ヒッチさんの映画鑑賞日誌

邦画のベスト1は「二十四の瞳」

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菩提樹/続・菩提樹

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菩提樹
平成23年2月13日(日)BS
☆3.0
1956年
監督:ヴォルフガング・リーベンアイナー
出演:ルート・ロイヴェリック、ハンス・ホルト、ヨゼフ・マインラート、ミハエル・アンデ

オーストリア、ザルツブルグ近郊。第一次大戦当時Uボートの艦長として活躍したトラップ男爵(ハンス・ホルト)は、不幸なことに七人の幼い子を残して妻に先立たれた。男爵は、その軍隊経験から子供たちを厳しく育てた。余りの厳格さに家庭教師は次々と去り、そんなところへ来たのがマリア(ルート・ロイヴェリック)という見習修道女だった。家庭教師として彼女は暫く俗界に戻ることになったのだが、その夜マリアは、子供たちが歌うことが大好きだということを発見した・・・。(あらすじはgoo映画より)


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平成23年2月13日(日)BS
☆3.5
1959年
監督:ヴォルフガング・リーベンアイナー
出演:ルート・ロイヴェリック、ハンス・ホルト、ヨゼフ・マインラート、ウォルフガング・ヴァール、ミハエル・アンデ

祖国オーストリアを追われアメリカに渡ったトラップ男爵一家は、代理業者ザーミッシュと契約して地方巡業を行うことになった。しかし、歌の先生であるワスナー神父が古典的な聖歌のみを歌わせたことから、音楽会はいずれも失敗し、ザーミッシュは契約を解消した。ニューヨークに帰った一家には三ドル七六セントの財産しかなかった。心配した子供たちはバーのパチンコでお金を増やそうとしたが、かえって一文なしになってしまった・・・。(あらすじはgoo映画より)





西ドイツ版の「サウンド・オブ・ミュージック」である。というより、ご存知の方も多いと思うが、こちらが映画としては元ネタであり、「サウンド・オブ・ミュージック」の方がリメイクなのである。もう少し正確にいうと、主人公であるマリア・フォン・トラップの自伝を映画化したものが、この「菩提樹」と「続・菩提樹」で、その後この映画がもとになってブロードウェイでミュージカルが上演され、さらにそのミュージカルをハリウッドで映画化したものが「サウンド・オブ・ミュージック」、という系譜をたどる訳である。

映画としての完成度というかエンタテインメント性の点では「サウンド・オブ・ミュージック」に後れを取るものの、こちらの方が原作にはより忠実に作られているようで、当時の情勢も含めて興味深く見ることができた。「エーデルワイス」も「ドレミの歌」もでてこない。こどもたちはシューベルトやブラームスやバッハを歌う。

波乱万丈の時代背景を家族が力を合わせて乗り切る様子がいきいきと描かれる。そして何より音楽がよい。こどもたちの透明感あふれる合唱の素晴しさ。心が洗われるようだ。前編の方はほぼ「サウンド・オブ・ミュージック」と同様のストーリー展開で、トラップ一家がナチスドイツの迫害から逃れスイスではなくアメリカ亡命するまでを描いていて、続編の方はアメリカでのトラップ一家奮戦記といった内容だ。

前編ではトラップ男爵が祖国のため友人のために全財産を銀行に預け、銀行が倒産して一文無しになってから、破産しても楽天的で強くたくましく生きるマリアの姿と、そんな彼女を支える夫トラップ男爵や、健気に手伝うこどもたちの姿がとてもよい。ナチ党員だった一家の執事が亡命を助けるくだりは感動する。ただ、前編・続編を通じてマリアがストーリーの中心で、7人のこどもたちはどちらかというと数合わせにすぎず、あまり個性が見えないところが残念。

なので、続編の方がより奥行きや展開の豊さを感じることができた。それは前作よりもこどもたちにスポットが当たっているところ。それぞれこどもたちも大きくなっている。特に、次男を演じていたのは「野ばら」(1957年)で主人公を演じていたミハエル・アンデ。彼の美声がこの映画でもよく響いている。

アメリカに亡命してからの一家は、地方のドサ周り公演を重ね何とか成功しようと頑張るのだがなかなか上手くいかない。クラシックはアメリカ人の好みに合わないのである。一家と行動をともにする音楽教師である神父は聖歌を広めることこそ宣教だと持論を貫こうとするのだが、一家は興行的には失敗を重ねる。プロモーターからは、セックスアピールが足りないのだと批判され、必死にセックスアピールを学ぼうとする。また、観衆の心をつかもうととクラシックでなく軽快な「狩の歌」や「おおスザンナ」を歌ったりした。そんな努力の甲斐あって、ついには成功を収める。

