未婚の未亡人、泣いたり笑ったり

今は亡き同居人○Tと、未婚の未亡人の珍道中人生

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今日初めて私の勤める店にいらしたお客様でした。
お買い物をすませ、出口に向こうと「いつも店先のお花がきれいですね。」
と言って下さいました。

「見て頂いていたんですか?」と私が言うと、
「いつも何か珍しいお花が咲いていたりして、通る度に楽しみにしているんです。」とおっしゃりました。

私は、嬉しくなって先日台風の日に咲いたおじぎそうを自慢しました。
「ああ、ピンクの花ね。 可愛いですよね。」とお客様も目を細めていらっしゃいました。

もうかなり寒くなって来ているので、あまり元気のないおじぎそうですが、まだいくつか蕾があります。
「あと少しで、もう一つ位は咲くと思うんですよね〜」と私は言って、そのお客様も「又楽しみにしていますね。」と言いながら帰って行かれました。

実はこの所あまり手入れをしていなくて、古いままの株をそのままにしてある鉢がいくつかあったので、嬉しかった反面ちょっと恥ずかしかったです。

黙って通りすがっていても楽しみに見ていてくれる人がいたと思うと、これ以上さぼれなくなりました。

又少しずつ何か新しい物を植えて、楽しんでもらえる様にしなくっちゃ!と励まされた気分の未婚の未亡人でした。

約8年位前の私の誕生日の頃です。
以前から飼いたかったハムスターが、大手スーパーDでなんとバーゲンをしていると新聞のチラシに入って来ました。
「あ〜〜! ハムスターの安売りだよ〜! 入れ物付きで¥1,980だって! これは安い!」と私は同居人○Tに聞こえる様に大きな声で独り言を言いました。
さらに「お誕生日プレゼントにハムスターなんて、素敵だな〜!」と付け加える事も忘れませんでした。

その晩、家に帰ると、本当にハムスターが我が家にやって来ていました。
「新しい家族ですよ〜」と○Tも嬉しそうです。

「名前はどうしようかな?」と言う私に○Tは「チュウチュウ」などと、40過ぎたおじさんとおばさんにはとても似合わない様な名前を言い出しました。
結局名前は「ゴンタ」とつけました。 あのCMに出て来る大きな犬のゴンタです。

ゴンタは最初はとても神経質で身体中をいつもかいてばかりで、心配した私は近所の獣医さんに「大丈夫かな?」と聞いた位でした。
獣医さんは「来たばかりで落ち着かないんだと思うから、一週間は様子見て、はげて来る様だった病気だから連れておいで」と言いましたが、あまり構わない様にして放っておくと、すぐに落ち着きました。

それほど神経質だったくせに後に飼った3匹のうち、一番人に良くなつき、椅子の上で昼寝をしたり、人の着ている物の中にエサを隠したり、そのままそこで仰向けで寝てしまったり、とにかく人を嫌がらない性格でした。

最後はガンになってしまいましたが、それでも人のトレーナーに潜り込み、痛いと人に向かって歩いて来て手に乗せてくれとせがんだりする程でした。
○Tが長い旅の仕事に出ている間に病状は悪化しましたが、彼が帰って来るまで待っていたかのように、帰って来たその30分後くらいに彼の手の中で天国に行った位です。

そのゴンタがあまりにもなついて可愛かったので、2代目を迎えました。
名前は「やっぱりゴンタでしょ〜」と○Tは言いましたが、そのままじゃあんまりだ・・と思って「ゴンタ2(ゴンタツ)」と名付けました。

さすがに弟分は、最初から物怖じせずにテーブルを走っていました。
こちらも2匹目なので扱いにも慣れて、すぐに仲良くなりましたが、性格の違いには驚きました。
正確には「個体差」とでも言うべき物なのでしょうが、親馬鹿飼い主としては「性格の差」と思っていました。

物怖じしない割には、几帳面なのです。
トイレと水を飲むのが必ずセットのゴンタ2でした。
この子が一番長生きでした。
2才を迎えてもとても元気にしていたのですが、その4ヶ月後にいきなり発作の様な物を起こし、その時は助かりましたが、そのご10日間位で、○Tの留守の間に私が家に帰るとトイレに行こうとした途中と思われる所で冷たくなっていました。

この時は、固い物を食べられなくなっていたゴンタ2の為にバナナを買って帰って来た日だったのですが、それも食べさせてあげる事が出来ずに、私は「お前に買って来たのに〜!」と泣きながら、バナナを食べたのを覚えています。


3代目は初めてのメスでした。
それなのに「ゴンタだ〜」と又言う○Tに「女の子なんだよ〜」と言って「せめてプリンセスとかって付けてやってよ〜」と言う事で「プリンセス・ゴン3(ゴンゾウ)」と名付けました。
「プリンセス・ゴン3」略して「p3(ピーゾウ)」です。

メスだったからなのか、p3は、頬袋をあまり使わずに、せっせとオヤツは一つずつ運んでいました。
これも個体差なのでしょうか?
しかも、入らないとしばらく考えて入れる方向を変えたりしていました。
今までの2匹は入れられるだけ、どんどん入れていたのに、とても不思議な奴でした。

