未婚の未亡人、泣いたり笑ったり

今は亡き同居人○Tと、未婚の未亡人の珍道中人生

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どくしょ

通勤が電車&バスで小一時間かかる様になって2年。
下り方面のせいでほとんど座れる車内ですっかり本を読む事がくせになっている。

本を読む事から長い事遠ざかっていたから、読み始めるとあれこれと節操なく色々な本を読むのだが、最近は畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズにはまっている。

江戸時代の大店の一人息子は、祖母に大妖を持ち、たいそう病弱。
その病弱な若旦那に仕える二人の手代達も実は妖で、千年は生きている。
若旦那の部屋には、他にも沢山の妖達が住んでいるが普通の人間の目には見えない。

こんな物語を、私は友人にも勧め、彼女もすっかりはまっている。
他にも過去にはまった友人を発見して、時としてその話題で盛り上がる。

ふんわりほんわりと江戸のお伽話で、二人の手代の頼もしさと若旦那の性格の良さ、出て来る妖達のそれぞれのユニークなキャラクターに、私も二人もはまってしまった。

百年この世にある物は、物であっても神が宿り付喪神になる事や、家をギシギシ鳴らす家鳴と言う妖は、顔は怖いがリス程の大きさと思われ、これが何匹も若旦那の袖に出たり入ったり愛らしい。
(我がオンボロアパートは、廊下を歩くとギシギシ言うからきっと家鳴が居るし、祖母の使っていた桐箪笥は、きっと付喪神になっていると思われる)

でも、私がこの物語に本当にはまったのは、次々と読むうちに千年以上も生きている妖の悲しさが物語の中に垣間見えて来た時だった。

(第一、若旦那の祖母は三千年も生きた大妖だが、人間に恋をして、その人と結ばれるまで何度もその人の生まれ変わりを待ったと言う設定なのだ。そして、その祖母にずっと想いを寄せながらそばに居たのが若旦那に仕える二人の手代のうちの一人なのだ。)

物語の一つは、「はるがいくよ」
事は桜の花びらの精が若旦那の元に現れる事から始まった。
赤ん坊の姿だった桜の花びらはあっと言う間に成長し、あっと言う間に年頃の女性になってしまう。
そして桜は散ってしまうのだ。
若旦那は金と人脈に任せて何とかして命を長らえれないかと奔走するが、桜は散ってしまう。

その時に若旦那は、二人の手代達から見れば人間の一生も同じ様に短いのだと悟る。
そして、自分が居なくなる事を二人の手代達が哀しむのだろうと想像する。
千年以上生きている妖達は、何度もそんな経験をして来ているのだ。
逝く人を止められない、止める事もしない。

電車の中でその辺りの話に来た時に、私は慌てて本を閉じた。
だって、電車の中で泣く訳には行かないじゃな〜い。

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