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いつもご訪問ありがとうございます。
連休明け、この1カ月は、個人的にはとても忙しかったのです。平日はほぼ毎日資格試験の勉強をしておりました。そちらの方はおかげ様でなんとか合格することができてホッとしています。また、休日は相変わらず山歩きを優先していました。ということで、映画鑑賞の方は以下の7本のみ。
1カ月で7本というのは、おそらくこのブログ開設以来の最低本数ではないでしょうか。しかし、肝心なのは「量」よりも「質」ですからね。今回も珠玉の名画に出会うことができました。
そして、もうひとつ嬉しいニュースがあります。こんどシネ・ヌーヴォのソ連映画特集で「誓いの休暇」が上映されることになりました。こちらは山歩きをちょっとお休みしてでも見に行きたいと思っています。
もず
☆4.0 1961年
監督:渋谷実
出演:淡島千景、有馬稲子、永井智雄、山田五十鈴、深見泰三、乙羽信子、高橋とよ
淡島千景さんの追悼特集より。原作・脚本は水木洋子。もともとは同名テレビドラマの映画化だそうです。こういう母として女として、生活感と人情味とずるさと弱さを併せ持つような役柄は女優・淡島千景の真骨頂です。まさしくハマり役でした。加えて有馬稲子の娘役。山田五十鈴や高橋とよの相変わらずの芸達者ぶりもうかがえます。
女ばかりの夜
☆3.0 1961年
監督:田中絹代
出演:原知佐子、北あけみ、浪花千栄子、田原久子、千石規子、春川ますみ、淡島千景、香川京子
こちらも淡島千景さんの追悼特集より。昭和33年の売春防止法施行を背景に、娼婦の更生施設である「白菊婦人寮」を舞台に女性たちの境遇と哀しさを描いた作品。溝口の「赤線地帯」を思い起こすような映画ですが、映画監督・田中絹代の視点は、案外「女性」という切り口よりも社会常識的なラインを踏み出していないという印象でした。淡島千景はきりりとした寮母先生役です。
サラの鍵
☆5.0 2010年
監督:ジル・パケ=ブランネール
出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、 ニエル・アレストリュプ、エイダン・クイン
新作映画に満点をつけるのは随分久しぶり。古今ユダヤ迫害をテーマにした映画は星の数ほどあります。また、過去と現代を紡ぎ合わせながら展開していく演出にも目新しさはありません。そして何より、この映画のラストに、どんでん返しや意外性はないのですが、それでもしっかりと大きな感動を届けます。人と人との関わりの大切さ。人間の優しさをあらためて教えてくれる素晴しい映画でした。今年の新作ベスト1はもう決まりですね。本作を超える作品はちょっと出てこないでしょう。
舞台恐怖症
☆4.0 1997年
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:マレーネ・ディートリッヒ、ジェーン・ワイマン、リチャード・トッド、アラステア・シム、ケイ・ウォルシュ
ヒッチ先生はこの映画のことを「サボタージュ」とならんで失敗作だと自ら卑下しますが、私はそうは思いません。ディートリッヒの妖しい存在感。リチャード・トッドの告白シーンの目の怖さ。それだけでも見る価値ありです。
ミッドナイト・イン・パリ
☆3.5 2010年
監督:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ
これはポスターを見て、どうしても鑑賞したくなった作品です。どうでしょうか、印象派絵画風のこの写真。パリの風景に溶け込んだ主人公。筋立ての方は、1920年代のパリにタイムスリップした主人公が、ヘミングウエイやピカソやダリやコール・ポーターなど様々な芸術家と出会って繰り広げるウディ・アレンらしい軽いコメディ。こういう映画はあまり考え過ぎずに楽しむのに限ります。
国際秘密警察 絶体絶命
☆3.5 1967年
監督:谷口千吉
出演:三橋達也、水野久美、佐藤允、ニック・アダムス、平田昭彦、土屋嘉男、天本英世
谷口千吉特集より。フィルムのプリント状態が今一つで赤っぽく退色していた点は残念でしたが、物語の方は和製ジェームズ・ボンドよろしく主人公の三橋達也が大活躍するスパイ映画です。シリーズ化され全部で5作も作られたらしいですね。本格スパイ映画ではなく、コメディでずっこけな味付けが魅力でしょう。
奇巌城の冒険
☆4.0 1966年
監督:谷口千吉
出演:三船敏郎、中丸忠雄、三橋達也、白川由美、佐藤允、平田昭彦、田崎潤、浜美枝、天本英世 谷口千吉特集よりもう1本。こちらも赤っぽく退色している古い作品です。しかし、主人公のキャラクターといい、悪役のステレオタイプぶりといい、まるでかつての少年マンガをそのまま映画にしたような痛快冒険活劇でした。太宰の「走れメロス」の翻案だそうです。ああ面白かった。
さて、先日のニュースで残念なことに新藤兼人監督の訃報が届けられました。100歳の大往生ですので悲壮感はありませんが、また邦画のひとつの時代が終わったんだなあと寂しい気持ちになりました。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
★新藤兼人 監督作品・私的ベスト10
1位 原爆の子
2位 ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
3位 裸の島
4位 鬼婆
5位 三文役者
6位 第五福竜丸
7位 午後の遺言状
8位 北斎漫画
9位 どぶ
10位 花嫁さんは世界一
次点 さくら隊散る
次点 墨東綺譚
★新藤兼人 脚本作品・私的ベスト10 1位 しとやかな獣 (川島雄三監督)
