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2007年3月24日(土) 午後8:40〜9:05
Mちゃんと私が惚けた様に病室に居る所へ、息子のDが彼女のTMちゃんを連れて入って来ました。
Dは、ベッドで眠る○Tを見るなり、「親父〜!」と言うと、いきなりそばに駆け寄り、手を握りしめ泣き始めました。
私は「へ?」と思い、心の中で「なんだよ〜、D〜、まだ泣く所じゃないでしょ〜。 さっきやっと落ち着いて寝たばかりなんだからさ〜、まったくも〜」とつぶやきました。
Dはまだ手を握ったまま「親父〜!」と叫んでいます。
ああ・・・もう・・・やれやれ・・・じゃあ、仕方ない、ちょっと起こしてやるか。
又ああやって動き始めても、今度はDも居るし・・・
私はDの反対側に回って○Tに声を掛けました。
「○T〜! Dが来たよ〜」
何度か声を掛けましたが、なかなか目を覚ましません。
私の声はどんどん大きくなりました。
「○T〜!!」
次の瞬間、○Tは大きく目を開きました。
ほっとしたのもつかの間、○Tの左で手を握りしめているDの姿を目で探すと思っていた私には信じられない事が起きました。
大きく開いたその目が、もう動かないのです。
さすがに間抜けな私にも、これが普通ではない事に気づきました。
「私、ナースステーション行って来る」
そう言って、ナースステーションへ駆け込むと「様子が変なんです!」と叫びました。
その私の様子に驚いた看護師さん達がバタバタと病室へ走りました。
一人は心電図のモニターを引きづりながら。
私が先に病室へ駆け込み、○Tのベッドの足元から見た光景・・・それは○Tの開いた目がそのままグレーに濁り、○Tの手を握りしめながら訳もわからないまま泣き崩れているD、その背中に張り付く様にしているTMちゃん、反対側にMちゃんが固まった様になっていました。
逝ってしまった・・・・・の?
モニターを引きずって入って来た看護師さんも、それを見た瞬間に「あ」と言う顔をし、それでも一応はそれを○Tの体につけ、モニターの画面を私の見えない位置に振ると、そのまま出て行きました。
「先生を呼んで来ます。」
変わったばかりの先生が病室に入って来ました。
ベッドに横になっている○Tを見、それから私達の方を見て、鼻に入っていた酸素のカニューラに手を伸ばしました。
「外してよろしいですか?」
それは、もう○Tに酸素が要らなくなった事を意味し、同時にもう○Tが息をしていない事を意味しました。
本当は「いやだ!」と言いたかったです。
けれでも、もう○Tが息をしていないのはわかります。
私達が頷くと、先生はそれをそっと外し、目を確認し、聴診器で確認をしました。
お決まりの腕時計を見て「9時5分・・・」と言い、黙礼をして病室を出て行きました。
Mちゃんは「なんでアンタが先に逝っちゃうのよ〜! まだ一緒にこれから温泉とか行こうって言ってたじゃない!」と叫んでいます。
Dはただひらすら、病室に入って来た時と同じ様に「親父〜! 親父〜!」と呼び続けています。
私は心の中でつぶやきました「私を置いて行かないで。」
けれども、私はそれと同時に、とても不謹慎だとは思いましたが、ほっとした気持ちにもなりました。
○Tの魂が自由になった様にも感じたからです。
でも・・・・・ねえ、○T、これで良かった?
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