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花屋で売っている鉢植えの花達が、必ずしもその季節に咲く物とは限らない事は、「冬の鉢物の女王」、シクラメンが本来は冬に咲く物ではないと言う事でも明らかである。 勿論シクラメンは、夏には眠ってしまうけれど、だからと言って冬に咲くものではないのだ。 一度でもシクラメンを夏越しさせた事のある人にはおわかりだろうが、あれは何も本人が好き好んで冬に咲く訳ではないのだ。 但し、店先に並ぶシクラメンは早くから咲き始め、次から次へと花芽をあげて来るから長く楽しむ事が出来る。 それが、夏越しをして二年目になると寒い頃には花芽は上がって来てもなかなかその蕾をほどこうとはしない。 それどころか、私の経験では長い事葉っぱの下でその蕾は時を待ち、暖かくなるや否や、一斉に葉っぱの上に蕾を持ち上げ、一斉に蕾をほどいた。 狙いすました様に一斉に咲いたシクラメンに、私は舌を蒔いた。 去年の冬、私は一鉢の雲間草を買った。 春を待つまでの一時、玄関先でその小さな鉢は濃いピンクの小さな花で私の帰りを待っていた。 その時はそれだけで嬉しかった。 でも実はそれだけではなく、その鉢の隣には小さなスノードロップがあり、私はそれが万が一夏を越したら、翌年にはスノードロップとの競演を狙っていたのだ。 春に先駆けて咲く小さな白いスノードロップと濃いピンクの小さな雲間草のカップリングなんざ、かなりイケテルはずだった。 まあ、「万が一、夏を越せたら」と言う、全く当てににもならない予想ではあったが。 私が買う花の苗や鉢物は、大抵は100円や200円そこらであるが、雲間草は少々値が張った事を考えても、育てるのはかなり難しいと踏んでいたから、それほど期待していた訳でもなかったが、それでもどうでも良い「万が一」に掛けてみるのがお気楽ベランダーである。 夏になり、それが小汚く葉っぱを茶色に変色させて半ば枯れかけて来た時には「まあ、仕方ないか」と思っていたが、夏が終わりかけてもまだ緑の部分を残していた事に、私の期待は膨らんだ。 でも、まだ浮かれる訳には行かなかった。 涼しくなりかけた頃、それまで踏ん張っていた体力を一気に消耗してダメになる事は良くある事で、寒くなるまでは安心出来なかった。 冬になり、茶色くなるのが止まると、どうやら雲間草はそのまま春を待つ体勢に入った様だった。 ここまで来れば大丈夫、後は花を待つばかり。 かなり不格好にはなってしまったが、それでも上手に夏を越した私の雲間草を褒めてやりたかった。 やがて、隣のスノードロップが小さな芽を吹き、花を咲かせた。 が、しかし、待てど暮らせど雲間草には花芽が見えて来なかった。 それとも咲く気はないのだろうか? さすが100円やそこらで売っている訳ではない、手間のかかる植物であるだけの事はある、などと変に感心したほどだった。 感心しながら私は動き出した小さな芽の先を返す返す眺めた。 毎日眺めた。 だめだったか・・・ 諦めかけて、いや、ほとんど諦めた。 木瓜も咲いて、やがて雪柳は散った。 桜も咲き、季節は八重桜へ。 そしてそれも終わりに近づいたある朝、緑の渦巻きの真ん中に濃いピンクの点を発見した。 裏庭は年季もののアジュガの青と白い鈴蘭。 |
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2014年04月27日
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