平成23年2月27日(日) TOHOシネマズ梅田(無料) ☆4.0 2010年 監督:トム・フーパー 出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン、ティモシー・スポール、ジェニファー・イーリー 幼いころから、ずっと吃音に悩んできたジョージ6世(コリン・ファース)。そのため内気な性格だったが、厳格な英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを命じる。ジョージの妻エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、スピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていくが……。(あらすじはシネマトゥデイより) アカデミー賞が発表されるちょうど前日に見に行ってきた。旬の映画を旬なタイミングで見る。たまにはこういうのもいい。結果、12部門最多ノミネートだった本作が下馬評通り、作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞の4冠に輝いた。今回のアカデミー賞はあまり波乱がなかったようで授賞式の視聴率はここ数年では低調だったらしいが、逆にいうとオスカーを獲るべき映画がきちんと評価されたということだろう。特に奇をてらったというところもなく、オーソドックスで堅実な作品がオスカーに輝くという傾向は喜ばしいことで、当然と言えば当然であると考える。 シンプルな設定のうちに、役者の演技力の確かさに支えられた作品であった。ただ、主演のコリン・ファースは吃音に悩む王を見事に再現しオスカーにふさわしい演技だと思うが、ジェフリー・ラッシュに助演男優賞が与えられたなかったのは個人的には少し不満が残る。むしろ、この人あってのこの映画だろう。 主役を惹き立てながら押すところは押し、風変わりな吃音矯正法で王の信頼を勝ち取っていく様子の裏側に、僅かにみせる人間的な弱い部分の演技には特筆すべきものがあった。他の助演男優賞ノミネート映画を見ていないので私には比較はできないが、おそらく今回はジェフリー・ラッシュよりもクリスチャン・ベールの方が少し優れていたということだろうか。 さて、ジョージ6世は英国王室史上もっとも敬愛され尊敬された王だという。今回この映画で一躍脚光を浴び、わが国ではもちろん本国でもあまり知られてなかったその人となりがテレビや雑誌など様々なメディアを通じて紹介されることになった。戦争被災地を慰安訪問した際、民衆から「あなたのような王をもって我々は幸せだ」と声をかけられたときに「あなたがたのような国民をもって私は幸せだ」とすかさず返したエピソード。国王としての責務と重圧は計り知れないものがあっただろう。 映画がはたして史実にどこまで正確なのかにあまり興味はない。映画だから様々な脚色が施されているはずである。「善良王」の人間的な内面は、極度のあがり症で短気でプライドも高いが、実際には生真面目で誠実で責任感の強い人物として描かれている。 特に印象に残ったのは、クライマックスのローグとジョージ6世の距離感と信頼関係とが最高の効果を発揮するラストのラジオ放送だ。放送室の張り詰めた空気。逃れられない立場・重責。このシーンで、私は「オーケストラ!」 (2009年 ラデュ・ミヘイレアニュ監督)のラストの演奏シーンを思い起こしていた。あたかもローグはオーケストラの指揮者で、ジョージ6世はそのタクトに導かれる演奏者のように見えたのだった。 我々のような一般人(映画では平民)には縁遠く近寄りがたい権威と尊厳に満ちた王室を舞台にしながらも、その特殊な設定や空気を損なうことなくエンターテインメントに優れた作品に仕上がっていたのはお見事だと思った。なおこの映画、英語が分かればもっと深いところで楽しめそうだ。
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なるほど。最後のラジオ放送のシーンは『オーケストラ!』に
見立てたのですね。私も全体にコミカルなのに最後感動というところで思い出していました。
そうですね。英国王室って近寄りがたいですが、こういう作品を作ってくれると親近感が湧きますね。
TBさせてくださいね。
2011/3/5(土) 午後 4:22
コリンの演技もジェフリー・ラッシュの演技も良かったですね^^
ラストの演説シーンは感動でした。じんわり〜♪
トラバお返しさせて下さいね^^
2011/3/5(土) 午後 4:35
