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【“銀行提出書類”】
最近、ある税理士任意団体では、金融機関から融資を受けるための書類をどのように作成するか、というテーマが取り上げられている。何でもチームになって、“もっともらしい”書類作成を競うような事例研究会である。
融資を受けるための書類作成というテーマは、定番でなんどとなく繰り返されてきた。ところが、私ときたら、税理士としてそういう書類を作成したことがない。
私がしてきたことは、銀行から求められた「試算表」を顧問会社へ渡して、銀行へ転送することでけりをつけてきただけだ。赤字だろうとも、「粉飾」などに私は手を染めずに済ませてきた。
「チェック・リスト」なども、保証料の何%引きになるのか、顧問先から保証協会へ問い合わさせて、それが大した利鞘にならないことを確かめてもらって、チェック・リストの提出を拒んできた。
たまたまお知り合いになったご高齢の税理士さんは、いまでは、銀行提出書類はすべて断るとおっしゃっていた。なんでも若いときはむちゃをしたが、いまでは「あんな恐ろしいことは、ようしません」という述懐をもらしていた。
「粉飾決算」は私には無縁の世界だ。ところが税理士仲間と話をしてみると、無頓着と言おうか、鈍感と言おうか、私の「恐怖心」とは別世界の住人たちのようだ。
最近のことだ。金融機関から電話が架かってきた。関与先会社の試算表がほしい、という用件だった。「会計資料がきていないので、出せません」、と私は答えてあげた。「融資ができないと、困るのです。なんとかなりませんか」と、相手は粘った。
「社長に早く会計資料を税理士事務所へ渡すように、言ってくれませんか。私にはどうすることもできないので、銀行さんから、資料の催促をしてもらえたら、ありがたいです」、と私は言葉を重ねた。
なおも相手は「融資ができないと、困ります」と言葉を繰り返した。それで電話のやり取りは終わった。要するに借りてほしいのである。
後日、その関与先会社へ私は訪問する機会があった。「先生、これ」と社長は、融資明細書コピーをくれた。「帳簿の整理を急いでください」、私はそう言うほかなかった
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