|
これまでに、彼岸花を手に入れるチャンスはなかなかなかった。 そのたった1回のチャンスは、数年前、まだ○Tも元気な頃だった。 「欲しいな〜」と思ったけれど、この花に関してだけは、○Tにお伺いを立てた。 花に関しては、あまり感心のない○Tだから、私が何をベランダで育てていようとほぼ無頓着。 その割には、食べ終わった果物の種を蒔いてみようと言ったり、芽が出たジャガイモを植えてみようと言ったり、私にしてみれば「そんな大きくなりそうな物はイヤじゃ〜〜。 第一、蒔くだけで面倒なんて見ないくせに〜〜」と言いたくなるばかりだった。 (多分、本当に何度かは声に出して言った・・・と思う) お墓の周りに咲いている花としても有名なこの花を忌み嫌う人は多く、ご多分にもれず、○Tもその一人だった。 「嫌だよ〜」の一言で、あっけなく却下された彼岸花であった。 多分、以前にもこの話は書いたと思う。 それで、そのまま私も諦めて、よそのお宅や、地方の道端で眺めるだけで良しとしていたのだった。 それが、今回、私はもう彼岸花を手に入れる事に関して「育てられるのか?」と言う一点だけに固執をしただけで、○Tの事は全くと言っていい程頭になかった。 「これ、○Tは嫌いだったんだよね〜」・・・そう思ったけど、今回は迷わなかった。 ○Tと暮らしていた部屋から、今のアパートに引っ越す時に、私は二人で使っていた家財道具を全てそのまま持って来た。 食器棚、テーブル、棚、タンス、果てはゴミ箱まで・・・以前よりも狭くなる住居に、入るだけの物、使える物は全て。 それ以外に、最後まで使っていた歯ブラシやひげ剃りまで。 私の引っ越しのテーマは、あの部屋をそのまま持って来る事だったのだ。 部屋を訪れた人が、この部屋にまるで○Tが居るかの様に感じてくれる部屋にしたかったのだ。 「○Tが生きている様に生きよう」・・・○Tが居ても居なくても、私の人生はあの20年の生活の延長線上にある。 ○Tが居なくなったからと言って、私は自分のそれまでの習慣や生活を変える事はなかったし、それはとても自然な事だった。 だけど、○T が嫌いだったから食卓には乗せなかった里芋や、さつま芋、蓮根などを、家で食べられる様になった事に、実は密かに喜んだ。 ○Tのイヤ〜な顔は目に浮かぶけれど、「お供えには入れませんから〜」と写真にウィンクするだけ。 だから、この彼岸花も「オマエ〜、俺はイヤだって言っただろ〜!」と言う怒鳴り声が聞こえそうだけど、「でも、欲しかったんだもん」と、私は軽く笑っている。 それに、ほら、彼岸花がお墓をイメージさせたって、もう良いじゃない? お墓って、そんなに悪い所じゃないって、私は思っているし、第一、○Tはもうそこに居るんだもん、ね? 彼岸花にまつわるあれこれ・・・次回、最終章『彼岸花の秘密に迫る』へ続きます。
|

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用


