たそがれ祐

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先月あたりだったと思うが、NHKのBSで山田洋次監督作品が連続して放映されていた。
どれも観ている作品ばかりだったが、久しぶりに観た「家族」と「故郷」の二作品が改めて心に刻まれた。

どちらも倍賞千恵子演ずる健気でしっかり者の嫁、民子と夫役の井川比佐志、夫の父親役の笠智衆の組み合わせが中心になり、これらに渥美清や前田吟といったいわゆる山田組の役者陣が脇を固めている。この2作品に後続する「遥かなる山の呼び声」と民子三部作といわれている3作品だそうだが、高倉健主演の3作目は後の「幸福の黄色いハンカチ」との連作といいたい作品だと思う。

「家族」は長崎県のある島で暮らす一家が、北海道の標津で酪農に転身したいという夫について一家を挙げて北海道標津までの長い旅の苦労を描く。実直な働き者だが怒りっぽい夫、そして家を守る健気でしっかりものの民子、何かと嫁の民子をいたわる祖父役の笠智衆の組み合わせの演技が絶妙だ。

「故郷」は瀬戸内海のある島で、父親の代から石切り場から埋め立て用の瓦礫を運搬するという海の仕事を夫と民子は二人三脚で続けている。だが修理のお金もなく老朽船で細々と続けている現状と大型鉄鋼船に取って代わられようとしている現状に未来はない。一家は留まるという父親を島に残して、止む無く愛する「故郷」であるこの島を出て、尾道にある造船所の臨時工として移住してゆかねばならないのだ。

丁度このころの日本は高度成長期に差し掛かり、地方の多くの家族が、その波に翻弄されたころだったろう。「家族」の民子一家が長い旅の途中で大阪万博に立ち寄り、人ごみに翻弄されるシーンがある。当時社会人になりたてだった私も会社の友人と二人で会社の大阪の寮に泊めてもらい、万博に行って人ごみに翻弄され、万博そのものには何の感慨も残らなかったことを思い出し、一家の当惑ぶりに共感した。

代表作の寅さんシリーズを始め数々の心温まる作品を撮ってこられた山田洋次監督だが、壮年期で一番脂が乗りきっていただろう頃だと思うこの「家族」や「故郷」は私自身の時代背景ともマッチして、改めて深く心に響いた。


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