イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

変わったジャンルの音楽のメッセージで脳をマッサージ。

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きのう日曜日のNHK教育テレビで音楽評論家・吉田秀和(よしだ ひでかず、1913年 −)の『言葉で奏でる音楽』とタイトルされた特集番組が放映された。<93才、今なお現役音楽評論家の巨星・・・名演奏の数々を書き続けて60年・20世紀音楽史の生き証人が自らの生涯を語る>(日経新聞)とあった。眠い目をこすりながら最後までみた。文化勲章を受章するにいたるこの高名な音楽評論家を、音楽鑑賞を趣味とする私が知らなかったわけではない。ただ、フリージャズや、現代音楽を斜(はす)に構えて天邪鬼に聴いてきた我が来歴ゆえか、こうした立派な抜きんでた文化知識人はまばゆく、敬して遠ざけるといった存在であった。という事もあり、ほとんど読んだことはない。それにつねづね言っているように、音楽は聴かなくては話にならないといった勝手な独断と思い込みから、音楽本を購うくらいなら、音源(盤)が先だとばかり、そちらに身銭と時間をそそぎこんだ。(音以外の事どもの諸知識が音楽鑑賞を、より豊穣なものにするだろうことは否定するものではないけれど)それに、そうした音楽本でよくある推奨音盤、とりわけ過去の傑物たちの名演などの何という期待外れっぷり、という幾多の経験も災いしてのことでもある。こうした経験おありの方多かろう事と察します。本当に評論家たちはこの音盤を心底名演奏と思っているのか?単なる思い入れだけではないのか?(天才、傑物の演奏などをじかに聴いている)西欧の評価を時の移ろい経過を斟酌せずそのまま紹介してるに過ぎないのではないか?との疑念をもたれた方も少なからずのことと推察する。いわゆる、もはや≪ひび割れた骨董品≫(初来日したホロビッツの演奏を評した、評論家・吉田秀和のあまりにも有名なことば、誰が聴いてもそうした印象をもつほどにひどかった。YOUTUBEで鑑れるはず)であるにもかかわらず!ということである。卑俗なところ、芸術はというより、とりわけ音楽は好き嫌いの激しい領野と思われる。それだけに、期待はずれの度も増すのだろうか。無手勝流で、あるいは自分なりの判断選択で購入したフリージャズや、現代音楽もまた駄作?、愚作?わけわからぬ作品の数多い事はいうまでもない。しかしそこには自分なりの納得がある。しかし、そそのかされての幻滅ほど惨めな事はない。わが身(主体性)の不在に情けなさがいや増す事だろう。というわけで、おそらくそうした啓蒙本とはまったく次元が違うのだろうけれど、吉田秀和の著作・評論は私には遠かった。WIKIPEDIAを覗くまでもなく、錚々たる交友、伊藤整にはじまり、小林秀雄(散歩で時たま顔あわすほどに住まいも近くだったはず)、大岡昇平、中原中也、それに聞けば「ヘー」というような数多の雲上の交友があったことだろう。人は人との交わりのうちに彫琢、成長の機会、糧を得るとすれば、個人ひとりの自己研鑽での蓄積、練磨以上の隠れた膨大な叡智の泉をその切磋琢磨の背後に有している事だろう。数々の音楽・芸術の天才たちとの名実の交わりから紡ぎだされる、この音楽評論家の思索のことば、至宝を味わうことなく、音楽を聴くことだけに沈滞するのも馬鹿げたことだとは思っている。それゆえの今回の放映への関心、視聴であったのだけれど。世代的な時代制約もあっただろうけれど、意外に<和>のしつらえで、簡素な生活ぶりであったことに吉田秀和の人となりを勝手にイメージして愉しく見終わったことだった。それに、長く音楽を聴いてきてつまりはバッハ、モーツアルト、ベートーベンだねとのことばにも妙に納得しての1時間30分だった。まさしく時代創成のパトスこそが吉田秀和であった。
最後にネットを覗いていて目に留まったことばを引用して擱えることとしよう。

≪芸術を論じることの難しさも話題に出た。
  「人間という生き物は、どうしても生の魚では満足できなくて料理したがる。まだ焼き魚や煮魚ならいいが、あんまり学がすすむと、干物になったり缶詰になったりする」
  これには、大笑い。≫青柳いづみこのMERDE日記

≪「……私は、三〇〇曲の音楽をえらんだけれど、そのほかに、鳥の声や風や波の音は、絶対に欠けてはならないものだ。また、大都市の夜や明け方のさまざまのものの響きも、もしなくなってしまったら、私は、ひどくものたりなく思うだろう。音楽は、やはり、そうしたものの中に、つつまれながら、しかし、それ自体で完結した建物として、あるべきものだ」≫『私の音楽室』(名曲三〇〇選)

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