しかも、それを決して人の所に運んで来るのではなく、秘密基地と呼んでいたテーブルにつながる棚の隅に運んでいました。
そして、決してケージの外では寝てしまわなかった事、ヨーグルトが好きではなかった事など、やはり前の2匹とは違っていました。

p3の最期はとても突然でした。
ある朝、私が起きて行くと、ケージの出口に置いてある「お立ち台」と呼ぶ台の上にうずくまっていました。
前の2匹はそこでよく「出して〜」とやっていたのですが、p3はほとんどそれをやりませんでしたから、その日に限ってそこに居たのが不思議でした。
開けて手でp3を持った時には、すでにぐったりしていましたが、まだ温かかったのを覚えています。、けれども砂糖水をやってももう飲めない位で、そのまま息を引き取りました。

その後やって来たハムスターは、4代目にして初めてのジャンガリアンでした。
今までの3匹はすべてゴールデンと言う大きな種類のでしたから、その小ささに最初はとまどいました。

しかも、これが一番気が強くて、噛みついて来る子でした。
名前は勿論ゴン4(ゴンヨン)でした。
初めは気のせいかと思ったのですが、ケージを開ける度に巣箱からダッシュして来て噛みつくのです。

トイレの掃除をするにもスプーンを入れていた位です。
しかも、そのスプーンにもかじり付いて来ていた位でした。

○Tが思い切ってケージから出すと、一目散に、やはり「秘密基地」に走りましたが、ケージに戻そうとして、やはり噛まれて「アイタタタ!」と言っていました。

やがて慣れて来ると、秘密基地の箱の中で眠っていたり、そのままそこから出すと人の手のひらでしばらく眠っていたりもしていましたから、それほど人が嫌いだったわけでもなさそうでした。

特技は、エサの入った瓶に頭から突っ込んで瓶の中で向きを変え出て来る事でした。
前のゴールデンの3匹は頭しか入らなかった瓶に、ゴン4はいとも簡単に全身を入れては私達に笑われていました。

「カミカミ君」と私が呼ぶと「カミカミなんて言うなよ〜、かわいそうに〜」と○Tは言っていたのに
よく噛まれていたのは○Tの方でした。


この8年間は私達の間ではハムスターが居るのが当たり前の生活になっていました。
ケージの出入り口に置く「お立ち台」、テーブルにつながる棚の「秘密基地」、出して欲しくてケージの金網をかじったり、うんていをしてアピールして「出して〜」をその様子から「ガジで〜」と言う事など、我が家のハムスター用語も色々あります。

どの子達もそれぞれ個性的で、ハムスターなんて脳味噌が豆粒みたいだから飼い主もわからないと思っていても、病院に行って診察台に乗せると一目散にちゃんと私の所に走って逃げて来る位は出来る子達でした。
私は勿論親馬鹿でしたが、○Tも相当でした。

今頃は4匹とも天国で○Tと再会しているのでしょう。
そして、カミカミ君ことゴン4は、天国でも「お父ちゃん」に「アイテテ!」と言わせているのでしょうか?

三丁目の夕日

今日テレビで、映画「三丁目の夕日」をやっていました。
前に、○Tが入院中にやっていたのを見損なった私は、やっと見る事が出来ました。

あの時も病室でテレビがついていて、見てから帰ろうかと思ったのですが、それでは遅くなりすぎるので、迷っていました。
「これ見たかったんだ〜」と言うと「知ってるの?これ」と○Tは私に聞いて来ました。

漫画の「三丁目の夕日」も○Tの買っていた漫画で知っていましたから、私は当然○Tも知っていると思ったのですが、知らなかった様です。
「昭和30年代の話で、きっと○Tは懐かしいよ〜」と言うと「そうなんだ〜、じゃあ俺はこれから見るから、お前は帰って家で見ればいいじゃん。」と言うので、私は帰って来てしまいました。
けれでも、帰って来たら疲れてしまって、そのまま見る事もなく、寝てしまったのです。

○Tが亡くなってから、「あの映画見たかったな〜」と言う私に、ご主人が○Tと同い年(昭和27年生まれ)のご夫婦の奥さんが「見ればいいよ〜、面白かったよ〜、KWちゃん(ご主人です)なんて、”そうそう! ホントにあんなだった”とかって、もう解説付きで大笑いしてたんだよ〜」と言いました。

私があれを見たかったのは、そうやって○Tと一緒に見たかったのです。
きっと同じ様に、「そうそう! あんなのあったよ〜」とか、実は今日見て知ったのですが、初めてのテレビをつけた時にブラウン管があんなに速く立ち上がらないだろう、とか、テレビに向かって二人でつっこんだりしたかったのです。

今日、家に帰って来るまでこの映画をテレビでやる事は知りませんでした。
○Tと一緒に見たかった思いが強くて、見ながら泣いてしまうんじゃないかと思って躊躇しましたが、大丈夫でした。

勿論一緒に見たら、きっともっと面白かったと思いますが、病室で先に見ていた○Tにはつまらなかったかもしれません。
それに、何故か一緒に見ている気持ちになっていました。
茶川先生がコトー先生だった事とか、○Tはわかっていたでしょうか?

そうゆう所でウカツな○Tでしたから、ひょっとして今日私の解説で気づいたかもしれません。

○Tを思い出して泣かないで済みましたが、竜之介君と茶川先生のラストでは、ちょっぴり涙が出てしまった未婚の未亡人でした、

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