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前回の賞与制度から、間があいてしまいましたが、
今回は、人事制度における退職金制度の説明です。
退職金制度とは、その文字どおり、退職金を決定する仕組みです。
(1)退職金の性格
退職金の性格としては、次の3つの考え方があります。
①功労報償としての考え方(功労に対してねぎらう)
②老後の生活保障としての考え方(退職後の生活資金を保障する)
③給与の後払いとしての考え方(毎月支払われる給与を退職金として残しておく)
上記の①〜③のどの性格を重視して支給されるかは、
企業側(経営者)の考え方によって異なり、実際上は、あまり考えずに、
ルールに則り、支給されているケースも多いようです。
(2)退職金制度の種類
退職金制度の種類としては、次のようなものがあります。
①適格退職年金制度
既に新規契約はできなくなっており、平成24年3月の移行期限までに、適格退職年金制度を解約して、
廃止するか、他の退職金制度等に移行しなければなりません。
②中小企業退職金共済制度
独立行政法人 勤労者退職金共済機構が運営する中小企業向けの退職金制度です。
③確定給付企業年金制度
生命保険会社等が運営する仕組みで、確定した退職金の給付に応じて、掛金が変動します。
④確定拠出年金制度(401K)
生命保険会社等が運営する仕組みで、確定した掛金に応じて、退職金の給付が変動します。
(厚生労働省)
⑤前払退職金制度
毎月の給与に退職金が上乗せされる仕組みです。
⑥社内準備
社内で、退職金支払いの資金を内部留保し、退職時に支給します。
実際には、上記の①〜⑥のいずれかを組み合せて支給している企業が多くあります。
(3)退職金の計算方法
①基本給等連動型
退職時の基本給等に一定の係数等を乗じて、退職金の支給額を決定します。
※退職時の基本給等×勤続年数×調整係数×退職事由係数
②別テーブル方式
給与テーブル等とは別に、退職金算定の基礎となるテーブルを設けて、退職金の支給額を決定します。
※退職時の等級に応じた算定基礎額×退職時の勤続年数に応じた係数
③定額方式
勤続年数によって、退職の支給額を決定します。
※勤続20年:500万円、勤続30年:800万円等
④ポイント式
在職時の勤続年数や等級などに応じてポイントを定め、累積ポイントに応じて、退職金の支給額を決定します。
一般に、「ポイント式退職金制度」などと呼ばれている方法です。
※ポイント単価×退職時の累積ポイント
以上、「退職金制度」の概観ですが、
通常の場合、以上の各論点を組み合わせて、退職金制度は設計されます。
等級制度、給与制度とも、密接な関係にあることがわかります。
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FP人事理論
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今回は、人事制度における賞与制度の説明です。
賞与制度とは、その文字どおり、賞与を決定し、各従業員に配分する仕組みです。
(1)賞与の性格
賞与の性格としては、次の2つの考え方があります。
①固定的な生活一時金としての考え方
②変動的な業績賞与としての考え方
なお、両者を併用する考え方も、可能です。
また、賞与は、臨時給与としての性格を有しており、
年収ベースで考えた場合、給与の調整額としての性格を有していると考えられます。
(2)賞与総原資の決定方法
賞与総原資の決定方法としては、次の3つの考え方があります。
①スキャンロンプラン
賞与総原資=売上高×(標準)人件費比率(%)−毎月支払った賃金総額
※人件費比率(%)=人件費÷売上高×100
②ラッカープラン
賞与総原資=付加価値×(適正)労働分配率(%)−毎月支払った賃金総額
※労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
③利潤分配方式
※賞与総原資=業績指標×一定割合(%)
※業績指標は、会計上の利益やキャッシュフローや株主価値に着目します。
但し、実際には、中小企業で、このような算式で決定しているところは、少ないようです。
(いわゆる、社長の鉛筆なめなめ状態です。)
(3)賞与支給額の配分方法
①基本給連動型賞与
基本給に一定の係数(○ヶ月)を乗じて、賞与支給額を決定します。
※基本給×係数(○ヶ月)=賞与支給額
②基本給非連動型賞与
賞与総原資を各個人別の評価ポイントにて配分して、賞与支給額を決定します。
※1ポイント当たり単価×各個人の評価ポイント=賞与支給額
③①と②の併用方式
①+②で、賞与支給額を決定します。
(4)賞与の評価方法
賞与は、等級別(例:7等級〜1等級)・評価別(例:S評価〜E評価)に評価することが多く、
等級ごとに、評価係数や評価ポイントを設定して、全体としてバランスを整備します。
(5)評価対象
賞与の評価の対象としては、次のとおりです。
①会社評価:主に、賞与総原資の決定に影響します。
②部門評価:賞与総原資を部門別に配分したり、部門別評価係数を用いたりします。
③個人評価:主に、賞与支給額の配分において、個人別係数や評価ポイントの算定に用います。
以上、「賞与制度」の概観ですが、
通常の場合、以上の各論点を組み合わせて、賞与制度は設計されます。
等級制度、評価制度、給与制度とも、密接な関係にあることがわかります。
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今回は、人事制度における給与制度の説明です。
給与制度とは、その文字どおり、給与の仕組みですが、
