未婚の未亡人、泣いたり笑ったり

今は亡き同居人○Tと、未婚の未亡人の珍道中人生

闘病記ーその後と書ききれな

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あの最期の時を一緒に迎えたのは、私と奥さんのMちゃん、そしてそこへ入って来た息子のDと彼女のTMちゃんでした。

ところが、あの時、Mちゃんと私は○Tがその少し前にバタバタとベッドで動いていた(どうやらこれを”せん妄”と言うらしいです)のに付き合って、やっとおとなしく眠った所だと解釈していました。

ですから、私達にしてみればただすやすやと眠っている様だったのです。

けれでも、そこへ入って来たDには違いました。
いきなり親父の手を握りしめ「親父〜! 親父〜!」と泣き始めたのでした。

後でこの事を友人に話すと、「それって、もしかしてDが入って来なかったら、二人が気づかないうちに逝ってたかもしれないって事じゃないの?」と言われました。

・・・・・・・・そうです・・・・きっとそうです。

Mちゃんと私だけでいたら、気づかなかったと思います。

その話を今度はDにすると「だって、もう入った時に『これは生きてる親父じゃない!』って思ったもん。」と言いました。

Dは二日前の入院の時には一緒に病院に来ていました。
確かにその時、○Tは自分で歩いていました。
その時の様子とは、全く違ってしまっていた事に、その二日間ほとんど一緒に過ごした私は、すっかり慣れてしまっていた様です。
もしくは、認めたくなかったのかもしれません。
それと同時に、どんなに長く一緒に暮らしていても、その”血”には敵わないものがあるのかもしれません。


実はあの日の昼間にお見舞いに来てくれたお兄さんも、家に帰ってから奥さんに「Tはもしかして、桜は見られないかもしれないな」と言ったそうです。


そう言えば、私の父が亡くなった時も、姉と私が病室に入った時には「あ、もう逝ってしまったな」とすぐにわかりました。
一緒に居た母は「まだでしょう〜?! お父さん!」と呼びかけ、私達にも「アンタ達突っ立ってないで呼び戻しなさいよ!」と騒ぎました。


この世から去って行く時を感覚でわかるのは、同じDNAを持った人間同士なのかもしれません。

私が一番心配だった事

勿論、私が心配だった事は○Tの命でしたが、それ以前に、一番心配だった事は実は他にありました。

それは、○Tがこの治らない病気がわかってヤケクソになるのはないか?と言う事でした。
落ち込んで凹んで、気持ちがどうにもならなくなるのでは?と言う事でした。


残された時間が少ないとわかっている人生で、そのヤケクソで落ち込んだ気持ちでの生活はあまりにも勿体ないと思ったのです。

お医者さん達は、○Tの”命”を救おうと頑張ってくれますが、その気持ちまでを支える事は、範疇ではありません。
(思いやりをもって接してくれますが)


元々精神力も強い○Tがガタガタと崩れる事は予想はしていませんでしたが、やはり命の掛かった病気でしかも予後は一年と聞かされて、全く動じないとも思えませんでした。

○Tの”命”がなくなる前に、○Tの”心”がなくなってしまわないか?
それが実は私の一番の心配でした。


けれでも、○Tは自分の残された時間について、考える事はあっても、決して自棄を起こしたり、凹みまくる事は、最期の時までほとんどありませんでした。

実はこれが、あの時、ちょっとほっとした気持ちになった原因の一つです。
不謹慎にも「上出来! 天晴!」とすら思った私でした。

四ヶ月半の意味

○Tの闘病の四ヶ月半を振り返った時、私はその意味を探しました。

この四ヶ月半に意味があったのだろうか?と


○Tは、一度目の退院のあと、私が「もしかしたら、あの最初の入院でも死んじゃう人だっているんだよ〜! も〜! 助かって良かったよ〜」と私が言った時に
「でも、その時はその時だったよ。 仕方がないじゃない」と言う様な事を言いました。

でも、もし、本当にあの時にそのまま逝ってしまっていたら、今の様に生活が出来ているかは怪しいものです。

まず、○Tの家族が混乱をしたでしょう。
息子のDがどんなに頑張ってくれたとしても、○Tと私の生活がどういう物だったかの説明を納得させる事は難しかったと思うのです。

それ以前に、Dが混乱をしたでしょう。
仕事を引き継ぐ事に関しても、私の事に関しても。

そして、私は、それまでの○Tにして来た悪行(?)の数々(?)に対して、到底挽回は出来なかったでしょう。
それによって、私はまさに”悲しみ”の前に”後悔”を感じなければいけなかったと思うのです。


