時の相談窓口が多い。
 
3、犬猫に関する適切な情報発信、啓蒙活動を行う者が多い。
 
4、動物愛護相談センターなどの自治体組織が諸問題に対する意識が高い。
 
5、整備された街も多く、人口が多い都市ならでは社会風紀がある。
 
6、犬猫を放し飼い出来ない環境であることと、地方と比べて屋内飼いが多いこともあり、飼い犬・飼い猫の放浪を原因とする交尾・繫殖に至りにくい。
 
理由は複合的にあるのかと思いますが、何はともあれ東京都は興味深いです。 個人的に感心したのは、特に4番。 今回、東京都内の資料集めに当たっては、各支所および保健所に電話を掛けて情報請求を行って調べ上げたのですが、その際にこちらが望んでいる細かい数字が素早い折り返しの電話にて「ポン」と出てくることに驚きました。 このレスポンスの速さは地方職員では考えられない速さです。 そして細かい数字に関しても、日頃から集計をきちんと取っているからこそ細かいデータ一覧がポンと出てくるのではないかと思います。 それが出来るのも、人員を相応に揃える予算があるからなのか、業務がシステム化されていて効率が良いのかは分かりませんが、センターのトータル業務の在り方として参考になるところがあるような気がしました。 
 
もちろん見る人によってはセンター業務には足りないところもあるかと思いますが、叩くだけなら誰でも出来る訳なので、純粋に良いと思える部分を見て行くべきかと思います。 
 
【日本】ペット先進国とは?【犬猫】を始まりとして、全5回に渡って一連の記事を書いてきましたが、まずは皆様に犬猫を巡る社会問題を現状認識して頂ければ幸いです。
 
 

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江戸川区…やっぱり多いんですね…。

とらじが来てからのたった1年半の間に
ウチのマンションだけで4回、迷子犬を保護してるんですよ。
この数字って、正直、驚きです。
そしてシーズンになると、沢山の子猫が街中にいて、
そしてよく車に引かれています…。

殺処分の問題は、ネットをやっていると
なんだか世間に浸透している気がしてしまいますが、
実は一般的には(言葉は悪いですが)マニアックな話題の範疇で、
逆にネットをやっている一般の人達は
紋切り型で非難&悲観している場合が多い気がします。
でも、この記事でわかる様に、地域で全く異なる部分も多いし、
個々で実に細かく繊細な問題であったりもして…

あ〜、うまく言えないです。すみません!

2013/4/17(水) 午後 8:11 [ - ] 返信する

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さるまるさん♪ 1年半で4回って、凄い頻度ですね。(驚)
ネットは全世界に繋がっているので、情報を流すときには気を付けなくてはなりません。が、実際の利用者は、キーワードで的を絞って狭い世界を閲覧していたり、僕たちがこうして集まっている世界も、犬を取り巻く様々な分野の中でも氷山の一角に過ぎない狭い世界なのです。それでも10年前と異なり、ネットが普及したことで認知人口は確実に増えているかと思います。もちろん仰るように非難・悲観される方もおりますが、それは思想を押し付けるなどの過ぎた愛護活動などが目に付くケースも有るからかも知れませんね。

国の問題であり、各都道府県の自治体レベルの問題でもありますが、実は市町村レベルの限定した地域問題として考えるべき事案かと思います。

2013/4/20(土) 午前 9:22 taronusi 返信する

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