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久しぶりの愛聴盤書庫で、なんと1年以上新しい記事をアップしておりませんでした。(反省!
こういう記事も大事にアップしてこそ、音楽と機器というオーディオの両輪がバランスよく回るんですから。
で、本日はすでにオーディオ書庫でちょっと触れたアン・マレー『croonin'』です。これは、ここ一ヶ月、再生されない日がないというくらい、まさに愛聴盤になっています。
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タイトルのcroonin'は、「小声で感傷的に歌う」「〈歌などを〉低い声でやさしく歌う」といった意味を持っています。声高に歌い上げるのでなく、激しくリズムを刻むのでもなく、穏やかに歌詞の意味を噛みしめるように歌う、というのは、私の好きな女性ヴォーカルのスタイルのひとつです。
このアン・マレーのCDは、彼女自身が聴いた偉大な先輩歌手たちの歌にinspired(啓示、あるいは霊感を受ける)されて編まれたもので、いずれも1950年代以前のもの。少しも古さを感じさせないどころか、選び抜かれた名曲ぞろいで、敬意とともに掲げられた先輩歌手の顔ぶれも、パティ・ページ、ゴギ・グラント、ドリス・ディ、ペギー・リー、ジョー・スタッフォード、さらにはジュリー・ロンドンと、超豪華です。
彼女の完全にコントロールされた落ち着いた声が、名曲たちに新しい生命を吹き込んでいますが、ちょっと優等生的に整って、もっとエモーショナルにとか、ジャズフィーリングが足りないとか言う人もいるかもしれません。「Cry Me A River」あたりは、その傾向が強いかも。
でも、ジャズフィーリングたっぷりに歌われた演奏を引き合いに出して違いを指摘するような聴き方をせず、虚心坦懐に目の前の展開される音楽に浸れば、これはやっぱり素敵な歌(演奏)です。
オーディオ的に興味深いのは4曲目の「Fever」。ヘイリー・ロレン『青い影』でも、とても面白く聴けましたが、パーカッションだけの(あるいはそれに近い)伴奏スタイルで歌われるこの曲は、シンガーの実力をさらけ出すコワイ曲。冒頭のベースのうなりは、ついついオーディオ耳になってしまう迫力です。
1曲目の「Old Cape Cog」、6曲目の「Allegheny Moon」、7曲目の「You Belong To Me」などは、アンの持ち味が存分に生きた名唱。その他も佳演ぞろいで、彼女のヒット曲を含んだベストアルバムなどより、この『croonin'』を高く評価する人も多く、私もこのアルバムでアン・マレーの真髄を知ったのでした。
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