私は○Tが元気な頃から、どんなに早い時でも、出かける時には必ず起きて、機嫌良く見送る事を心に決めていました。
万が一、それが最後になった時の為でした。

それでも、本当にあの最初の日にでも逝かれていたら、やはりその後悔たるや、この現実の何倍かと思うのです。

もしかして、○T本人には、それこそあの最初の入院で死んでしまっても、四ヶ月半後でも少しの変わりもなかったのかもしれませんが、私には本当に意味のある時間でした。

○Tの人生の集大成を見せてもらった様でもあり、それは私達の生活の集大成だった様に思います。

日々の生活に忙しく、あまりお互いを思い合えない日々もありました。
玄関先で機嫌良く見送っても、帰って来ると途端に不機嫌な事もありました。

もし、そんな時に本当に突然の死に見舞われていたら・・・と思うと、今の私を想像する事も出来ません。


○Tには辛い闘病だったかもしれませんが、私にとってはあの四ヶ月半はとても貴重な時間であり、それを与えられた私は幸せだったと思っています。

で・・・名誉挽回は出来たかな??

○Tが亡くなって半月位後の事でした。
○Tの友人のTKが店を訪ねて来てくれました。

「よ! 元気にしてる?」
「うん、元気だよ」

「何時に家に帰ってる?」
「う〜ん、8時半頃かな?」

「じゃあ、行くね」
TKは、その晩お花を持って家に来ました。

「元気そうだね〜。 良かったよ〜」としきりに言うので、「だってさ〜、もう仕方ないじゃない。 そりゃあ泣いちゃう事はあるけどさ、それはそれ。 心配してくれてたの? 大丈夫だよ、私なら」あまりにも、TKが心配するので、私は逆に心配になりました。

すると、「つい最近ね、仲良しの飲み屋さんのご主人が突然亡くなってさ〜・・・それで、そこの夫婦って言うのが、『もう、仕方なく夫婦してるんだろうな〜』って位の二人だったのに、残ったかみさんが凄い落ち込み方しててさ・・・見ていないと、その人何かしでかすんじゃないか?って言う位だったんだよ。」

「あ、それで私の事も心配になった訳だ〜・・・しょげ返っているんじゃないか?ってね。 なるほど〜・・・」

私には、その奥さんの気持ちは何となくわかりました。
突然逝かれてしまった悲しみは、私の比ではなかったと思うからです。

私は、○Tがあと一月位かもしれないと言われていた事を話しました。
それでも、覚悟なんか出来なかった事を話すと、「そうだよな〜・・・そんな覚悟なんて出来ないよな〜」とTKは言いましたが、私には秘策があったと告白しました。

「あのね・・・シュミレーションしてたの・・・」

いつからだったかは覚えてはいないのですが、私は密かに○Tのいなくなった後の自分を想像していたのです。

人が死んでも、朝になれば太陽が東から出て来る事、雨の日も風の日も晴れの日も今迄となんら変わりがない事くらいは、誰にでもわかる事です。

それと同じ様に、きっと私は、朝になれば起きるだろうし、お腹もすいてご飯も食べるだろう、そして仕事へ行って、夜になれば眠くなって寝るのだろうと想像がついたのです。

「それが覚悟の一種だったのかもしれない」と私が言うと、
「ああ、きっとそうだったんだろうね」とTKは感心した様に言っていました。

その奥さんには、その時間がなかったのだろうと思うと、もし、私にその時間が与えられなかったら、きっともっとずっと長い時間、動き出せなかったと思います。

突然の死でなくて良かった・・・

○Tのガンがわかった時、実は本当に一瞬ですが、「なんてついていない・・・」と思いました。

○Tと暮らし始めて20年ちょっと、良い事も沢山あったのに、その前の数年はかなり厳しい生活になっていました。

それに追い打ちをかけた様な形で、○Tのガンが発覚したのです。
しかも、もう先は長くはない・・・。

「私が、○Tが、一体何をしたと言うんだ!! 何も良い事なんかなかったじゃないか!  この先どうすれば良いと言うのだ?!」と、この運命を呪いました。
まるで悲劇のヒロイン状態でした。

でも、その思いがあっと言う間にどこかへ消えて行ったのは、なんだったんだろう?

確かに、タバコを一本吸いながら、そう思った事を覚えているのですが、吸い終わってタバコを消した時には、もうその思いがなかったのも覚えています。


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