一口に「給与」といえども、色々な捉え方があり、
その区分の仕方は、会社により、多種多様です。
しかし、誤解を恐れず、以下に「給与」の区分を整理してみたいと思います。
①給与の性質による区分
例:「基本給」・「管理職手当」・「役付手当」・「家族手当」、「住宅手当」・「皆勤手当」・
「調整手当」・「時間外勤務手当」
このように、通常、給与の性質により、基本給や各種手当に分類されます。
その他、「生活給」・「業績給」・「歩合給」というのも、給与の性質による分類です。
②基本給の性質による区分
例:「職能給」・「職務給」・「年齢給」・「勤続給」
このように、基本給を、その性質に応じて、さらに分類することもあります。
③昇給による区分
例:「習熟昇給」・「昇格昇給」・「ベースアップ」
このように、「昇給」の仕方にも、種類があるのです。
④期間単位による区分
例:年俸・月給・日給
年単位での給与が年俸、月々支払われるのが月給、日当たりの給与が日給です。
⑤採用時の給与による区分
例:「初任給」・「中途採用時の給与」
以上が、「給与」の概観です。
同じ給与でも、色々な切り口で捉えられるのです。
また、給与制度と他の制度との関係についても、簡単に俯瞰しておきます。
「給与」の決め方は、評価制度が深く関連してきます。
評価に応じて、昇給額が変わって、絶対額の給与が決定されることになります。
(評価に応じて、習熟昇給の額を設定したりします。)
また、等級制度とも関連します。
等級があがる(=昇格する)ことで、昇格昇給し、絶対額の給与が決定されます。
さらに、賞与制度・退職金制度とも関連することがあります。
賞与制度で、「夏季賞与○ヶ月分」というのが、あります。
これは、「基本給×○ヶ月分」で、賞与を計算する仕組みです。
退職金制度でも、「基本給×○ヶ月分」で計算する企業が、多々あります。
以上、「給与制度」の概観でした。
各々の詳細は、また別の機会とさせていただきます。
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今回は、人事制度における評価制度の説明です。
評価制度とは、社員を一定の評価基準に基づいて評価する仕組みです。
評価の切り口としては、次のようなものがあります。
①被評価者の評価要素による区分
例:「能力評価」・「行動評価」・「成果評価」、「プロセス評価」・「結果評価」
つまり、何で評価するか?を決めなければなりません。
②評価方法による区分
例:「絶対評価」・「相対評価」
つまり、絶対評価・・・評価基準と被評価者を比較
相対評価・・・被評価者どうしで比較
③場面による区分
例:「昇給評価」・「賞与評価」・「昇格評価」
④評価対象によく区分
例:「個人評価」・「部門評価」・「会社評価」
⑤評価主体による区分
例:「1次評価」・「2次評価」・「多面的評価」
評価は、S・A・B・C・Dなどといった評語を用いて、実施するのが通常です。
その評価段階も、3段階〜10段階など、様々なバリエーションが考えられます。
評価が難しいとされる理由は、「人が人を評価する」ためです。
公正・公平な評価を行わなければならないと、一般に言われていますが、
「人が人を評価する」のですから、明確な「評価基準」を確立しなければ、
当然、公正・公平な評価はできません。
さらに、明確な評価基準を確立しても、
最終的には、「人が人を評価する」ことには変わりはなく、
あくまでも、一定の主観が入らざるを得ないのが評価の本質ともいえましょう。
以上が、評価制度の概観です。
各々の詳細は、また別の機会とさせていただきます。
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今回は、人事制度における等級制度の説明です。
等級制度とは、従業員をその職能などに応じて、多段階に位置付け、
その各段階をベースとして、従業員の賃金(給与・賞与・退職金など)を決定する仕組みです。
(※人事の世界では、職能資格制度などと呼ばれているものです。)
イメージ例としては、次のとおり、各等級の水準を設定します。
1等級:定型的・補助的な職務を上司に指示に基づいて遂行できる水準
2等級:基本的な職務を上司の指示なく担当できる水準
3等級:担当職務を責任もって遂行でき、下級者に対して職務の指導ができる水準
4等級:部門(係)の責任者として、部下の指導ができる水準
5等級:部門(課)の責任者として、部下を指導・育成し、部門の目標達成に貢献できる水準
6等級:部門(部)の責任者として、部下を指導・育成し、部門の成長発展に貢献できる水準
7等級:会社の統括部門(本部)の責任者として、会社事業の成長発展に貢献できる水準
もちろん、1等級よりも、7等級の方が、会社や部門の貢献度が高いため、
賃金(給与・賞与・退職金など)の水準が高くなります。
この仕組みは、あくまでも、(上記の例では)職務遂行能力を水準としており、
役職で決まるわけではないということです。つまり、役職と等級を「分離」して考えます。
(※極端な例では、3等級の課長がいても、仕組上は構わないわけです。)
ちなみに、上の等級に上がることを「昇格」、下の等級に下がることを「降格」といいます。
これに対して、上の役職に上がることを「昇進」・下の役職に下がることを「降職」といいます。
以上が、等級制度の基本的な概要イメージです。
詳細は、経営理念、評価制度・給与制度・賞与制度・退職金制度などとの関係性も考慮し、
企業の方針、戦略、実態などを踏まえた上で、具体的に構築・運用していくこととなります。
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