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『ドーバー海峡と道路』 1985年11月17日
知らないということは、時には損をするものだ。ロンドンの東部からドーバー海岸にかけて、これほど城が多く存在するとは思いもよらなかった。先週ケンブリッジの帰りに立ち寄った城は、既に存在をしていないものだったが、公開中の城を数えると、絵ハガキで見る限り八つの城があることになっている。その中の Leeds, Deal, Lympne の三つの城は既に訪ねている。絵葉書に出ていた残りのRochester, Whitstable, Kingsgate, Walmer, Dover の五つの城は、将来だれかを案内する時の楽しみにとっておこう。しかし、私の抱いていた大きさと異なり、城は意外に小さな建造物だった。周りの風景が雄大で、却って城が小さく見えるのかも知れないが、日本の城と大差はない。敵に取り囲まれてしまうと、簡単に兵糧攻めにされてしまいそうな大きさである。確かに城壁は垂直で攻め込み難くなっているが、周りを取り囲まれた場合、退路がないので補給にも困難であったろう。最初に見たLeeds 城は、広大な敷地(ゴルフ場あり)と湖水に囲まれ、静かな美しい姿を見せている。城を取り囲む湖水には、白鳥・ガ鳥・鴨が群れをなしている。日本では白鳥や鴨は渡り鳥である。英国では一年中気温が安定している性であろうか、湖水に住み着いている。湖水の周りはゴルフ場になっている。敷地の入口から城まで1マイルはありそうだ。観光シーズンでないためか昼食時の食堂が開く時だけ城の内部を見学出来ると言う。城の中に入ろうとしたら年取った門番に拒否された。4・5枚写真を撮ったところ、フィルムが残り少なくなっていることに気が付いた。これから行かねばなない城の写真も撮らねばならない。行く先でフィルムが手に入らないと困るので、無駄使いを止めることにした。
Leeds, Chering, Chilham, Canterbury, Sandwich 経由で Deal に着いたのは、丁度正午だった。海岸の堤防に車を止め持参した昼食を頬張った。パンと果物と飲み物である。堤防から降りてドーバー海峡の波打ち際で、記念に小石を拾ったり、双眼鏡で対岸のフランスであろうと思われる微かな陸地のシルエットを追ってみた。小さなDeal 城を捜し近くにあったスーパーマーケットでフィルムを買うまで、一時間も費やしてしまった。その後 Dover, Folkstone 経由 Lympne 城を急いで見学し、Hasting の古戦場を観てから A21道路を北へ向かい、帰路についた。4時を過ぎ小雨も降り出し、夕闇も迫っていた。
前日に新品のタイヤと交換したので安心して走れる。しかし、帰り道で後輪の振動が気になり、タイヤを調べてみたが特に異常は無かった。多分道路舗装の仕上げが悪い性であろう。土木の専門家に聞いてみたところ、コンクリートを打ち放した場合は安上がりであるが、表面の仕上げに限度があり自動車の乗り心地は悪くなる。日本では、その上にアスファルトを敷くから表面は滑らかになり自動車の乗り心地はよくなるが、維持費が高くなるとのことだった。このコンクリートの表面の凹凸が、振動を拾ったらしい。その時は、タイヤの交換をガレージ任せにしたのでボルトでも緩んでいるのかとさえ思った。本当にそうだったら大変だ。タイヤの空気圧が高すぎたのかとも考えたが、自分でしっかりと確かめないと、バーストなどしたらあの世行きである。
日本の道路に比べ車の数が少ないので、路幅が広いように感じられる。またRound-About といって円形の交差点を設けている。既にRound-About に入っている車が優先し、Round-About に車がいない場合は、一旦停止せずに進入することが出来る。信号のいらないこの方式は英国特有で、あまり混雑しない交差点では、車をスムーズに流す良い方法だ。停車、発進の必要がないので、燃費の向上にもなる。英国人は多少凹凸のある道路でも気にせず走っているが、ハイウエイの半分は、表面をアスファルト舗装していない。この点日本では、至たれり尽せりで、その代わり高い料金を払わせられる。道路は狭いが、日本の道路の舗装仕上げは非常によい。制限速度は同等の道路で比較すると、日本の三から五割速い。英国人は気が短い性か、日本人同様、車間距離を置かずに走る車が多い。ニュースなどで聞く限り高速道路での多重衝突事故が多い。そんな事故を日本でもニュースでも報道するので、気を付けるように妻からの手紙に書いてきた。
車が少ない田舎の道路では、猛スピードでぶっ飛ばすので、擦れ違う時の気分は余り良くない。もたもた走っていると、すぐに後続車に追いつかれ道を空ける(give way)よう催促される。高速道路では何時も、自分の速度に合った車を捜し、その後に付いて行くことにしている。それが出来ない時は、車線を選び、自分の速度にあった集団の後に付いて行くようにしている。独走すると何時の間にかスピードが上がってしまう傾向がある。他人の車に付いて行くことは、特に長距離運転をする時、速度を自分で加減する必要がないので、運転が楽で疲れない。
殆どが、独りでドライブする。一番困るのは、眠気である。快調に時速130キロで走行している場合や、田舎道を走っているときには、まず眠気を覚えることはない。事実、英国滞在中に、高速道路上で、ほんの一瞬であったが、二度ほど居眠りをしたことがある。両方とも、長いドライブの帰り道で、30分ほどで家に辿り着くというタイミングであった。ロンドンを取り巻く、M5ハイウエイにはドライブインがない。路肩に休憩するか、または家まで突っ走るかの、選択が必要なときであった。なお悪いことに、家に近くなればなるほど渋滞が始まり、のろのろと走り、疲れと眠気が襲ってくる時刻である。
六年前の42才の時に運転免許を取ったのだから、日本で40000キロほどしか運転してないので、まだ初心者の部類かも知れない。今回、英国で18000キロ、ヨーロッパでレンタカーだったが2000キロ走った。一度も事故に遭わなかったのは、不思議なくらいである。
Deal Castle
Dover Castle
Richborough Castle (古代ローマ帝国時代 石とセメントモルタル造)
Walmer Castle
Rochester Castle(屋根と内部木製構造は朽ち果て外部石造のみ)
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