ニワトコの日記

おじいさんと一緒に詩を書いています

叙景詩

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無題

羊が目の前で水を飲んでいた
そこは見渡す限りの湖だった
半円形の空には黒い絵の具を流したような夜空が広がっていて
その空には都会では見る事の出来ないような光輝く星が散りばめられている
彼が首を巡らせるとその湖は、360度の完全な円形だった
そして、彼はその時はじめて自分が深く底の見えない湖に立っている事に気づいた
試しに片足を上げてみると割り砕いた水晶のように飛沫が輝いて零れ落ちた
ズボンが濡れた感覚はなく湿った感覚すらない
ただひんやりとした感覚を膝元の水が達しているところにだけ感じた
もう一度美しい夜空を見上げると
黄色い月がやわらかい光を放っていた
そのまま首を巡らせると、もう一つ青い月が冷たくそして温かい光を投げかけていた
月は一つではないのか、っとその時初めて知った
そして、首を夜空から湖へ向け、水を散らかしながら歩き始めた
彼が歩くたびに鏡のような湖に波紋が走るが、不思議とその波紋は水に溶け込むようにすぐ消えてしまう
それからどれだけ歩いたのか彼は覚えていない
歩いてゆくうちにこの世界は夢の中だという事になんとなく気づいた
この夢も目が覚めれば忘れてしまう事も、なんとなく分かっていた
ふと、彼が足を止めると、彼の足元には美しい白い花が咲いていた
その花の周りは不思議な光で満たされていた
彼はその花を摘もうとしたが、茎を引きちぎろうとした瞬間ふいに手を止めた
波紋がその花を揺らし、美しい花をいっそう美しく輝かせていた
花が揺れるたびに小さく鈴の音がする
彼はそのまま手を引っ込めて花を暫く見つめてから
花を跨いで暗い闇の染み込んだ向こう側の世界へ歩いていった
彼が夢から覚めるまで、波紋は静かに
静かに揺れて鈴の音を聞かせてくれた。

孫の詩(オーロラ)

雪に覆われた森の中
トナカイがそりを引く
もうすぐ空が燃えるという
目の前で光るダイヤモンドダストの輝き
闇夜が全ての星の光を覆い隠す
鈴の音はオーロラを呼ぶという
空気の振動を掌から感じて掬う
それをそっと耳にあてれば
光の声
凍った泉
澄んだ空気が震え始める
薄い緑色の光が空に広がる 
淡い色
白い息
空に渦巻き様々な形を描く
緑、赤、青重なり合う光
光の大地
光の洪水
両手を広げて炎を感じる
複雑に絡み合った感情が紐解かれる
肌の温もりを改めて感じる夜空のオーロラ

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