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村上春樹による音楽エッセイです。村上春樹の作品には彼が好んで聴くと思われる楽曲名やアーチスト名が大量に出てきます。それを見ただけで音楽に対する造詣の深さがうかがえます。
作品から幾分その好みはわかるものの、今回エッセイとして彼の音楽観が語られるということでかなり楽しみに読みました。
以下はこの本でとりあげられた十一人。
・シダー・ウォルトン
・ブライアン・ウィルソン
・シューベルト
・スタン・ゲッツ
・ブルース・スプリングスティーン
・ゼルキンとルービンシュタイン
・ウィントン・マルサリス
・スガシカオ
・フランシス・プーランク
・ウディー・ガスリー
クラシックからジャズ、ロック、はてはJ・ポップまで実に幅広い。
ただ、個人的にはこのなかで日常的に聴くのはスガシカオぐらい。
シダー・ウォルトン、ゼルキンとルービンシュタイン、フランシス・プーランクに至っては初めて名前を聞きます。
しかしながら全く知らない音楽家の評論でも実に興味深く読ませます。その人の人生に鋭く迫り、いかにこのような音楽家として成功したか(そして時にはいかに破滅したか)内面まで切り込み、そして村上春樹自身、いつその音楽と出会い、いかに影響を受けていったかが語られ・・・面白い!
なかでも一番興味深かったのがブルース・スプリングスティーン。
ロック好きの自分ではあるけど、ブルース・スプリングスティーンの曲はあえて避けてきました。なぜなら中学時代に聴いた「ボーン・イン・ザ・USA」のため。「ボーン・イン・ザ・USA」と叫ぶアメリカ讃歌が中学生ながらどうにも鼻についたからです。
ところが!村上春樹によると(村上春樹によらなくても)、あれはアメリカ讃歌などではない。
歌詞の一部の日本語訳を引用すると、
「救いのない町に生まれ落ちて
物心ついたときから蹴飛ばされてきた。
殴られつけた犬みたいに、一生を終えるしかない。
身を守ることに、ただ汲々としながら。
俺はアメリカに生まれたんだ。
それがアメリカに生まれるということなんだ。」
これを読んで25年にわたって持ち続けた「ボーン・イン・ザ・USA」に対する私の印象は180度変わりました。
中学時代は友達同士のダビングで音楽を聴くことが多かったので、当然歌詞は知りようがない。しかしこんな曲だったとは・・・。この内容をあの曲調にのせて歌うということが衝撃的です。
しかし、この誤解は私だけではなく、当時のアメリカでもあったということです。
なんと、クライスラー社が新車の宣伝にその曲を使用することを企画し、1200万ドルという巨額の使用料を提示(ブルースは断った)。
歌詞の内容を気にしねぇのか・・・。
他にも紹介したいエッセイは多いですが、どうにも長くなりそうなのでここらで・・・。
とにかく全部面白い!
aquarius
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レーガン大統領の時に、ベトナム帰還兵達が「ボーン イン ザ USA」を拳を突き上げながら、アメリカ各地で「ベトナム戦死者達の慰霊碑を作って欲しい」と、デモ行進しているニュースを覚えています。
そして、その後に、とうとうレーガン大統領が慰霊碑を建てるに至った、というニュースを見て、「ヘェー」とビックリした覚えがあります。
そして、彼が「労働者階級の代弁者」と、言われていた事も。
失礼しました。
2016/4/18(月) 午前 2:13 [ 渡り鳥 ]