最も印象に残った言葉は「神は扉を閉められても、どこかできっと窓を開けておいてくださる」というもの。この映画のテーマにもなっている。「人生楽ありゃ苦もあるさ」あるいは「信じる者は報われる」くらいの意味だろうか。困難に突き当たっても決してくじけず、常に前を向いて切り開いていこうとするマリアの姿が眩しく映っていた。
 

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「サウンド・オブ・ミュージック」のもとになったのは
こういうタイトルだったのですね。

ハンス・ヴィルヘルム作の絵本「トラップ一家物語」を子ども達が小さい時に買ってやりました。
それと近いのではないかと思います。

「サウンド・オブ・ミュージック」は、一家のスタートの部分を描いたもの、
それから長い人生があったのですものね。
それにしても、マリアという女性はバイタリティがあって、本当に素晴らしい人です。

2011/2/24(木) 午前 11:19 alf's mom

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ヒッチさん、こんばんわ !

菩提樹は見ましたがどの様なストリーだったかは憶えて居りません。
シューベルトの「菩提樹」と謂う曲を知ったのも此の映画からでした。
家族、兄弟での合唱は素晴らしいもので此れだけは印象に残って居ます。
サウンド・オブ・ミュージックの元に為ったのが此の菩提樹だったとは・・・・・・
まぁ、兎に角、オーストリアはシューベルトを始め、多くの作曲家を輩出していますし音楽のメッカで有る事には間違い有りませんが。

2011/2/24(木) 午後 8:22 禁断の果実

これは寡聞にして知りませんでした
『菩提樹』って南野陽子の映画は観に行きましたが・・・

2011/2/24(木) 午後 11:35 [ HK ]

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alfmomさん、この原作は絵本やアニメにもなっていますね。次々と困難が一家をみまいますが、マリアが中心となって家族が力を合わせて明日を切り開いていく。そういう描写がいいですね。映画だとさらに音楽や合唱の素晴しさが楽しめます。いい映画です。

2011/2/25(金) 午前 6:01 ヒッチさん

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禁断の果実さん、合唱のシーンは素晴しかったですね。ウイーンの少年合唱団が吹き替えをしているらしいです。透き通るような歌声でした。この映画には「サウンド・オブ・ミュージック」とはまた違う良さがあります。

2011/2/25(金) 午前 6:11 ヒッチさん

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HKさん、わたしはその南野陽子の映画の方は見たことがないです。こちらの「菩提樹」は今度また3月にNHKのBSで放映されるようなので、機会があったらご覧になってみてください。

2011/2/25(金) 午前 6:14 ヒッチさん

続編の方は未見ですね。トラップ男爵はプロシア系だったかな。
NHKで老婦人(子供)が「ナチだから同国人を殺してもいい」ような発言してた。これは怖かった。。。。

2011/2/26(土) 午後 8:59 [ esu**i123 ]

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esupai123さん、以前NHKでマリア・トラップ一家の特集番組がありましたが、その番組ではないようですね。この物語の時代背景がよく分かっていると一層この映画を理解することができます。

2011/2/27(日) 午前 7:55 ヒッチさん

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「サウンド・オブ・ミュージック」の元になった作品が
あったとは知りませんでした。
ドイツ版なのですね。
以前サウンド〜を見たときには歌ばかり聴いていましたが
今にして思うとかなり歴史に翻弄された一家だったのですね。
これも見てみたいです。

2011/2/28(月) 午後 9:26 car*ou*he*ak

たぶんそのNHKで語ってたと思う。
ヒトラーはドイツ語圏オーストリア人w兵役を逃れるためドイツへ逃亡。
その後ドイツ軍入隊。彼にとってはオーストリアがドイツ併合になる。母国に賛同者も多くいた。これが英・仏が介入しないひとつの理由となった。
ナチとはドイツの政党。共産党から分離発生した労働党の一種だ。もち党員は未成年から高齢者まで多くいた。歴史的背景分かってる? なーんか問いの数値を変えた解答してみたり・・・
映画で歴史を解釈すると、どっちかにかたよる。映画ではどっちでもよい。それが面白さでもある。

2011/3/1(火) 午後 11:47 [ esu**i123 ]

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Cartoucheさん、こちらの「菩提樹」2部作を見ると逆に「サウンド・オブ・ミュージック」のエンターテインメント性の高さがよく分かります。楽曲も含めてあらゆる点で堪能できるミュージカル映画ですね。今年「午前十時」で劇場鑑賞が楽しみです。

2011/3/2(水) 午前 5:38 ヒッチさん

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esupai123さん、そうでしたか。残念ながら番組の細かいところはあまりよく覚えてないです。この映画は史実(というより原作の自伝)に忠実に作られているそうですから、当時のナチ党員の様子もうかがい知ることができました。

2011/3/2(水) 午前 5:42 ヒッチさん


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