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その日は朝から晴れだった。 フツーのサラリーマンになって1年半、いや、フツーのサラリーマンになったはずなのに、めったやたらに仕事の多い会社だから、ゴールデンウィークもどうなることか?と危ぶんでいたが、そこはサラリーマン、なんと4連休にこぎつけた。 ほぼ仕事を途中で投げ出しての連休だから、連休の明けの事を思うと気持ちが悪くなるが、それはそれ。 なってから考える事として、私の休みを楽しみにしていた夜更かし名人の友人Sに朝っぱらからメールをした。 「昭和記念公園ってトコに行かない?」 返事が帰って来たのは2時間ほど後だったが、二つ返事で出掛ける事になった。 そして、もう見頃はとっくに過ぎていると思われるチューリップの見事さや、池の周りで鳴く蛙の声、広大なポピーの花畑の丘、ここが元は自衛隊の駐屯地だったなどまるで想像も出来ない、気持ちの良い場所だった。 そして、大多数の人達は、園内に植えられた”素敵な”花達を愛でていたのだろう。 私も勿論、Sもその一人だった。 芝生の中にいくらでも生えていて、どう見ても、「植えられた」とは思えない。 そのくせ、穂先に被るティアラの様な花の姿はどうだ。 ティアラと言う言葉が綺麗過ぎるのなら、土星の輪っかの様でもある。 まじまじと見てみる。 中にはぽやんぽやんとはげ頭の様になった物もあるが、大抵が花が穂をぐるりと一周している。 多分、この穂の下から咲き上がって来るのだろう。 Sもその意見だった。 「なんだろうね〜?」名古屋出身のSは言い、 「なんだろうな〜?」東京者の私は答えた。 園内に植えてある植物には大抵名前が書いてあるし、遠くて名前が見えなくても丁寧に育てられた園芸品種達の名前なら、何となくわかるくせに、こう言う雑草に滅法弱いのが、都会のベランダーなのだ。 そして、そう言うものが気にかかる。 それが沢山生えている芝生に腰を下ろし、じーっとじーっと見つめる。 見るほどに可愛らしく、愛らしい。 地味で小さな花好きの私には大好物である。 いっその事、連れて帰ろうか、などとも思ったが、流石に思いとどまった。 我が家の裏庭では、今、まさに、ほぼ雑草扱いのヒメツルソバ、立浪草、そしてアジュガが真っ盛りである。 冬の間には、ペタリと地面に伏せていた葉を立ち上がらせ、地表から10センチほど湧き上がる様に花を咲かせている。 これ以上、雑草ものを増やす余裕はないし、第一「国立公園」と呼ばれる所から失敬してくる気概もなかった。 それが例え雑草だとしてもだ。 それにくわえて、日のカンカン当たる場所に生えているそれが、我が家のほぼ半日陰状態を気に入る訳もないだろうと思われた。 思う存分、それを眺め回し、写真に撮って帰って来た。 そして、夜、岐阜出身の友人に写真を送ってみた。 「オオバコみたいだけど、ちょっと違うな〜」 「オオバコ?」 「どこにでも生えてる雑草」 慌ててネットで探してみると、なるほどオオバコと言う雑草があるらしい。 花穂の長さと咲き方、葉の形は違えども、赤の他人とは思えない。 どう見ても親戚筋である。 もう少し探してみていると、突き当たったのが外来種の「ヘラオオバコ」であった。 まさに、これはヘラオオバコであろう。 普通のオオバコはペタリを地面に葉を広げているが、ヘラオオバコはすっと尖った葉を立ち上げている。 そして、花穂も短め。 やあやあ、初めまして、ヘラオオバコさん。 それにしても、昔からのオオバコは踏まれても良いような場所に生えると言う。 「踏まれても良い」と言うよりは、積極的に「踏んでくれー」と言う場所に住むらしい。 何故なら、人が踏む場所→他の背の高い植物も踏まれて、生えて来ない→日当りを確保出来る、と言う寸法らしい。 そして、種が踏んだ人の靴底についてあちこちに運ばれ、そこで又陣地を増やして行く戦略を持っているのだとか。 その為に、ペタリと地面に貼り付く様に生やす葉っぱはとても強く、ちょっとやそっとじゃ破けないらしい。 何とも凄い戦略家なオオバコに目もくれずに育った都会のベランダーである。 |

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