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星 野 暁 子 4月2日。肌寒い風は吹いているが、刑務所の受付に向かう路上の桜は、満開。きれいだ。桜には青空が似合う。 文昭は、この日も大きなマスクをして出てきた。「仮釈放、どうだった?」あいさつもそこそこに聞いてみた。「いい報告をしたかったんだけど、今回は駄目だった。昨日処遇課から呼び出しがあって言われたよ。3月25日に決めたらしい」 ーそうか。駄目だったのか。言葉を飲んで黙っていると、文昭は「僕は、逆境に強い方だから、構え直してかえって元気が出るよ」と言った。「更生保護委員会の見直しは10年後だからね。後は、徳島刑務所長に仮釈放を求めていくことになるね。それと再審も力を入れなきゃね。徳島刑務所長が高山正訓に変わったこと、更生保護委員長ももう一人の委員も退職したことを伝えた。 「健康の方はどうなの?エコー検査の結果はまだなの?」と聞くと、「まだなんだ」と文昭。「大腸検査もやった方がいいよね」というと「言っているんだけどね」と言った。そして「夕食のご飯がだいぶ軟らかい日が増えてきた。固いご飯だと胃にてきめんなんだ。お茶をかけて無理に食べると胃の痛みも出てくる。食べないと、必要な養分がとれない」と文昭が言った。申し入れを明日することを伝えた。 「今暖かくなってきたから、仕事を終えたらすぐ休むというふうではなく、机に向かうことが多くなっている。運動も長距離はすぐ疲れてしまうけど、 80メートルのグランドを休みを入れながら、10周するというのはやっているんだ」やりすぎだとは言わなかったが、ちょっと心配になった。 3日。久しぶりに宅下げした絵を見ながらの面会になった。「今の僕に描ける絵を描いてみたよ」「犬がちょっと苦しそうに見えるね」と私が言うと文昭は「眠っているところなんだ。一度そういうふうに見ると、ずっとそう見えるよ。新聞に出ていたのを描いたんだ」と言った。 「5月3日の懲罰のこと、監査官に訴えて『不採決』だったんだって?『不採決』というのはどういうことなの?」と聞くと「『不当なし』だと刑務所に責任はないということで、却下という意味なんだ。『不採決』は、聞き置くということで不採決になると、その後処遇はよくなることが多い。それ以上の回答はない」と文昭。「じゃ、4月の見直しで、2類に戻る可能性高いね」と私。処遇が戻るのはうれしいが、文昭は仮釈放の審査期間中はずっと3類に据え置かれ、審査が終わったら2類に戻ることになるのだ。まだわからないことではあるが。 4日。「このところ、面会室の面会人側にエアコンが入ったり、待合室のイスやロッカーまで新しくなった。文昭のカバンづくりの利益は、刑務所のプロジェクトだから、業者にはいかず、みんな刑務所の利益になる。そんなふうに使われているんじゃない?それなのに、それを生み出している文昭に軟らかいご飯を出してほしいというささやかな要求すら実現しない」と私が言うと、「工場でも、まだ使えるのに新しい机が入ったりしている。刑務所の予算の問題だと思うけど、もっと寒さ対策とか暑さ対策に金を使ってほしい」と言った。 仮釈放のことに話が戻った。「無期懲役刑の終身刑化の問題にも取り組んでいくことになると思う」というと、文昭は、「古畑さんも言っていたけど、受刑者本人に申請権がないこと、それを変えていくことが大切だと思う」と言った。そして「暁子が、落ち着いて対応してくれていることが一番うれしいよ」と言って、3日目の面会を終えた。 |

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桑の実の歌があったような・・・お大事に




