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それをやるのは、いつも○Tに決まっていた。 洗濯機の中でガラガラと音がすれば、それは小銭。 その場合は、内緒で拾って私のポケットへ。 お札の場合は、広げた所を見つかると「あ、それ、俺のだ!」 「なんでわかるの? 名前でも書いてある?」と聞けば、 「だって、オマエはポケットにお札なんて入れないじゃん」と言われて、即持ち主へ。 ハンカチの場合だと、出かける前に「お〜い、ハンカチ!」と言った後で、ポケットからキチンと畳まれたものが出て来て、私は「ほ、ほ〜、そのGパンには、自動でハンカチがセットされてますな〜、本日は当たりです。 良かったですね〜、旦那さん。」と答え、○Tに「オマエが忘れただけだろ、全く!」と言われても、「オホホホ」と笑って答えていた。 ところが、コレの場合は、もうイケマセン。 洗濯機の蓋を開けた途端に、私は「○T〜っ! 又やったでしょー!!」と、普段は垂れている眉毛をつり上げ、鼻の穴をおっぴろげ、ツバを飛ばしながら、大騒ぎをする。 「も〜、全く何度言ったら、ポケットからティッシュを出しておいてくれんのよ〜!! がぁぁ〜〜・・・ どんだけ後始末が大変だかわかってんの〜?」 これが、又○Tの機嫌がそれほど悪く無い時だと「ああ〜、ごめん、ごめん。」等と口先だけでも言ってくれるのだが、一度、とんでもなく機嫌の悪い時に当たった。 多分、私もどこか虫の居所が悪く、ほぼそれは八つ当たりめいていたのだろう。 いつもと同じ様に「まったく、もう〜〜!」と怒った私に、○Tはその倍の勢いで言った。 「オマエが確認しないからだろっ! ポケットの中くらい、確認してから洗濯機に入れろよ!」 「ぎゃ〜! 逆切れだぁ〜!」 「なんだと〜? ・・・ちっ、『逆切れ』なんて言われちゃったよ・・・」 「だって、ポケットに入れっぱなしにして置く方が悪いんじゃん。 そんないちいち朝の忙しい時に、確認なんてしてらんないよ。」 だから、ポケットのティッシュを洗濯してしまうのは私で、その犯人はいつも○Tのはずだった。 昨日、洗濯機の中で、ボロボロになって洗濯物に貼り付いたティッシュを見た。 犯人が○Tなら、「誰だ?!」と怒る所だったのに、やり場のない怒りと”とほほ感”が私を満たした。 しかも、○Tの場合は、半分以上は使った程度のものなのに、私ときたら、ほとんど使っていないままだった。 その惨状がどんなものだったかは、経験者ならお分かりだろう。 ああ、もう誰のせいにも出来やしない・・・。 「ほ〜ら、オマエだってやるじゃんか! 俺のせいにばっかりして、さ!」 唖然として洗濯機の中を覗き込んだ私には、○Tの鬼の首でも取った様な、人を馬鹿にした様な態度が見えて来た。 まったく、しゃくに障るったらありゃしない。 今朝、何年振りかに、我が家の最古参のグレープフルーツに、青虫の赤ちゃんを発見した。 「きっと、クロアゲハだぜ」
○Tなら言うだろう。 どこで見分けがつくのか、はたまた口からでまかせだったのかは、未だに疑問だけれど、我が家で巣立って行ったのは、大抵は本当にクロアゲハだった。 |

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