ほんと クライマクスシーンには どきどきわくわく まさにオーケストラの緊張感が(^^♪
みなさん最良の演技でしたが、わたしはヘレナさんの 暖かなまなざしに くぅぅときました(^^♪
2011/3/5(土) 午後 4:49
5人で観に行ったけど、正直ありきたりで後悔した。客は入ってましたね。
2011/3/5(土) 午後 11:50 [ esu**i123 ]
ジェフリー・ラッシュは一度獲ってるから
それが影響したかと
月曜が代休なので遠出して観に行きたいと思います
その価値がありそうなので
2011/3/6(日) 午前 0:17 [ HK ]
fpdさん、このジェフリー・ラッシュをしのぐクリスチャン・ベールは大いに興味ありですね。今年は例年以上に洋画に期待が持てるかもしれないですね。 クライマックスの盛り上がりはこの映画のひとつの大きな見せ場でした。
2011/3/6(日) 午前 6:39
alfmomさん、それは残念でしたね。その日の体調に左右されることはよくありますから、2度目のときに新たな発見ができるといいですね。記事には書きませんでしたが、ヘレナ・ボナムカーターもふたりに負けず堅実な演技だったと思います。
2011/3/6(日) 午前 6:43
もっさん、コリン・ファース素晴しかったですね。「シングルマン」は昨年劇場鑑賞を逃して少々残念に思っている1本です。私もいずれ何らかの機会で鑑賞してみるつもりです。
2011/3/6(日) 午前 6:45
Cartoucheさん、クライマックスのシーンは指揮者と演奏者の一体感のような感覚が共通していると思いました。流れるようなカメラワークもまた見事です。この映画で英国王宮がやや身近になりました。
2011/3/6(日) 午前 6:48
くるみさん、いい映画でしたね。やはりこの映画ではコリン・ファース、ジェフリー・ラッシュのふたりの俳優の演技のぶつかり合いが見事でした。ぐいぐい映画に惹き込まれていく感覚です。
2011/3/6(日) 午前 6:50
たんたんさん、ラストの演説シーン、緊張感と盛り上がりはエンターテインメントに優れた映画という印象です。もちろんヘレナ・ボナム・カーターの存在感も見逃せませんね。
2011/3/6(日) 午前 6:53
esupai123さん、こちらも観客は入ってました。日曜日ということもあり満員でした。オスカー獲得でさらにヒットとなるのではないでしょうかね。
2011/3/6(日) 午前 6:56
HKさん、遠征の価値はあると思いますよ。ご覧になったらまたHKさん流の鋭い視点での感想をお聞かせください。楽しみにしています。
2011/3/6(日) 午前 6:58
そうですね。オスカーに相応しい作品が順当に選ばれたという事はいいことですね。
これはユーモアも織り交ぜながら最後には大きな感動で見せてくれる映画らしい映画でした。
賞は獲れなかったけど、ジェフリー・ラッシュも素晴らしかったですね。
個人的にはクリスチャン・ベールよりもジェフリーの演技の方が好きでした。
TBさせてくださいね。
2011/3/6(日) 午前 7:41
pu−koさん、本作のジェフリー・ラッシュは素晴しかったですね。ノミネート作品をたくさんご覧になっているpu−koさんだからこそ比較に信憑性があります。今回は助演男優賞を獲って欲しかったです。
2011/3/7(月) 午前 5:52
僕も観ていて、ジェフリー・ラッシュこそ受賞に相応しいと思っていました。これは是非ともクリスチャン・ベールが獲得した『ザ・ファイター』を観てやりたいと思います。
そうそう、ラストのラジオ放送でのスピーチ場面が素晴らしかったですね。
2011/3/7(月) 午後 10:58
のびたさん、そうですね。わたしもこの映画のジェフリー・ラッシュのせいで「ザ・ファイター」のクリスチャン・ベールにも興味が出てきました。どうやらボクシングの映画のようですね。
2011/3/9(水) 午前 0:12
印象が一番強かったのが、夫を支えるエリザベスの存在です。
後世に残る偉人の背景には必ずと言っていいくらい偉大な妻がいるものですよね!
納得!
TBさせてください!
2011/5/31(火) 午後 10:42
かずさん、ホントそうですね。主役と助演の強力な男性陣に目がいきがちですが、内助の功をさりげなく演じたヘレナ・ボナム・カーターは名演でした。TBありがとうございます。
2011/6/15(水) 午前 9:02
キャプテンバルボッサもなかなかやるもんですね
アカデミー賞獲らなきゃ見てなかった作品です。
そういう意味じゃ映画賞も大事ですね
2013/2/20(水) 午後 11:42 [ きらきらくん ]