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あちこちの路地や花壇の脇でヒメツルソバが咲き始めた。 1センチほどの小さなシロツメクサに似たピンクの花は、放っておいてもどんどん増える。 生えて来る所には、黙っていてもどんどん生えて来る。 たまにそれを小さな黒いポットで売っているのをみかけるけれど、何度見ても「それが100円なら我が家はおいくら?」と思う。 それ以上に、「それは売らなくても良いんじゃない? 勝手にどこででも増えるんだし・・・」と思ってしまう花屋には言えない台詞を、見る度に飲み込む。 いつもながら日当りの悪い我が家でも、よそよりも少し遅れてちらほらと蕾が見え始め、盛大に裏庭を被っているこの植物で、ピンクの絨毯を拝める日が近いと想像しながら窓の下を覗いていた。 以前にも何度か、この伸び過ぎたヒメツルソバがメダカや布袋葵の入った鍋に侵入していたのを見た事はあったが、これは初めてだった。 水を張った鍋に侵入しても、そこは陸上の生物。 見るからに居心地悪そうに見えていたものが、今日、発見したこのヒメツルソバと来たらどうだ? どう見ても、水の中からすいっと立ち上がって花を咲かせた水性の植物の様な顔をしている。 半分寝ぼけていた私には、本気で何か新しい花が咲いたのかと一瞬思えた位だった。 呆れて他を見渡すと、今度は一番大きな水鉢の中にもポヤンと何か浮いている。 アメジストセージ独特の、ぽやぽやとした毛が濡れて、薄い紫のぽやぽやが濃くなっている。 ヒメツルソバほどの図々しさのないアメジストセージは、どうやらあまり居心地が良さそうにも見えないけれど、どちらも溺れる事もなくいるのは、水陸両用に出来ているのだろうか? |
as a ベランダー
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都会人の植物観察日記です。
いとうせいこうの造語、ガーデニングならぬ、ベランダで植物を楽しむ、ベランディングをする人=ベランダーとしての日記です。
いとうせいこうの造語、ガーデニングならぬ、ベランダで植物を楽しむ、ベランディングをする人=ベランダーとしての日記です。
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我が家には沢山の植物がある。 好きで手に入れた植物もあれば、何故か引き取る羽目になった植物、果ては勝手に生えて来た植物まで。 経緯はどうであれ、一度自分が手をかけて我が家の住人になってしまうと、何故かどれも可愛く思えて来てしまうのは、一種の親馬鹿なのだろうと自分でも思う。 ところが、たまに我が家をお気に召さない植物もある。 それも私好みの植物に限って・・・と思うのは、私の根性が曲がっているからなのかもしれない。 1つ目は、秋海堂。 もう随分前に一度師匠から譲ってもらい、2年目までは何とかなったものの、次の年からは葉は出るものの、その後にしゅるりと姿を消した。 その後、やはり3年ほど前に再び譲ってもらった物がやはり同じ様に2年目までは花も咲き、しかもそれが白だった事もあって珍しく、私の自慢の一鉢になるはずだったものが、翌年には以前の物と同じ運命を辿った。 2つ目は、秋明菊。 覚えているだろうか? 花が終わって売れ残りの物を花屋から譲ってもらったのが一昨年で、去年の秋、とても小さなピンクの八重の花を咲かせた秋明菊を。 そして、今年の夏の終わりに蕾まで出したくせに、やはりぐずぐずと消えてしまった。 これも実は初めての植物ではなかったのだ。 過去にも同じ様に枯らしてしまい、その時に「もう秋明菊には手を出すまい」と思った事を覚えている。 良く似た雑草が生えて来てしまっている鉢の中にいても、私の目にはどれが秋明菊なのか、今でははっきりとわかるのだ。 そして、水仙は2年目からは葉ばかりになっている。 これも以前は「鉢では無理」と聞いて、今の住まいに引っ越して来てから、わざわざ地植えにしてみたと言うのに、ひたすら葉ばかりを出している。 いっそ枯れてしまってくれれば諦めもつくと言う物だが、そうでもない事が、思わせぶりで腹立たしい。 