|
Salisbury(左側が我が中古車・ドアミラーは右側のみ左無し)
3.『中古車との出会い』 1985年10月29日
ロンドンの南の端にある Surrey 県の Sutton のホテルで一ヵ月が過ぎた。
先週、自動車を買った。One Owner(女性)が所有していたマニュアル車で、値段は£1,550で 61000マイル(98,000km)も走ったマツダMontorose (日本名ルーチェ1600CC)。 走った感じでは、まあまあの調子。買った日に、試運転して見たがエンストを起こし易い。急に運転が、下手になったような気がする。クラッチ、ギアー、アクセルがうまく連動してくれない。 こんなに高い買い物をしたのに、うまく運転出来ないなんて、何だか大損をしたような気がしてきた。 当時の英国では、マニュアル車が大半を占め、オートマティック車は15%くらいだと言われていた。気温が低い英国では、ヒーターさえあればエアコンは必要ない。
その日、コインランドリーに行かねばならなかった。自動車に汚れ物を積み慣れない道を行くのだが、一方通行が多く、思うように目的地に着けない。悪い夢でも見ているようだ。事故だけは起こしたくない。迷路に入ったかのように、歩いても十分の距離を三十分ほど掛かって、どうにか辿り着いた。洗濯には一時間もかかる。常連は、読み物などをして暇をつぶしている。洗剤は、小銭を使い販売器で買う。洗濯器には、70ペンスと表示されていたので50ペンスを二枚入れたらお釣りが出てこない。でも、洗濯機は自動的に回りだした。その後ホテルまで何とか辿り着いた。
とにかく、自動車に慣れないことにはどうしようもない。翌日は金曜日であったが、午後半休をとり近くのパブリックのゴルフ場に出掛けた。ホテルから5キロほどのところにあるが、手入れの悪いひどいゴルフ場だ。練習グリーンは踏み固められ、土の上でのパターであるから、猛烈な速さだ。とても練習にならない。 本コースのグリーンは、これとは反対にベントが伸び過ぎ重い。日本のゴルフ場とは、とても比べようもない。プレーフィーが3ポンド(750円) と恐ろしく安いので、ゴルフ場のお粗末さには文句は云えない。中学生や高校生の姿が目立つ。学割り(半額)もあり、子供のお小遣でゴルフが出来る。
英国では金があっても簡単にはメンバーになれない。メンバーコースの会員になるには、それ相応の地位があり知人の紹介が必要で、技量やマナーが、メンバー仲間に認められ、推薦されて初めて会員になれるとのこと。初心者なら、先ずは、パブリックコースで腕を磨き、エチケットを身に付けることから始める。カントリークラブとは、会員同士の社交の場なのである。やたら日本人が入っていって、コンペなどをする場所ではない。会員同士のお付き合いの場であり、中流階級以上の集会所のようなものと考えればよい。従い、メンバーシップは何十万円の単位であるが、世襲制に近く、排他的であり、日本のような個人的な売買は出来ない。何年も前からメンバーシップを申請しているが、中々手に入らないという話をよく耳にする。クラブの運営は、クラブメンバーの会費で運営されているので、会員が招待するビジターは安い料金で済む。メンバーの数は二百五十人位で、その家族は、当然メンバー扱いをしてくれるのが一般的。すなわち家族ぐるみでゴルフを楽しみ、クラブハウスや付属のテニスコートも利用できる。子供は、小さい頃からクラブに出入りをしているから、グループの一員として成長し、自然にマナーなど身についてしまう。英国では、公共性のあるクラブや施設は、無料か只同然で利用できる。
洗濯やゴルフの話が長くなったが、自動車の話に戻すと、とにかく何とか運転には慣れてきた。独りのドライブであるから、地図を片手に確かめながらの運転となる。翌日の土曜日には、ヒースロー空港まで、単独ドライブを敢行した。充分に慣れてきたので、日曜日は、終日ドライブ、200マイル以上走った。
無事に帰ってこられたが、一寸したミスを犯した。 走行距離の長い車であるため、潤滑油をひどく消費する。ピストンリングが摩耗しているので、シリンダーの爆発気体が、クランク室に漏れる。クランクケースにある潤滑油の蒸気と伴にキャブレターに戻り、ガソリンと一緒にシリンダーに送り込まれる。潤滑油は不完全燃焼するので排気ガスが白煙となる。ガソリンスタンドで給油するときに、潤滑油を購入し充填した。その時、オイルキャップを閉め忘れたまま、五十マイルほど走った。サービスステーションで、オイルレベルを再点検しようとして、ボンネットを開きびっくり。エンジンルーム内は、潤滑油充填口から吹き上げたオイルで真っ黒になっているではないか。走行中、エンジン上部は過熱しているので、火災が発生する危険が十分にあった。
日本では、こんな自動車は売買の対象にならないから、中古車を買ってもこんな経験をすることは先ずあり得ない。物持ちのよい英国では、平気で20万kmの古い車も珍しくない。日本では、オイルなど自分で入れたことも無ければ、ろくにオイルレベルなど点検しないで走ってきた。慣れないことをすると、失敗するものだと反省させたれた。出発前には毎回オイルレベルを点検した。キャップを手に入れようと近くのサービスステーションを訪ねたが、マツダのパーツは置いてないという。潤滑油缶の蓋が使える筈だから試すように教えてくれた。早速2ポンド払い潤滑油缶を買った。蓋は何とか利用出来そうだが、瓶の中身をどうするかが問題である。まさか駐車場の溝に捨てるわけにいかない。思案の末、ワイパーウオッシャー液の空瓶がトランクに入っていることを思い出した。しかし、蓋の直径が小さすぎたので、ティッシュペーパーを巻き、何とか蓋をすることに成功した。午前11時半を過ぎていたので先を急ぐことにした。何はともあれ、日が暮れぬうちに帰らねばならない。夜道で迷うと、ホテルに無事に戻れるか心配だ。朝の出発時に、ホテルから二十マイルのところにあるハイウエーを見つけるまで、一時間掛かったからである。M3の分岐点で西に向かう積もりが、標識を見落とし南へ入ってしまった。
ハイウエーであるからUターンなど出来ず、二十分も走ると、ラウンドアバウトがありWinchister への標識があったので、その方向に向かった。目的地は間違ったが、Winchisterも立派な観光地だ。ギルドホール(商工会議所)と教会を観ているうちに時間がたち、急いで Take-Away(持ち帰り食堂)で昼食を買い込み自動車の中で頬張った。Salisbury に近付くと、百メートルあるという教会の尖塔が見えた。大聖堂を三十分駆け足で観て回った後、Stonehenge で写真を撮り、帰路に着いたのが午後三時半を過ぎていた。
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2015年08月01日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]





