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Humiwo Hayasaka, Piano Concerto - 1st movement (1/3)

            
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早坂文雄(1914-1955)。斯くも苛烈な人生であった。その死の覚悟が響く『ユーカラ』に武満徹は号泣した。師、清瀬保二のもとにあった二人、病を得た独学向上の同志、いや彼はもう一人の師であり兄のようでもあった。

父とは生き別れ、母とは死別、残された妹、弟の面倒見る。進学断念

1933年(19歳)卒後、生活費を稼ぐ為、クリーニング店白洋舎に就職。御用聞き先の家庭にピアノがあると、あがり込んで弾かせてもらうので、店の主人から、楽器店にでも就職しろと、まもなく解雇される。

1934年(20歳)再就職先の北海石版所が破産・解散した為失職。・・・夏に同所が再建されて復職。しかし、今度は音楽活動にばかり力を入れて、仕事をなおざりにすると解職される。

1938年(24歳)肺結核の診断で、校長から光星商業学校を解職される。わずかな貯えで二階の一室を間借りし、貧乏生活に耐える。

1955年(41歳)映画「生きものの記録」(黒澤明監督・東宝)の音楽を自宅で作曲中、容態急変、約10分ほど苦悶のすえ、不帰の客となる。病名・肺水腫だった。

もちろんこのように辛いばかりでは人間生きてはいけない。艱難実り数々の賞賛栄誉(毎日映画音楽賞第1回<1946>より4回まで連続して受賞など)に浴しているのは云うまでも無い。才人ゆえの凄まじいばかりの辛苦、一念には圧倒される。凡人なら節を曲げる。

≪早坂は30代後半から汎東洋主義(パンエイシャニズム)を標榜して西洋音楽との訣別を宣言し、最後の最後に『ユーカラ』を完成させた。・・・・『ユーカラ』を聞いた武満徹は「音楽を聴いて、あれほど涙が出て感動したことはなかった」と言った。≫(松岡正剛・千夜千冊「黒澤明と早坂文雄」)もちろんここには、若き日々の交流から来る思いいれも多少その涙を募らせもしたことだろうけれど。

早坂文雄の惜しまれる死に、自らの歴史的な記念碑作品「涅槃」を捧げた黛敏郎は斯く1958年初演の際のプログラムに記した。≪つい最近のことであるが、友人の作曲家武満徹君から、先年亡くなられた早坂文雄氏が死の直前、この曲と全く同じ題名の交響曲「涅槃」という作品を構想中で、遂に一音符も書き遺されはしなかったが、スコアの表紙だけを書かれていたということを聞かされた。全く偶然の一致ではあるが、私としては不思議な因縁を感じさせられる。よって、私はこの拙作を、尊敬する早坂文雄氏の霊に捧げるものである・・≫。

≪音楽は時間芸術であり音の移行する瞬間において、即ち部分において限りなく生きた生命力をもっていなければならぬ。≫(作曲ノートより)土俗民俗的な自然性としてのエネルギーを決して手放さない音楽観は彼だけではなく、師清瀬保二(1900)や、伊福部昭(1914)に顕著に聴かれる。だが早坂文雄のそれは、私には師および民俗派の先達よりも洗練された豊麗な響きの優れたオーケストレーションを持つものとして賛をおくことに躊躇しないだろう。23歳のときの作品でワインガルトナー賞(最優秀賞)受賞のA面収録曲「古代の舞曲」(1937)の品格を感じさせる弦の響き。緻密に、より練り上げられ豊かさと多彩さを響かせる、秘めた情熱が支える繊細と剛直で聴かせる「管弦楽のための変容」(1953)。なんと洗練されたオーケストレーションの響きだろう。とりわけ緩徐楽章の美しい響きは時代性を考慮すれば特筆ではないだろうか。A面全曲は黒澤明監督作品「羅生門」(1950)の映画音楽のオーケストラ・ライブ盤である。音が非常によく鳴っているのに驚いた。雑な響きのない、濁りの無い響きに時代性の制約など考えれば驚きである。ぜひともこのオーケストラ盤は聴いてほしい作品である。若き日々ラベル、ドビュッシー、ファリャ、サティーなどに傾倒していたというだけあってか、土俗民俗的な親しみのあるメロディーの中にも、洗練された豊かな音色展開の見事さは死後評価たからしめることとなったのだろう。以下はまたの機会としようと思う。最後に、ちなみに武満徹のデビューピアノ曲「ふたつのレント」に音楽以前と酷評コメントし、その名を歴史に刻んだ評論家・山根銀二は早坂文雄の初期代表曲「古代の舞曲」(1937)に対しても同様「荒っぽい印象。イージーで、きめが粗い。ハーモニーが貧弱。幻想的な性格が強い」と否定的だったそうである。またアカデミズムの方からは「美しい主題が無く、なんだかもたもたした感じで、全体としての感じがつかみにくかった」(池内友次郎)との評も下されているそうである。




Fumio Hayasaka: Orchestral Works 早坂文雄 序曲ニ調(1939) 左方の舞と右方の舞(1941)



Rashomon (Akira Kurosawa 1950 Engl Subs) - YouTube.flv

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