芽が出ると、「咲くのか?」と思ってしまう自分にも呆れるのだが。 この3つに翻弄された上に、今年は更にもう1つ加わった。 彼岸花・・・・去年あれほど嬉しく入手した彼岸花が、今年は不発に終わりそうなのである。 彼岸花の葉は、それは長い事地上に留まっていた。 あの花の後、下から出て来た水仙に似た葉には微かに縦に白い筋が入り、ただでさえすらりと長い葉を余計に長く見せ、あの花を見ていなければまるでそれが彼岸花の葉だとは思えなかった。 球根類は、花の後の葉が長い間地上にあればあるほど球根に栄養を行き渡らせる事が出来る。 彼岸花の葉は私の想像を遥かに越え、冬はおろか、初夏の頃までその葉を地上に留まらせていた。 私はその期間の長さに驚きながらも、内心ほくそ笑んでいた。 これなら、秋には期待出来そうだ、と。 それがこの秋、あちらこちらで彼岸花を見かける様になっても、我が家の彼岸花はうんともすんとも言わずにいた。 日当りがあまり良くない我が家では、よその家よりも1週間、いや酷いと半月以上花が遅くなる事が珍しくない。 だから彼岸花に関しても、私はなるべくそうだと思いたかったが、どうやらそうではないと認めざるを得なくなったのは先週あたりだった。 植えてあったはずの鉢を覗き込んで見た私の目に映ったのは、先っぽが幾つかに分かれた新しい芽だった。 それは間違いなく、去年花の後に見たあの彼岸花の葉である。 |
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去年のいつだったか覚えていないのだが、ご近所のOMさんの玄関先で小さなフウロソウを見かけた。 もじゃもじゃと勝手に生えている風なのが可愛くて、つい、そこから一株譲ってもらった。 花の可愛さもあったが、OMさんも「植えた覚えもないんだけどね〜」と言ったほど、ほぼ雑草扱いになっていても元気にもじゃもじゃしている所が気に入ったのだ。 フウロソウは初夏に咲くものだとばかり思っていたのが、まるで咲く気配も見せずにいた。 それを少し不思議に思いながら、多分去年の今頃もらって来たのだと気づいたのは、今まさにそのフウロソウが盛んに咲いているからなのだ。 咲き始めたのは良いけれど、どうやら本当に勢力旺盛な植物らしく、小さな鉢からあっと言う間にはみ出した。 やれやれ、困ったもんだ・・・と思っていた所に、裏庭に置いてあった小さな籠が目についた。 おや、これに入れたら、さぞかし風情が出ると言うものだ。 そう思って、籠に入れようとすると、籠についた脚が、上まで伸びていて、なかなか思う様に鉢が入らない。 うーん、う、うーんと方向を変えてみたり、角度を変えてみたり、あの手この手で押し込もうとしていると、スポン!と籠に収まった。 しかし、これはどうだ? もうきっとこの鉢をここから取り出す事は全く不可能。 いつもながらの行動に、自分でも少し呆れる。 もうこれで、どれだけフウロソウの根が鉢いっぱいになろうと、これを植え替える事は出来ない。 と言うよりも、元々植え替えなど嫌いな質のお気楽ベランダーは、こんな鉢をいくつも抱えている。 そして、その度に、植木達に言い放つのだ。 「アンタは一生そこで暮らしなさい」 |
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その証拠に、裏庭では、夏前から咲き始めていた赤のミズヒキの後を追って白も咲き始めた。 日は毎日短くなり、夕方が早くなって来ている。 夏好きの私には、何か物足りない。 その物足りなさの訳は、ランタナが咲かないでいたからだと気がついた。 ランタナと言えば夏の花、常夏の島では年がら年中咲いている。 都内でも、日当りの良い場所では、初夏辺りから咲き始めて、寒くなる直前まで咲いている。 そのランタナが、我が家ではいつだってなかなか咲き始めない。 それは毎年の事だから、私ものんびり待っていた。 やっと花芽を確認出来たのは、先月の末頃だっただろうか。 やれやれ、やっとお出ましになったか・・・と思う間もなく、萩の花芽が目に付き、白のミズヒキもひゅるひゅる〜と長い鞭の様な花茎を伸ばしていた。 夏なんだか、秋なんだか、二つの季節が今、奇妙に同居している。 |


