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http://jp.youtube.com/watch?v=16eEQ3X1jRs Xenakis- Persephassa (1/3)
具体としての音、この打楽器だけの作品を聴いてるとそのように思える。呼び込む力が際立っている。聴いている人間に音で迫ってくるその音響世界の緊迫は、やはりクセナキスの独創であるのだろう。自らも顔面に砲弾の破片による負傷を受けたギリシャ軍事独裁政権への抵抗運動による死刑宣告、以後母国ギリシャへ足を踏み入れることかなわず、その体験とギリシャに重層する歴史へのよじれた思いが作品の中に無いとはいえまい。民俗、神話的時間への超出が祈りとして昇華し、音として記憶が刻み込まれてゆく。場所のうちに堆積した時間を解き放ち、魂降りのために音を呼ぶ。そうしたことに相応しいだろうペルシャのダレイオス1世が建設したアケメネス朝の首都であったペルセポリス遺跡にて初演されたこの作品「ペルセファサ」でも、とりわけ木や金属でのオリジナル楽器での控えめな音響が非常に効果的にティンパニー等の打楽音の間に鳴らされる。なにやら呪術めいた神秘的風情でもある。最後に解説文中にあるクセナキスの音楽の背景にあると思われる、思想・哲学の一端を示すことばを引用する。「人間が時間と空間カテゴリーによる認識様式を自らに課したために、何が起こっているのか。われわれは幼い時からこのように世界を見ることをしいられ、悲しいガラス箱の迷路の中で死んでゆく。世界の奥底に横たわるものは、透明な壁で隠されている。存在と時間の分裂を支える非合理な不思議な膜は、どのようにして破ることが出来るだろう。過去が未来であり、現在が永遠であり、ここと20億光年のかなたが同じであるような方法を発見しなければならない。私はそのような方法が存在することを疑わない。そこでは死でさえも消滅するだろう。しかしその方法はどこにあるのか、私はまだ知らない。」
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