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銀ジャケと呼称されているらしい銀ホイールの全面地刷りに墨文字のフランス・フィリップスより出されていた現代音楽シリーズのうちの一枚。 もうこの銀色のジャケットを眺めるだけでも異彩を放っているのは瞭然である。その中身、とりわけ今日取り上げるピエール・アンリは、私にとっては言う事なしのアートフィッシャル・クリエーターといえよう。 「La Noire a Soixante」(1961)と「La Noire a Soixante+Granulometrie」(1962-68)のリアリゼーション。 このピエール・アンリのテクノノイズのなんとヒューマンで楽しいんだろうか。テープを切ったりはったりの手作業という極めて前時代的なアナログ作業ゆえか、音との徹底的な対話と遊びがこのようなナチュラルな感性を失わずヒューマンな響きをエレクトロニクノイズに具体化し得ているのだろう。 今日のような安易?でオールデジタルシンセサイズ処理より、具体音を聴きこむというアナログ処理が介在するゆえの、こうした60年代のエレクトロニクノイズに<数寄>の遊びと余裕を感じるのは私だけではないはず。 あらゆる具体音ととことん付き合い、耳そばだて聴いている、其処から生まれる音はエレクトロニクノイズでさえピエール・アンリという自然としての耳が響かせているナチュラルヒューマンノイズと言えるだろう。 人間くさいノイズ。だからと言っていいのか「La Noire a Soixante+Granulometrie」のように人の声の電子変換、加工のデフォルマシオンが好んで使われるのだろう。 ここには音の出会いのスリルはあっても音の芸術の退屈はない。手作業が生き生きと音を、ノイズを創造しているのだといえるのだろう。 |
ピエール・アンリ
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