2位 大いなる旅路 (関川秀雄監督)
3位 清作の妻 (増村保造監督・吉田絃二郎原作)
4位 女ひとり大地を行く (亀井文夫監督)
5位 偽れる盛装 (吉村公三郎監督)
6位 ハチ公物語 (神山征二郎監督)
7位 卍 (増村保造監督・谷崎潤一郎原作)
8位 お嬢さん乾杯! (木下惠介監督)
9位 華岡青洲の妻 (増村保造監督・有吉佐和子原作)
10位 斬る (三隅研次監督・柴田錬三郎原作)
次点 足摺岬 (吉村公三郎監督・田宮虎彦原作)
次点 けんかえれじい (鈴木清順監督・鈴木隆原作) |

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新緑の季節、美しい自然の風景の中、綺麗な空気に包まれた山々を歩くことで得られる感動…
いい日々をお過ごしですね…
「誓いの休暇」。素晴らしい映画ですよね。大好きな作品です。
ヒッチさんが、それを☆5にされているのを見たことが、ヒッチさんのブログと私のとを繋ぐきっかけになりました。
あの名画がスクリーンで見られるとのこと!本当に良かったですね。
「サラの鍵」。ヨーロッパ全体がユダヤ人迫害に消極的ながら加担していた事を思わせました。
繋がっていく命…素晴らしい構成の作品でした。
「舞台恐怖症」。さすがデートリッヒ!“思い込ませてしまう演技力”
圧倒されました。
反戦反核を貫き、現役監督のままで逝かれた新藤さん、
素晴らしい「映画人」としての人生だったと思います。
私のべスト3は「裸の島」「第五福竜丸」「原爆の子」です。
「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」は未見ですので、
必ず見たいと思っています。
脚本のランキングも掲載。さすがです…
圏外の「けんかえれじい」を見たいと思います。
内容の濃い、充実の記事。「傑作!」です☆
2012/6/5(火) 午前 0:56
alfmomさん、いつもコメントありがとうございます。映画に対するお互いの好みの共通項がどんどん増えていってるようです。「誓いの休暇」に描かれた若者の純粋さ・優しさ。新藤作品の力強さ・奥深さ。古典から新作まで、映画は人の心を豊かにしてくれますよね。alfmomさんの着眼にいつも感心させられてます。「ある映画監督の生涯」は溝口映画へのきっかけを作ってくれたような作品。邦画への興味や幅が一層広がりますよ。ご覧になったらぜひ感想聞かせてほしいです。
2012/6/5(火) 午後 11:04
私も6月は5本しか観れませんでした。仕事が忙しくて。
未見の「サラの鍵」「奇巌城の冒険」、またしてもチェックさせてもらいます。
新藤兼人監督作品では、数本しか観ていないですが、何と言っても「裸の島」がベスト1ですね。自分の思い入れが強い映画でした。そういう映画って誰しもあるんだと思います、ハイ。反戦のイメージが強いですが、色んなジャンルの中で結局人間を描くことに最後まで執着した監督だと思いますね。脚本のベスト10まで書く人はなかなかいないですよ、ヒッチさんらしい。「安城家の舞踏会」も入れてほしいな。
2012/7/3(火) 午後 9:37
シーラカンスさん、お返事遅くなりました。いつもコメントありがとうございます。ご指摘されてなるほど、「安城家の舞踏会」のことをすっかり忘れてました。かつて新藤特集で見に行きましたし、DVDも持ってるんですけどね。新藤脚本作品はバラエティに富んでますし他にもありそうですね。山田五十鈴さんがお亡くなりになりましたが、「女ひとり大地を行く」も機会があればぜひどうぞ。シーラカンスさんのお好きな一代記ものです。“名優”山田五十鈴が確認できると思います。
2012/7/11(水) 午後 10:49
ヒッチさん、お久しぶりです。以前に観たいと言っていた「火天の城」を観たので、感想を報告させていただきます。
結論を先に言うと、期待外れの出来でした。大工が主人公で、築城を描くという視点は良かったのですが、内容には首をかしげるばかりでした。メインであるはずの築城過程が大して描かれないまま、いつの間にか城が完成していたり、無駄にラブロマンスやアクションシーンなどが入っていたりして、かなり薄っぺらな内容になってしまっています。キャスティングに関しても、あきらかにミスキャストと思える役者も何人かいました(あえて名前は出しませんが)。これ以上は触れませんが、とにかく、歴史ファンの端くれとして、納得のいく出来ではなかったです。私は未読ですが、原作小説の方は評価が高いようなので、そちらの方をおすすめします。
説明不足で申し訳ありませんが、一応の参考になれば幸いです。
2012/7/29(日) 午後 8:59 [ 孔明 ]
孔明さん、こんにちは。
なるほど、期待値のハードルが少々高すぎたようですね。「刑事ジョン・ブック目撃者」でアーミッシュの家を建てるシーンのように、城が完成していく様子はおそらく映画的には本来クライマックスのひとつであるべきなのでしょう。そのあたりの描き方が不十分だと不満が残りそうです。おなじく歴史ファンのひとりとして、原作の方には興味を感じました。ご報告ありがとうございました。大変参考になりました。
2012/7/31(火) 午後 10:19
はじめましてです。ここは以前から読んでました。
このブログ、まったく更新されなくなりましたね。
硬派で丁寧なコメントが読めなくなって残念です。
再開される予定はないのでしょうか?
2013/3/24(日) 午後 9:13 [ 京 ]
『もず』はどうでしたか。私は好きな映画です。
2019/5/30(木) 午前 7:25 [ sas*id*201* ]